あらすじ
2022年にアメリカ西海岸で大規模な停電が起きたのをきっかけに世界は食物供給が混乱するなど危機的状況を迎える。2025年、科学者ウォレス(ジャレッド・レトー)が遺伝子組み換え食品を開発し、人類の危機を救う。そして、元捜査官デッカード(ハリソン・フォード)が突然行方をくらませて以来30年の月日が流れた2049年には、レプリカント(人造人間)の寿命に制限がなくなっていた。
2017年の映画館での30作目。平日のレイトショーで観賞。
観客は10人くらいでした。
上映時間163分!
アメリカでは作品への評価は悪くないものの、興行的には大コケ!
wired.jp
正直、これを映画館で観るかどうか、けっこう迷ったんですよね。
『ブレードランナー』が歴史的名作とされていることは知っていたのですが、僕は長年未見で、今回、続編が公開されると聞いて、あらためて前作『ブレードランナー』を観てみたのです。
ちょっと寝不足の状態で観たせいでもあるのでしょうけど、正直、いちばん印象に残ったのは「強力わかもと」で、前半は何度も寝落ち、後半は、ルドガー・ハウアーさんの熱演のおかげで眠らずにすんだ、という感じだったんですよね。
うーむ、3時間近い長尺の「続編」を観るというのは、あまりにもリスクが高いのではなかろうか……トイレがまんできるかな……とかいろいろと。
結果的には、「そのために前作を観たのだから、続編を観ないのはなんか損したような気がする」という、かなり消極的な理由で、映画館の席に座ることにしました。
長いSFは得意じゃないけど、ホラー映画は、もっと気乗りしなかったし(『IT』のことです)。
観終えた感想としては、「長い!でも、心配していたほど古くない!」というところです。
前作の「サイバーパンク」と呼ばれるカオスな世界観は、だいぶ、シンプルかつ洗練されているのですが、「ソニー」という片仮名の看板があったり、ウォレス社の3D広告が、ものすごく教育上問題ありそうだったりと、「らしさ」は随所に受け継がれています。
観ながら考えていたのは、観客を飽きさせないように、次から次へとアクションシーンやどんでん返しが起こる最近のハリウッド映画に比べて、「溜め」とか「余韻」みたいなものが、かなり重視されているな、ということでした。
ライアン・ゴズリングとハリソン・フォードの一対一のシーンは、なかなかの見ものです。
Kとその恋人の電影少女(少女、じゃないか……)のやりとりも、ありきたりではありますが、ねっとりしっかり描かれていますし(露出が多い、ってわけじゃないんですが)。
あと、ストーリー的に『ファイナルファンタジー7』をやったことがある人は、なんとなくその面影を感じるのではなかろうか。
おそらく、その丁寧に描いている部分が、この164分という上映時間に反映されていて、「長いけど、最近のSFアクション映画とは違う時間が流れている映画」という個性になっているのだと思います。
ただし、前作に思い入れはないとしても、あらすじくらいは知っていないと、前作の重要キャラクターに対して、「何この出オチの人?」とスルーしてしまいかねません。
しかし、1982年公開の作品の続編を2017年につくり、前作を知らないとストーリーが半分くらいしか理解できない作品にしてしまった、というのは、すごいことですよね。
35年のブランクがあるのですから、いま40歳以下のほとんどの人たちは、リアルタイムで前作の『ブレードランナー』を観たことがないはず。
それでもみんな、ビデオやDVDやTV放映で、なんらかの形で、『ブレードランナー』を観ているだろう、という自信があったのか、もう採算そっちのけで、「ぼくが考えた、あの『ブレードランナー』の続編」を撮ってしまったのか。
わかりやすさを重視するのであれば、設定だけを流用するか、冒頭に前作のあらすじをもってきたほうがよかったはず。
でもさ、「わかりやすい『ブレードランナー』なんて、『ブレードランナー』失格だろ?」
どこからか、そんな声が聞こえてきます。
なんか思わせぶりな映画なんだけど、そういう雰囲気こそ、この映画のチャームポイントでもあるのです。
最近になって前作『ブレードランナー』を観てみたけど、評判ほど面白くなかったな、と感じた人ほど、この『2049』を楽しめるのではないか、とも思います。
正直、登場人物の行動で、よくわからないところがけっこう多かったんですよね。
それを自分で解釈するのが楽しい人には、たまらない映画なんだろうなあ。
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