琥珀色の戯言

【読書感想】【映画感想】のブログです。2016年8月より、『はてなブログ』に移行しました。

ツリー・オブ・ライフ ☆☆☆


参考リンク:映画『ツリー・オブ・ライフ』公式サイト

あらすじ
 若い頃に弟に死なれたジャックは、仕事で成功し中年にさしかかった今も、子ども時代のトラウマに囚われていた。1950年代半ば、中央テキサスの田舎町で暮らしていた10代のジャック。夢のように美しい風景に包まれていながら、彼の生活は、強権的な父親に完全に支配されていた。「男が成功するためには、なによりも力が必要」と信じ、自分の信念を息子たちに叩き込もうとする父親。我が子に無償の愛を注ぎ続ける聖母のごとき母親。そんな相反する両親に挟まれ、翻弄されるうち、幼かった少年はやがて純真さを失い、そんな自分に傷ついていく…。時が経っても痛みを伴う回想の中で、ジャックは心の平安にたどりつけるのか?


 この『ツリー・オブ・ライフ』、ブラッド・ピットショーン・ペンという豪華キャストなのですが、観客動員数は伸び悩んでいるようです。

 「よくわからん映画」「あのCMは詐欺!」などというネットでの酷評を耳にしてはいたのですが、「どんなに酷いのか自分の目で確かめてみるか」と、鑑賞してみました。


 木曜日の夕方からの回(正規料金)で、観客は僕をあわせて2人。
 むしろ、よく、もうひとりいてくれたな、という感じです。


 冒頭のシーンで、「ああ、これは父親と男の子の葛藤の物語なんだな」と、テレビCMや予告編を信じて観はじめた僕は、その10分後、唖然としていました。


 なんじゃこりゃ……


 なんか急に水が流れてきたり、火山が爆発したり(おかげで居眠りから目覚めることができましたが)、ストーリーの「本筋」とは関係なさそうな、よくわからんイメージ映像が、延々と続くのです。
 もしかしたら、このイメージ映像のほうが「本筋」なのか?と思うくらいの時間、この「環境ビデオのような映像」が続き、僕はぼんやり、「ああ、『幸福の科学』の宣伝映画って、こんな感じなのかな(観たこと無いけど……)」なんて考えていました。
 あと、ファミコンの『魔界村』があまりに難しくて、友達のあいだで「あれは容量が足りなくてステージ2までしか入ってないから、あんなに難しくしてあるんだ」という説が流れていたのも思い出してしまいました。
 もしかしたら、この『ツリー・オブ・ライフ』って、最初の30分の退屈な映像で観客を寝かしつけ、あとは、2時間くらい真っ暗な画面で観客を安らかに眠らせてくれる映画なのではないか?と。


 残念ながら、後半1時間ちょっとくらいは、「イメージ映像」もなく、けっこう普通の父子葛藤ものなのですが、この描き方がけっこうえげつない。
父親役のブラッド・ピットの暴君っぷり(いやもうなんというか、食卓がピリピリしちゃうんですよ、あまりに厳しくて、作法にうるさくて)に暗澹たる気分になり、「父さん死んでくれないかな」と心から願う息子に絶望してしまう。
そうだよね、父親と息子って、結局さ、どっちかが死ぬまで、うまく交われないところがあるんだよな。
男の子であった経験があり、いまや男の子の父親である僕にとっては、自分と息子のこれからを見せられているようで、実に気が滅入りました。


というか、この映画って、環境ビデオかお父さんか息子が怒っているか、なんですよ。
唯一の救いは、CM等で流れている『モルダウ』をBGMに子どもたちが遊んでいるシーンなんですが、ほんと、「唯一」ですよあれが。
あのCMを観て、「うわ、なんか深刻そうな映画だな」と思われた方は、ぜひDVDが出たら、この映画を観てみてください。
できれば、友達が借りてきたのを一緒に観るくらいのコストで済ませたいところです。
あのCMは、この映画の「いちばんわかりやすくて、いちばん明るいエッセンスを詰め合わせたもの」だということに、驚愕できること請け合いです。


いやほんと、この映画って、なんか意味ありげなシーンが多いんだけど、本当に意味があるのかどうかさっぱりわからなくて(キリスト教に対する僕の無知も大きな理由であるにせよ)、「レベルが高すぎて自分には理解できない」のか「テレンス・マリック監督が何かドラッグでもやりながら作った」のか「ハッタリに騙されている」のか、困惑しっぱなしでした。


結局、『ナルニア国物語』の「さいごの戦い」と同じような結末なんだよねこれは……と僕は解釈したのですが、それが正しいのかどうか、全く自信はありません。
むしろ「神の残酷さ」を描いた映画なのかな、とも思えるし……


ただ、1年に一度くらいは、こういう「わけわかんない映画」を観てみるのも、それはそれで悪くないな、とも感じたんですよ。
Yahoo映画のレビューなどでは、「わかんないから、つまんない」というものがかなり多かったのですが、ハリウッド映画的な「お約束通りのストーリーのアクション映画」ばかりというのも、ちょっと物足りなくないですか?
たまには、「なんじゃこりゃ?」というものを観て、自分なりに解釈してみるという楽しさが、僕はこの年齢になって、ようやくわかってきたような気がします。


「わからないから、面白い」
そういうふうに考えることができれば、この『ツリー・オブ・ライフ』は、「観客にとって、挑戦のしがいがある映画」なのかもしれませんね。


最後に、この映画を観るときの注意点。

(1)デートで観るのはやめましょう(「意味不明でつまらない」か、「ヘタに意味がわかるような気がすると、二人の将来が不安になります」


(2)「わからない映画はつまらない」というタイプの人は、避けたほうが無難です。


(3)環境ビデオシーンを、あんまり真面目に観ていると、必ず眠くなりますので、あんまり一生懸命観ないほうがいいです。


(4)あなたが父親で、息子がいるのなら、覚悟してみましょう。しかし、そうでない人にとっては、「なんじゃこの救われないだけの映画は……」ということになる可能性が高いです。うーん、誰が幸せになるんだこの映画……


(5)この感想を読んでも、観に行ってみたいという勇気がある人は、ぜひ観に行って、僕にも感想を教えてください。でも、あらかじめこれだけ注意したので、つまらなくても,僕を恨まないように。

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