琥珀色の戯言

【読書感想】と【映画感想】のブログです。

ベイマックス ☆☆☆☆☆

あらすじ
西洋と東洋の文化がマッチし、最先端技術分野の先駆者たちが数多く住んでいるサンフランソウキョウ。そこに暮らしている14歳の天才児ヒロは、たった一人の肉親であった兄のタダシを亡くしてしまう。深い悲しみに沈む彼だったが、その前にタダシが開発した風船のように膨らむ柔らかくて白い体のロボット、ベイマックスが現れる。苦しんでいる人々を回復させるためのケアロボット・ベイマックスの優しさに触れて生気がよみがえってきたヒロは、タダシの死に不審なものを感じて真相を追い求めようと動き出す。


参考リンク:映画『ベイマックス』公式サイト


 あけましておめでとうございます。
 本年もよろしくお願いいたします。


 2015年1本目の感想。
 観たのは12月30日の夜だったんですけどね。
 観客は30人くらいでした。
 観終えて帰るとき、前を歩いていた若い女性2人組が「ベイマックス欲しい〜」「私もそう思った〜」と話しているのが聞こえてきて、「僕もベイマックス欲しいな……」と心の中で呟きました。
 たぶん、この映画を観た人はみんな、ベイマックスが自分のそばにいてくれればな、と思うのではないかなあ。
 『ドラえもん』がいてくれたら良かったのに、と考えたことがある人ならみんな、ベイマックスの「優しさ」と「頑固さ」そして、「愛くるしさ」に魅了されるはず。
 いやまあ、僕にとっては、ドラえもんのほうが長年の友達だし、どちらか選んでいいよ、と言われたら、やっぱりドラえもんなのだけれども、ベイマックスは、この映画1本だけで、かなり僕の心をわしづかみにしていきました。

 それにしても、なんてオッサンキラーな映画なんだ、『ベイマックス』。
 ベタなストーリーに、完璧すぎる伏線の回収と、「うまくできすぎている映画」なんだけど、ベイマックスというキャラクターの温かさで、そういう感じ悪さみたいなのが、消されてしまうんだよねえ。
 しかし、予告編を観た印象からは、もっと徹頭徹尾「癒し系」の映画だと思ったぞ。
 まさか、あんな展開になろうとは。

 
 でも、戦いの場面があっても、この映画って、とにかく「科学やテクノロジーは、人間を幸せにするためにあるものなのだ」というクリエイターたちの「善意」に包まれているんですよね。


「ワタシは、ベイマックス。心と身体を守るケアロボットです」


 クライマックスでの、ベイマックス誕生をめぐる「物語」を観て、僕はまた泣いてしまって。
 ベイマックスは「人を助けるためのケアロボット」なのだけれど、人を助けるというのは、けっしてラクなことではないんですよね。
 やなせたかし先生の『アンパンマン』は、発表当初、売れないどころか、大バッシングを受けたそうです。

「顔をちぎって食べさせるなんて、あまりにもひどすぎる。絵本というのは、子どもたちに夢を与えるものでしょ。この作者は、いったい何を考えているのかしら」
 幼稚園の先生から、すぐ文句が来ました。出版社からも、
「顔を食べさせるなんて、荒唐無稽だ。もう、二度とあんな本を描かないでください」
 と、ダメ押しをされ、児童書の専門家からは、
「ああいう絵本は、図書館に置くべきではない」
 とまでいわれました。


 でも正義を行い、人を助けようと思ったなら、本人も傷つくことを覚悟しないといけないのです。自己犠牲の覚悟がないと、正義というのは行えないのです。

 ハリウッド映画って、なんのかんの言っても「勧善懲悪」で、「力対力で、悪を成敗する」ものが多いじゃないですか。
 でも、『ベイマックス』は、「力」を見せながらも、「本当の正義は、『力』じゃないんだ」と、観客に語りかけてくるのです。
 これは「やり返さない勇気」の映画なんだよね、きっと。


 この素晴らしい作品の世界観に「日本」の要素が取り入れられていることが、僕にはなんだか誇らしく感じられました。
 
 エンディング曲の『STORY』。この映画のためにつくられた曲なのではないか、と思うくらい物語に合っていて、聴きながら、また涙を流してしまった。
 年取ると、涙腺がゆるみやすくて困るよ。息子と一緒に観なくてよかったかも。


 ちなみに、併映の短編アニメ『愛犬とごちそう』の時点で、次男が生まれたばかりの僕は、もう号泣してしまっていたのでした。
 ほんとにねえ、年とともに涙もろくなってしまってダメだよねえ……
 あと10年くらいしたら、朝から晩まで、ずっと泣いているかも……

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