20歳の誕生日、祝ってくれる友達もいないジローは、街で“彼女”と出会う。最高に楽しい一日を過ごすが、誕生日が終わる頃、彼女は姿を消してしまい、それから会うことはなかった。1年が過ぎ、去年と同じように一人で誕生日を祝っているジローの前に、“彼女”は現れた。必ずまた会えると信じていたジローは喜ぶが、再会した彼女は何だか去年と違うような…。実は、“彼女”は未来から送り込まれたサイボーグだったのだ!
金曜日のレイトショーで鑑賞。お客さんは20人弱。
この映画、僕は☆4つにしましたが、これは「綾瀬はるかファン」の評価だとお考えください。主演の2人、綾瀬はるか、小出恵介のファン、とくに綾瀬さんのファンにとっては「観ているだけで楽しい」映画だと思うのですが、正直なところ、「主演の2人に興味なし」あるいは「嫌い」な人にとっては、☆2つくらいが妥当な評価なのではないかな、と。
とにかく、綾瀬さんは魅力的です。ちょっと暴力的なところも含めて、あの『猟奇的な彼女』のクァク・ジェヨン監督らしいヒロインを熱演しています。綾瀬さんは、「どこまでが素なのかよくわからない」ところがあるのですが、このサイボーグ役では、そういう「彼女らしさ」が活かされてる感じです。小出さんも、「情けないんだけど憎めないダメ男」を好演。
ちょっとこの監督『ターミネーター』好きすぎなんじゃない?と言いたくもなりましたが、クライマックスでは、文字通りボロボロになっての綾瀬さんの熱演にちょっとウルッときましたし。
ただし、「ストーリー」は、ツッコミどころ満載!
とくにラストは「蛇足」としか言いようがありませんでした。
辻褄を合わせようとすればするほど、観ている側としては、「でも、それって矛盾してないか?」とか、「結局、正しい『歴史』はどれなの?」とか、わけがわからなくなってしまうのです。
そもそも、「優しいジロー」よ、お前が過去を変えようとしたからあんなことになってしまうのなら、「彼女」にちょっとくらい人助けさせたって、焼け石に水なんじゃないの?お前が何もしないほうが、よっぽど「優しい」んじゃないの?と言いたくなるんですよね。
けっこう「何のために描かれているかわからない場面」も多かったですし……
ただ、「なんだこれ……」と思いつつも、妙に心に引っかかる作品ではあります。
なんといっても、綾瀬さんのサイボーグっぷりは観ていて楽しい(サイボーグ役は「まばたきができない」ので大変だったそうですよ)ので、僕はそれなりに満足できました。
まあ、主演2人が嫌いな人はまず観に行かない映画でしょうし、これはこれで良いのかな、とも思います。この映画に「正統派SF」を望んでいる人もあまりいないでしょう。
綾瀬はるか、小出恵介ファンの皆様は、ぜひどうぞ。クァク・ジェヨン監督のファンの皆様も。
そうでない方々は、興味があればDVDでよさそうです。「コメディ」としてよりは「ネタ」として笑える作品ではあるんですけどねえ……たぶん製作側も「確信犯」なんだろうな、と思っていたんですけど、ラストを観ると、けっこう本気で「ラブストーリー」を作っていたような気がしてきて、ちょっと驚きました。