参考リンク:映画「ライフ ―いのちをつなぐ物語―」公式サイト
ストーリー
「ディープ・ブルー」「アース」の英BBC製作によるネイチャードキュメンタリー。撮影日数3000日、総製作費35億円を投じ、地球の全大陸、陸・海・空に住む多種多様の生物がそれぞれの命をつないでいく様子を、最新のカメラシステムを用いて動物と同じ目線で撮影。生態の細部や決定的な瞬間をとらえた。2011年に設立50周年を迎えたWWFが製作協力。日本語吹き替え版は松本幸四郎、松たか子が親子共演でナレーションを担当し、人気バンド「Mr.Children」が主題歌を提供した。
2011年23作目の劇場鑑賞作品。
月曜日の20時過ぎからのレイトショーで観たのですが、観客は10人くらいでした。
この映画、『アース』をつくったイギリス・BBC製作のドキュメンタリーなのですが、この動物たちの姿を記録するのに、いったいどれだけの時間がかかったのだろう?と圧倒されてしまうような、「動物たちの生態」が大画面で繰り広げられます。
上映時間が90分にも満たないこともあり、「おおー」と口をあんぐり開けている間に、ミスチルの主題歌が流れてきて終わり、という感じ。
アザラシの子どもの「はじめての海」やゾウの群れの旅、そして、日本の地獄谷のサルの入浴など、さまざまな動物たちの驚くべき生態が、ダイジェスト版のように短くまとめられて、次から次へと目の前を流れていきます。
これって、それぞれの動物の話だけで、『わくわく動物ランド』1回分くらいになりそうだな、と感慨にひたったり、トカゲ「バシリスク」が水上を走る様子を観ながら、「このトカゲも、エリマキトカゲみたいに脅かされて走らされ、寿命を減らしているのだろうか?」と思ったり。
なかでも、いちばん僕の印象に残ったのは、水牛に噛み付いてつくった小さな傷から、自分の毒が獲物に浸透して死に至るまで、数週間も、ターゲットの水牛に着かず離れず辛抱強く待つコモドオオトカゲの狩りでした。
このトカゲ、隠れて待っていればいいんじゃないかと思うのだけれど、嫌がらせのように、相手の攻撃が届かないくらいの距離で、弱っていく水牛の側にいるのです。
しかも、死期が近づくにつれて、増えていく周囲のコモドオオトカゲ……
僕が水牛だったら、こんな本当にイヤな食われかただよなあ……
次から次へと、短い時間に編集された「見所」が流れていくため、なんとなく、それぞれの動物に対する「深み」が足りないような気もするんですよ。
でも、このくらい場面の切り替えが速くて、上映時間が短いほうが、「観やすい」ことも事実です。
ただ、『アース』や『オーシャンズ』を観たことがある人にとっては、「まあ、凄いけどこんなもんだよな、BBCのネイチャー・ドキュメンタリーって」という内容だというのもよくわかります。
撮影するための苦労は、この『ライフ』のほうが上かもしれないけれど、『アース』を初めて観たときのような「驚き」は、今回ありませんでした。
人の「もっとすごいものを観たい」という欲望のハードルって、どんどん上がってしまうもののようです。
ちなみに、松本幸四郎さんと松たか子さんのナレーションは、僕が予想していたほど「感情たっぷり」ではなく、むしろ、やや棒読みにも聞こえました。
しかしながら、最初と最後に字幕で出てくる「命や地球についての耳にタコができるお説教」の薄っぺらさに比べたら、むしろ、この2人のナレーションの「素っ気なさ」は、すごい映像を体験するための「邪魔」にはなりませんでした。
狙ってやったのか、そんなふうにしかできなかったのかは、わかりませんが……
僕はこの映画、「夜の気分転換」にもってこいで面白かったのですけど、家に大画面テレビがあれば、まずは『アース』のDVDを借りてきて家で観たほうがコストパフォーマンスは高そうです。
それにしても、観客の「すごい映像に慣れてしまうスピード」って、ものすごいよね。
製作している側にとっては、たまらないだろうけど。
ちなみにこちらは、動物たちによる「おもしろCM」です。