- 作者: 西原理恵子
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2013/01/29
- メディア: 単行本
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内容(「BOOK」データベースより)
世の中、正論だけじゃ立ち向かえないから―。恋愛、結婚、出産、子育て。キレイゴトでは済まされない問題に血の通った言葉を贈る、本音のガールズトーク。女の“リアル”がここにある―。『生きる悪知恵』からさらに一歩踏み込んだ、実践版人生指南書。
うーむ、こういうのが「本音のガールズトーク」なのだろうか……
いろんな意味で反省させられるところも多いのですが、「浮気指南」みたいなのが堂々と書かれていると、「サイバラさんの芸風なんだろうけど、これを間に受けて浮気とかされたらイヤだなあ……」とか考えずにはいられません。
たしかに「キレイゴトでは済まされない」のだろうし、「ガールズトーク」っていうのはこんなものなのかな……なんて思ったりもするのですが、正直、一般男性が「サイバラさんの本だから」ということで何気なく読むと、なんだかげんなりしてしまうような内容なのも事実。
いやまあ、ディテールというか、細かいネタに関しては、やっぱり面白いんですけどね。
あのね、女優さんがなんであんなにきれいなのかって言ったら時間とお金をたっぷり、自分にかけてあげているからなんですよ。ふつうは、そこまでできませんよね。
おそろしいことに私、仕事で何人もの女優さんたちと一緒に写真を撮られてきましたけど、一人残らず、全員、私のうしろにまわるからね。
スッと引いて、顔を小さく見せる。
オバちゃん、こうやってデーンと前に出て、笑うてるがな。
あんた、そんな細いのに、うしろにまわって何してくれてるのん!
常にどうしたら自分が美しく見えるかを考えてる。自分大好きなんですよ、あの人たちも。
私たちに足りないのは、それよ!
自分大好き!
この話など、女優さんって容赦ない生き物だなあ、と感心してしまいます。
芸能人同士ならともかく、西原さんは、有名漫画家だけど、いちおう「しろうと」じゃないですか。
にもかかわらず、ポジショニングに妥協なし!
なんのかんの言っても、身につまされるコメントも、たくさんあるんですけどね。
「結婚する男の最低条件って、何ですか?」というお題に、東京都の33歳女性・既婚から送られてきたメッセージに関して。
結婚のサイテー条件は「定職」。定職ですよ、定職。朝起きて、決まった時間に出勤して、仕事! 社会への適応力! もう、いい年してアルバイトとか、社会保険入ってないとか、年金払ってないとか、職場に給料前借りしているとか、うんざり!
この不況でしょ。ぶっちぎり。ダントツだったの。「働かない男はもう、まっぴら!」というご意見が。
えびこさんも、痛い目みたんでしょうか。大事よね〜、働いてるって。てゆうかココ、ハズして何とれっていうの。人生の基本だもん。きっとね、旦那がリストラされたとか求職中とかでツライ時期を耐えてる方も、いっぱいいらっしゃると思うんです。ああ、みなさんの悲鳴が聞こえるー。
ネットでときどき見かける、結婚情報会社のアンケートや、いわゆる「発言小町」などでは、「結婚相手へのあまりに高すぎる望み」が散見され、炎上することもあるのですが、この「最低限」=「定職があること」というのは、まさに「ホンネ」なんだろうなあ、と思います。
それで苦労したのだろうなあ、と思われる人からのコメントだけになおさら。
まあ、そんな「当たり前のこと」が難しいのが、いまの日本の現実なんですけどね……
西原さんの「食育」についてのこんな言葉も印象的でした。
子どもが小さいうちはフルタイムで働くのは難しかったりするし、パートで一生懸命働いて、疲れて帰りに寄ったスーパーでお惣菜が半額になってたら、そりゃ買っちゃうって! 私が「食育」って言葉をキライなのは、そういう現場の苦労が見えていないからなんですよ。そりゃあね、無農薬のホウレンソウでおひたし作った方が体にはいいですよ。けど、そういうものは高いし、手間も時間もかかる。ヘタすりゃその日のパート代が食費で飛んでっちゃう。実際のところは、世のお母さんたちがまず最初に削るのが食費で、最後まで削らないのが教育費ですよ。自分の食べるものをワンランク、ツーランク落としてでも、子どもたちにいい教育を受けさせたいって思うのが親心。そういうギリギリの算段をしてるのに、上から「その食生活はなってない!」とか言われたくねえよ。タコ。私も、昔、実家が経済的に一番大変だった時期に東京の予備校に送り出してもらったから、そういうのは本当に腹が立っちゃう。
「食事よりも教育費!」なんていうのは、たぶん、ネットの掲示板に書くと、反論されまくるのではないかと思います。
正直、「見たくないこと」「聞きたくないこと」も書いてあるし、「サイバラ基準」の奔放さを一般人がマネしたら大怪我するんじゃないか、という気はするんですよ。
でも、西原理恵子という強烈な個性の傘の下だからこそ、「ネットの掲示板にも書けないようなホンネ」があらわれてもいるのかもしれません。