琥珀色の戯言

【読書感想】と【映画感想】のブログです。

プレーンズ ☆☆☆


あらすじ: 農薬散布機のダスティは世界で一番速いレーサーになることを夢見ているが、レース用飛行機でない上に、高いところが大の苦手で低空飛行しかできなかった。しかし、最速のレーサーになりたい気持ちを抑えられないダスティは、仲間や伝説の元海軍飛行教官の協力により、念願の世界一周レースへの出場を果たす。最新鋭機に交じって奮闘するダスティの前に、世界最高峰のヒマラヤ山脈が姿を現わし……。


参考リンク:映画『プレーンズ』公式サイト


 2014年1作目の映画館での鑑賞作品。
 5歳の息子と一緒に、2D吹替え版を観てきました。

 お正月休みの1月2日の14時からの回だったので、もしかしたら、もう満席かも……と思っていたのです、それほどの混雑でもなく、観客は40人程度でした。


 昨年末に、プロモーションのためか、ピクサーのアニメが続けてテレビ放映され(ちなみにこの『プレーンズ』は「『カーズ』ファミリー」という位置づけではありますが、ピクサーの制作ではないようです)、この『プレーンズ』の最初の何分間かがテレビで先行放映されていました。
 それを観ての僕の率直な感想は「これ、車が飛行機に置き換わっただけで、『カーズ』とおんなじにしか見えないんだけど……」だったのです。
 『カーズ』の公開が2006年。
 まあ、当時の子どもたちは、もうアニメ映画に心躍らせる年齢ではないかもしれませんが、それにしても、最近の子どもたちだって、DVDやブルーレイで、『カーズ』を観ているはずなのに。

 
 逆に、どのくらい「『カーズ』のまんま」なのかという、黒い期待を抱きつつ、「プレーンズ!プレーンズ!」と上映開始が待ち切れずに椅子の上で飛び跳ねている息子と一緒に鑑賞。


 結果的には、90分の上映時間、息子も退屈せずに観ることができたようで、とりあえずよかった。
 僕としては、まあなんというか、それなりによくできた乗り物アニメ映画だと思うのだけれども、先に『カーズ』を観ていると、『カーズ』の素晴らしさを再確認できてしまう、そんな感じではありました。
 そもそも、あの地球一周レースのレギュレーションがよくわからない。
 あれって結局、途中のステージは、次のステージのスタート順を決めるためだけのものなの?
 『ゴチバトル』の最終戦かよ!とツッコミたくなってしまいました。


 また、『カーズ』の主人公、ライトニング・マックイーンは、「すごく実力はあるけれど、傲慢で性格に難があるトップレーサー」という設定で、そういう人が、あのような経験によって「人間的に成長する」というのは、僕にも頷けるんですよ。
 まあ、そういうことは、あるだろうな、って。


 でも、『プレーンズ』の主人公・ダスティは、農薬散布機でありながら、名だたるレース用の飛行機たちに、特訓したくらいで勝ってしまう。
 さすがにそれは、どうなのか?と。
 お伽噺、なのはわかっているんだけれども、レースって、そこまで甘くはないよなあ、みたいなことを、ついつい考えてしまうのです。
 親としては、こういうふうに「小さくまとまらずに、夢を持つこと」を訴える映画を子どもに観てもらうのは、悪いことじゃないと思うんですよ。
 でもその一方で、「農薬散布機がレース用の飛行機とレースをして勝つという夢」が、いかに残酷なものなのか、ということもわかっているのです。
 ダスティが仲間を助けるシーンとか、仲間がダスティに心を開いていくシーンとか、「やっぱりいいなあ」と思うところもたくさんあったんですけどね。


 ただ、主人公・ダスティと仲間たちの関係が、『カーズ』ほど細やかには描かれておらず、脇役に感情移入しにくい気はしました。
 『カーズ』では、脇役たちにもそれぞれ、背景にドラマがあるのが伝わってきたんですよね。
 『プレーンズ』では、仲間やライバルも、ラスボスを除けば、みんな「いいやつ」なんだけど、あまり印象に残らなかった。


 日本人である僕にとっては、なんでここでこんなに「海軍推し」なの?とか思うところもあったし。


 つまらなくはないし、もしかしたら、子ども向けには、『カーズ』がちょっと難しかった、という判断だったのかもしれないけれども、後発なのに、ちょっと『カーズ』よりも雑なつくりの作品だな……
 こういうアニメの3D化というのは、作品そのものがターゲットとしている子どもたちの年齢層が、親にとっては「ちょっと3Dは早いかな……」というくらいなのも、ちょっともったいない感じもします。


 とりあえず、息子は喜んで観ていたので、これはこれで、ちゃんと「届くべきところには、届いている映画」なのだろうな、とは思います。

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