親孝行できるかな? (メディアファクトリーのコミックエッセイ)
- 作者: たかぎなおこ
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/メディアファクトリー
- 発売日: 2015/03/13
- メディア: 単行本
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内容紹介
たかぎなおこアラフォー世代。そろそろ、親孝行もしたいお年頃。シルバー世代に足を踏み入れた両親をなんとかよろこばせようと、韓国旅行や東京案内に奮起する姿を描きます。
●父を初海外に連れ出せ! 大作戦
●なんでも「お宝化」してちっとも片付かない魔窟な実家との格闘
●実家に帰省しては後悔すること
●理想の娘じゃなくてごめんね
などなど、娘と父、母との笑えてほろっと泣けてくるコミックエッセイです。
たかぎなおこさんは、相変わらず、「感じのいい人」だなあ、などと思いつつ読みました。
たかぎさんは1974年生まれだそうで、たしかにもう「アラフォー」なのですね。
『150cmライフ。』が出たのが2003年ですから、僕がたかぎさんの著書を読み始めてから、もう10年以上。
多くのコミックエッセイ作家が「一発屋」で終わるか、「中途半端な文化人化」して、説教くさくなっていったなかで、たかぎさんは、ずっと「ふつうの人のふつうの幸せ」みたいなものを、ふんわりと描き続けているという感じがします。
今回のテーマは、「親孝行」。
たしかに、「親孝行しておくなら、今のうち」という年頃だよなあ。
しかし、「親孝行」というのは案外難しい。
子供時代、僕の父親が「親孝行、したいときには親は無し、なんて昔から言ってな……」などと口にするたびに、「なんだよその押しつけがましさは……」と辟易していたのですが、実際にそうなってみると、昔の人の正しさを噛みしめざるをえません。
でもねえ、難しいんだよね、「親孝行」ってさ。
あの「マイブームの仕掛け人」である、みうらじゅんさんが、以前「親孝行プレイ」を推奨されていましたが、それがブームになる気配は全くありませんでした。
この『親孝行できるかな?』を読んでいると、「自分とは世代の違う『親』が喜ぶツボを見つけるというのは、血がつながっているからといって、そんなに簡単なことではない」ということが伝わってきます。
あるときはピザのおいしい店に連れていったらピザよりもムール貝に夢中
隅田川の水上バスに乗せたら大喜びだったものの…そのあと着いたお台場には無反応
と思えばフラッと入ったコーヒーショップに大はしゃぎ
ああ、確かに、こんな感じだよなあ……
こちらが喜ばせようと頑張ってセッティングしたところは噛み合わず、予想外のところで好反応が!
いやまあ、予想外でも、喜んでくれるポイントがあれば、良いんですけどね……
実際は「どこに連れていっても反応が悪く、『やっぱり家がいいね』とか言われてしまってガッカリ」なんてことも少なくありません。
身内なだけに、リアクションに遠慮がない。
こういう「予想外の反応があまりに多すぎて読めない」というのは、僕にとっては6歳の息子の反応と似ているなあ、と。
子どもを喜ばせるのも、けっこう難しい。
あと、たかぎさんの高校時代にはじめて北海道旅行をしたときに、なぜか御両親が買いたがった「木彫りの熊」の話には、思わず笑ってしまいました。
たかぎさん、あなたは僕ですかっ!
うちにもあるんですよ、その『北海道で買ってきた木彫りの熊(鮭をくわえているのがポイント)。
土産物屋で「こんなにかさばって、何の役にも立たなさそうなもの、誰が買うんだ?」と思っていたものが、実家に鎮座していたときの衝撃と言ったら!あと、狸の大きな置き物とかもあったんだよなあ。
大人になったら、ああいうものが欲しくなるのだろうか?と疑問だったのですが、今のところ僕はまだ欲しくはなっていないようです。
なんとか親孝行しようという、たかぎさんの格闘っぷりに、ものすごく親近感がわいてくるし、「そうそう、親孝行って、そんなにうまくいかないものなんだよね……」って、ちょっと安心もできるコミックエッセイです。
実際は、「やらなきゃ!」と思っているうちに時間が過ぎていくばかりで、たかぎさんのように、ちゃんとやっている人は、そうそういないだろうとは思うのだけれども。