- 作者: 織田博子
- 出版社/メーカー: イースト・プレス
- 発売日: 2015/01/17
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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内容紹介
ロシアの人ってあったかい
サンクトペテルブルクからモスクワ、そしてシベリア鉄道へ!
どこまでもつづく絶景を眺めながら 乗客たちとウォッカで乾杯! 9000キロの果てなき大地を駆け抜ける列車の旅!
一緒に旅する気持ちになれるコミックエッセイです。
シベリア鉄道か……
なんか水野晴雄さんのことを思いだすな……って、あれは『シベリア超特急』ですね……
名前は聞いたことがあるし、鉄道好きとしては、一度は乗ってみたいけれど、現実的に一生乗ることはないだろうな、というのが僕の実感でした。
このコミックエッセイ、実際にモスクワからシベリア鉄道で北京まで一人旅をした著者が、車内での体験や同乗した人たちとのふれあいを描いたものです。
最近、世界が殺伐としているような気がしているのだけれど、懐に入ってみると、ほとんどの人は、けっこう優しいし、困っている外国人をみると、手を差し伸べてくれる人も少なくない。
その一方で、「ロシアで地下鉄の切符売りのおばさんにお釣りを投げて返された」なんて話を読むと、それだけで、「こういうのって、けっこうキツいよなあ……」と尻込みしてしまうのも事実なんですけど。
僕も昔、ラスベガスで通りがかりのアメリカ人らしき若者に、車から罵声(たぶん)を浴びせられて、すごくイヤな気分になったことを思いだします。
10の親切と1の不快な出来事があったとして、その1のほうばかり思いだしてしまう性格だと、あまり海外旅行には向いていないのかもしれませんね。
でも、これを読んでいると、無口で無愛想で、何を考えているかわからない感じがするロシアの人たちが、シベリア鉄道で同室になった著者に、当然のように食べ物をおすそわけしてくれたり、お酒が入るとすごく饒舌に、明るくなったりすることもわかって、なんだかちょっと嬉しくなってきます。
ああ、どこでもいっしょ、なんだな、って。
シベリア鉄道というのは、その距離と所要時間の長さもあって、観光客がほとんどなのではないか、と僕は思っていたのですが(著者もそう思っておられたそうです)、実際は、モスクワからイルクーツクというロシア国内での移動のための「生活列車」として利用している乗客が多いというのも初めて知りました。
あらためて考えてみると、「なぜ飛行機で移動しないのだろう?」とも思うのですけどね。
料金の問題なのか、飛行機恐怖症なのか……
ちょっと調べてみると、イルクーツクには国際空港があるのですが、滑走路が短く、周囲が丘に囲まれ、市街地に隣接している「ロシアで最も離着陸が困難な空港」なのだそうです。
1997年にはロシア空軍の輸送機が離陸直後に住宅街に墜落し、72名が亡くなっているのだとか。
なんでそんな場所に空港をつくってしまったんだ……という感じではありますが、僕にとっては身近な福岡空港も、日本では名うての「難着陸空港」なんですよね。
現実的にはシベリア鉄道での旅なんて、無理だよなあ、なんて思い込んでいたのですが、この本を読んでみると、「もしかしたら、僕でもやってみたらできるんじゃないかな」と、ちょっと希望がわいてきました。
すごく温かい気持ちになれるコミックエッセイです。
「ロシアの女軍人さんは、ミニスカ率が高い」「黒のストッキング+ハイヒールも多い」なんていうのを読むと、「ちょっと見てみたいかも……」などとも思うのです。
いや、現実に軍人さんと遭遇したら、「すみません、僕は悪い人じゃないです!」って、固まってしまうこと請け合いですけど。