- 作者: ひろゆき
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2018/10/12
- メディア: 新書
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Kindle版もあります。
- 作者: ひろゆき[西村博之]
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2018/10/12
- メディア: Kindle版
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内容紹介
「ああ言えばよかった」と日々モヤモヤしているあなたへ
敵を作らず、かつ理路整然と言い返し、
他人を思い通りに動かす方法を伝授します。
「論破力」とは、説得力のある話し方のこと。
論理的な話し方の基本や、便利なキラーフレーズなど、
ビジネスから日常のイライラにまで役立つスキルが満載!
"自分史上最強モード"でストレスフリーな毎日を
これを読みながら、僕は『嫌われる勇気』と同じだよなあ、と考えていたのです。
ここに書いてあることは確かに有用だと思うけれど、これを実行するには「他者の目を気にしないメンタルの強さ」が必要であり、それこそが、「頭ではわかっていても、日常で運用できない理由」なんですよね。
ひろゆきさんの場合は、こういう「身も蓋も無い正論」が、キャラクターの一部として認知されているから通用するだろうけど、周囲から認められていない人が同じようにふるまっても、良くて黙殺、悪ければ排除、ということになりそうです。
僕は自分がひろゆきさんのように生きるのは無理だと思うので、「こういう人は何を考えていて、どう対応していけばいいのか」を考えながら読みました。
ひろゆきさんは滅法頭がいい人なので、この新書のなかで「相手を論破するための手練手管」を語りながらも、その限界についても言及されています。
実生活でも論破力は諸刃の剣ということをまず知っておいてほしいと思います。夫婦ゲンカで相手を論破しても、いいことなんてまったくないでしょう。
たとえば営業マンだったら、相手にモノを買ってもらうことが目的ですよね。大事なのは「いや、いらないよ」と言われないようにすること。つまり、論破しようなんて考えるよりも、酒でも飲みに行ってお客さんと仲よくなるほうが、効率がいいわけです。
そのときは買ってもらえなかったとしても、別の商品が出たときに「これは、どうですか?」と、仲がよかったらまた話ができますね。その場で相手を言い負かしても、「もうおまえからは絶対買わねえ」となったら、まったく意味がないでしょう。
会社の中でも上司を論破して飛ばされてしまう人とか、けっこういると思います。その意味では、論破力は「取り扱い注意」でもあるということです。
人生うまくいくことが目的であって、論破力はあくまでもその手段なのですよ。
その場で相手をやり込めたところで、じつはなんの意味もない。人を説得するときは論破したその先、つまり人生うまくいく可能性まで想像しましょうね。
相手を「論破」すると、確かにスッキリするかもしれないけれど、長い目でみれば、それで恨まれたり、嫌われたりしてマイナスになることも少なくありません。「仲良くできるなら、そのほうがずっと良策」のことが多いのです。
ひろゆきさんは、議論の際には、相手を打ちのめすというよりは、その議論を見守っている第三者(ジャッジ)に自分の正しさを認めてもらうほうが大事だと仰っています。実際、ネットでの議論では、どちらかが納得して折れる、という事例は少ないのです。
第三者によって炎上させられたり、実生活での不都合が出ることによって謝罪せざるをえなくなることはあっても。
「正しさ」を比べるよりも、「権力を持っている人に弾圧されている」というアピールしたほうが、効果的なこともあります。
この「第三者の反応を見極める」というのが、一筋縄ではいかないんですけどね。
こんな話も出てきます。
高校のときにもこんなことがありました。数学の代数・幾何の授業があまり好きではなくて、おいらマンガを読んでいたのですよ。
当たり前ですが、すごく怒られて授業もストップしてしまった。ただし、おいらはマンガを読んでいただけで、授業の進行を妨げるような迷惑なことは一切していません。なので、「先生が注意しなければ何も起きず、そのまま授業ができたのでは?」と言ったわけです。
さらに言い争いになって、最後に「こういう言い争いをしている時点で、時間がどんどん無駄になっているから、授業を妨害しているのは先生ですよね?」と言ったら、先生が「もう、いい」と引き下がって……。
要は、古典のときには「眠りたい」、数学のときには「マンガを読みたい」という強い願望が先にあって、つい先生に口ごたえしてみたら、結果的に論破できてしまったというわけです。
ただ、どちらも「理不尽」な先生だったらたぶん勝てなかったと思います。論理的に話す先生だったからおいらのほうが勝ってしまったのでしょう。
たとえば、「もうルールで決まっていて、先生に言われたとおりにするという制度なんだから従うしかないんだよ」という話なら、こちらも反論できないわけです。「文科省がやれって言ってるからやれ」とか言われたほうが、ぜんぜんスッキリしたと思う。ただ、先生という職業の人はプライドが高めだからそういう言い方はできません。それは、つまり弱点ですよね。
要するに、「私、頭がいいんです」とか言っている人のほうが足をすくわれやすいということなのですが、このことは、またあとで説明しましょうか。
三谷幸喜監督の『清須会議』という映画に出てくる丹羽長秀がまさにこの「頭が良くて、理屈で物事を判断する人間であると自認しているがゆえに、足元をすくわれてしまう人」なんですよね。
ただ、こういう「論破力」が通用するというのは、「頭が良いことが尊重されるインテリの世界」「平和な世の中」だからでもあるのです。
太平洋戦争中に、ひろゆきさんが一兵卒として従軍していたら、上官を「論破」しても酷い目にあわされるだけでしょう。
「上官に逆らうとは、けしからん!」で終わる世界では、「論破力」は役には立ちません。
この本のなかには、実際にひろゆきさんが駆使している、さまざまな「技術」も紹介されています。
討論番組とかで、人が説明しているときにそれをさえぎろうと言葉を一生懸命かぶせてくる人がいるじゃないですか。でもおいらは、どんなにじゃまされても自分の論を最後まで言い切るようにしています。
ただ、そのときに大事なことが二つあって、
(1)議論をしている相手ではなくて、番組を仕切っているメインパーソナリティーのほうを見て話す。
(2)できるだけ大きな声で話す。
ということ。要は、収録の現場で「この人にしゃべらせたほうがいいな」という空気をつくると最後まで話せるし、あとでカットもされずに放送されるというわけです。
討論番組とかでは声が大きいほうが有利ですよね。それだけで現場では相手が突っ込みづらい状況になります。
また、人間というのは複数の人たちが言っていることを同時に聞くことがすごく苦手です。なので、おいらだけが画面に映って話していると、視聴者にはおいらの言葉だけが聞こえるような状態になります。
つまり、たとえ相手がかぶせている言葉が放送されても、それは単なるノイズであって、「なんかちゃちゃを入れてるな、うるさいな」と相手にとってはマイナスの効果しかなくて、おいらにとってはプラスの効果になるのですよ。
なるべくメインパーソナリティーに向かって話したほうが有利というのは、考えたら当たり前の話で、番組の主役が興味を持った議論を中心に収録を進める、編集をするというのは、いわば「お約束」です。
ひろゆきさんは、これは会議にも応用できて、大きな声で話し、その場でのキーパーソンを意識することで、意見が採用される確率が上がるはず、と仰っています。
「論破する」というのは、あくまでも選択肢のひとつでしかないのです。
討論番組とかでは、言っていることが正しいか間違っているかで議論するので、当然ながら間違っていることを言ったら負けになるわけです。
でも、たとえ間違った主張であっても、議論を見ている人たちが正しいことを言っている論敵のほうを「この人、嫌な人だよね」と思うような議論の進め方というのもあるのですよ。
何度か「人を殺すのは本当に悪いことか」というテーマを例に、論破の仕方について述べました。その議論の過程で、「悪い人を殺すのは、無条件でいいこと」という結論が導き出されたとしたら、殺される対象が悪い子どもであっても、それは正しいことになります。
つまりこの議論の流れでは、「悪い子どもでも、とにかく子どもを殺すのは悪いこと」という主張は間違いであって、それを言ったら議論に負けるわけです。
けれどもおいらは、そうした状況ではきっと子どもを守るポジションを取ります。「子どもが殺されたら、かわいそうじゃないですか」などと言い続けるでしょう。
議論としてはおいらの負けです。ただ、討論番組とかを見ている一般の人は論理的な正しさよりも感情的に反応するので、「悪い子どもは殺してもいい」と正しいことを言った人には「あの人は子どもを平気で殺す人なんだ」という、ネガティブなレッテルが貼られてしまうわけです。
要は、「試合に負けて勝負に勝つ」というのも立派な論破力ということ。
「〇〇さんが言ってることは正しいと思うんですけど、僕にはできないんです」といった言い方では、もちろん相手を論破することはできません。
けれども、世間的には「いい人なんだな」というイメージを持たれる。それはつまり、最終的には勝ちなのですよ。
その場で相手を黙らせるのは局所的な「論破力」でしかなくて、戦略的には「論理で負けても、自分の好感度を上げる(あるいは、相手の好感度を下げる)」ほうが有効なこともある。こういう、大局的な「論破力」についても、目配りがされているのです。
ひろゆきさんのことが苦手な人ほど、役に立つ新書だと思います。
- 作者: ひろゆき
- 出版社/メーカー: 大和書房
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