あけましておめでとうございます。
2022年もよろしくお願い致します。
Kindle版もあります。
芸人でもある厚切りジェイソンによる、初のお金に関する書籍。
これだけやれば貯まるのに…Why Japanese people!? どうしてお金が貯まらないの! ?
どうやったらお金を増やすことができるのかに悩む人々へ送る、
簡単にできる、節約、資産を増やす方法、投資まで…
お金を増やすため、強いては人生を豊かにするためののヒントが満載。
40代後半になって「投資」というものに目覚め、今さらながら「お金」に関する本を読み漁っている「にわか投資家」の僕にとっても、「ああ、当たり前のことばかり書いてあるなあ」っていう本なんですよ。
でも、こういう話って、「何が書いてあるか」よりも「誰が書いているか」のほうが重要で、こんなに話題になっているのも、厚切りジェイソンさんの言葉だから届く、ちょっと読んでみようかな、という人が大勢いる、というのも間違いないと思います。
僕はもともとデータを調べること、そしてそのデータを基に一番効率よい方法で効果を得るということを大切にしています。投資においてもその考えは変わりません。
過去のデータ、著名な投資家たちの考え方をベースに、毎日の仕事や家族との時間を犠牲にすることなくお金を増やすと方法を導き出しました。その結果が約13年間でのFIRE(Financial Independence(経済的自立), Retire Early(早期退職)の略語)です。
13年という年数が早いのか遅いのかはわかりません。ただ、ひとつ言えることは、僕はとても堅実にお金を増やしてきました。そう、僕はとても保守的な投資家なんです。そういう意味では、投資に対して「ギャンブル」「怖い」「銀行が一番安心」という意識が無い日本人には向いている投資法だと思います。僕の投資法はとてもシンプルです。「長期・分散・積立」するだけ。
つまりできるだけ長い時間、リスクを減らしてお金をコツコツ入金するということ。毎日市場を調べたり、株価の上下に気落ちする必要は一切ないんだ。
この本に書かれていることは「ダイエットしたかったら、食事を減らして、身体を動かせばいい」というような、「ごくあたりまえのこと」「王道」なんですよ。
世の中には、いろんな「ダイエット本」が出ていますが、これさえ食べれば痩せられる、とか、「好きなだけ食べても太らない」というような「裏ワザ」に人はひきつけられやすい。でも、あれだけ「裏ワザ本」が生まれてきたけれど、そのなかに「これは間違いない」という定番の地位を獲得したものはありません。
僕自身も、この3年間くらい、株を買ったり、投資をしてみたりしてみたのですが、結果的には「これは上がりそう!」と信じて買った個別株はいつのまに大幅に下がり、『は〇な』の株は40万が25万になったときに応援のつもりで買ったのですがその後も下がり続け、いまでは25万の半額です(ここまで来ると、もう売るに売れず、って感じになるんですよね)。
プラスになったのは、コロナ禍のなかでも積み立て続けたロボアドバイザーと優待や高配当に惹かれて買った大企業の株でした。
結局のところ、プロのトレーダーやAIに素人がギャンブラー気分で立ち向かっても、もてあそばれるだけなのですよね……
「短期間で大きなリターン」を求めるような投資は、リスクが高すぎる。
ただ、僕自身の実感としては、この「長期・分散・積立」が正しいのはわかっているのですが、自分でやるとなると、退屈というか、面白くないんですよね本当に。
近年は、新型コロナウイルスの流行で、一時的に日経平均株価が下落したあと、かえって3万円くらいにまで上がったため、「すごく儲かった人」も多そうですが、リーマンショック以降の日本の「失われた20年(30年)」は、株価もほとんど上がらず、定期預金の利子も年に1回コンビニのATMでお金を引き出したらもう赤字、という時代だったのです。
そういう「停滞期」にも淡々と積立を続けるのは、けっこうきつい。
この本にも「世界経済は長期的にみれば右肩上がり」というグラフが紹介されているのですが、生きている人間としては、そのグラフでは1ミリの長さにもならない1年間、いや、1か月間だって、けっこう長いし、急にまとまったお金が必要なことも多い。
「マネーリテラシー」ってよく聞く言葉だよね。英語だからかっこよく聞こえるけど、つまりはお金とうまくつき合うための知識や判断力があるかっていうこと。だからといってすごい資産形成の知識を知っていなくちゃいけないというわけではないよ。日々の生活の中で「今、使っているお金は本当にその価値があるのか?」と判断できるかどうかが一番大切だと思う。
この話をするとみんな笑うんだけど、この間、マネージャーがロケ先で和紙製のマスクを買ったんです。僕がなにげなく「それいくらだったの?」って聞いたら「いくらだっけ?」と言いながらレシートを見直して「えぇ? 1500円もしたの⁉」って自分のことなのに驚いているんだよ。もう僕はそれが信じられなかった。だって、彼は値段を見ずにマスクを買ったんだよ。自分が買ったものが、支払った金額に値する価値があるのか、まったく考えないでお金を使っているってことだよね。もうそれが僕には信じられない。
でも、この話で笑った人も同じようなことを日常的にしていると思う。例えばあなたは毎日お店で300円とかするコーヒーを買っていませんか? たった300円と思うかもしれないけれど、1ヶ月で9000円、1年で10万8000円だよ⁉ もちろん、そのコーヒーに10万円以上の価値があると思っているのであれば僕は一切否定しない。大切にしているものは人それぞれだからね。でも、もしこのコーヒーを家で淹れて持ってきたらどうだろう。その10万円を投資に回すことができて、今より少し早く経済的自由を得ることができるんだ。
ネットショッピングが趣味で、「積みゲー(買っただけで遊んでいないテレビゲーム)」や読んでいない本に囲まれて暮らしている僕にとっては、身につまされる話ばかりなんですよ。
これはストレス解消に必要なんだ、と自分に言い聞かせているけれど、本当にそうなのか?
でも、飲み物は絶対にコンビニでは買わない、とか、飲み会にも極力行かない、というような節約術は「合理的ではあるけれど、ラクをして生きる、人生を楽しむという観点からは、欠けているところがあるのではないか」とも感じます。
ジェイソンさんは、「貯蓄をすること」は手段でしかなくて、「資産があれば、老後への不安がなくなるし、ムダな出費を抑えて、本当に必要なことにお金を使うべき。そして、資産を持つことによって、『お金のために、やりたくないことをやらずに済む。自分が本当にやりたいことを選べる』」とも仰っているのですが。
何気なく買っているコンビニのコーヒーとか自動販売機の飲み物とか、年単位でみれば、けっこうな支出になっているんですよね。
もちろん、「コーヒーショップの居心地のよさやコーヒー専門店の味に価格相応の価値を見出している」のであれば、それはそれで良いのでしょう。
「節約生活ができる人」というのは、お金が溜まっていくことや、節約のために工夫して生活することそのものが、その人にとっては楽しいのではないか、とも思うのです。
そして、僕にとっては「積みゲーになっても、それを買うことそのものが楽しい」。
まあ、向き、不向きって、やっぱりありますよね。
ジェイソンさんの場合は、ハーバード大学卒業で世界的な大企業で働いたり、新興IT企業の役員として高い収入を得ている(もちろん芸能人としても)から、13年間でFIREできるくらいの資産を築けたのも事実でしょう。
漫画『カイジ』で強制地下労働をさせられているカイジが、なけなしのお金で缶ビールを買って「キンキンに冷えてやがるぅ~!」と喜びの声をあげるのが映画版では定番のシーンなのですけど、ああいう状況だと、一時の快楽優先にみんななりますよね……やっぱり、「環境」とか「その人が置かれている状況」も大事。
この本、「お金は欲しいけど、『投資』なんていまの自分には縁遠い、金持ちだけのもの」と思考停止してしまっている人に、ぜひ読んでみていただきたい。
「そこそこお金を持っている人たち」は、この本に書かれていることは「こんな当たり前のことが書かれている本が、なんで売れているんだ?」と思っています。
その「基礎知識の差」「学ぼうという姿勢の有無」こそが「格差」の源なのかもしれません。