琥珀色の戯言

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【映画感想】ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り ☆☆☆☆

あらすじ
さまざまな種族やモンスターが共存する世界、フォーゴトン・レルム。盗賊のエドガン(クリス・パイン)は相棒の戦士ホルガ(ミシェル・ロドリゲス)と共に、ある目的のための旅を始める。魔法使いのサイモン(ジャスティス・スミス)らも加わり、世界を脅かす悪の勢力を倒すべく、彼らは立ち上がる。


dd-movie.jp

2023年映画館での鑑賞6作目。
平日の夕方からの回を観ました。館内には僕ともう一人。
うーむ、まあこんなものか、という感じです。

個人的には、『ダンジョンズ&ドラゴンズ』!『D&D』!あの伝説のテーブルトークRPGの世界が映画に!
とひそかに盛り上がっていて、でも、この手のファンタジー映画って、地雷率高いしなあ、と迷ってもいました。
ネットでの「みんなのレビュー」では、10点満点で、7点、8点くらいの「大傑作!ではないけれど、けっこう楽しめた」という評価が多く、僕も久しぶりに何か映画館で映画を観たい気分だったので、この作品を選んだのです。

D&D』とタイトルにつけているくらいだから、『ロードス島戦記』みたいな、若い人には『ダンジョン飯』とか『ダンまちダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか)』みたいなダンジョンを舞台にした(『ロードス』はダンジョン特化型ではないけれど)剣と魔法のファンタジー映画なんだろう、と思いつつ、観はじめました。

うーむ、なんというか、『ロード・オブ・ザ・リング』や『ホビットの冒険』を伊勢丹とするならば、コストコとか九州でいえば『トライアル』みたいな映画だな、と。全体的に物語が「軽い」し、御都合主義で展開が早い。高級感は皆無だけれど、安くて手軽だからこそ、買い物かごに躊躇なく商品を放り込める。

それでも2時間以上の上映時間なのですが、観ていて時計がほとんど気になりませんでした。
のめり込む、までの感覚はないけれど、退屈はしない。

「つまらない」かというと、「わかりやすくて気軽に観られるし、悪いやつらはきちんと悪いし、RPG好きにとってはちょっと笑ってしまうくらいの小ネタも散りばめられていて、けっこう楽しい映画だったのです。
「激安『ロード・オブ・ザ・リング』」ではあるのですが、あちらが観る前に気を引き締めて画面に集中しなければならない「大作」であるのに対して、この『ダンジョンズ&ドラゴンズ』は、まあ、「B級」だし、気楽に観よう、とリラックスできるのです。
「テレビでやっている映画をなんとなく観はじめたら、それなりに面白いし、せっかくここまで観たのだからとやめられなくなり、結局最後まで観てしまった」という経験は、多くの人があると思います。


最近、Amazonプライムビデオの超大作『力の指輪』の第1期を全話観た人は1話でも観た人のうち37%しかいない、というのをネットで観たのです。

news.livedoor.com

僕も実は「力の指輪』、1話しか観ていないのです。楽しみにしていたはずなのに!
映像はすごいし、よくできているなあ、(Amazonのプライム会員であれば)これを無料で見られるのか、と感心しましたし、続きも「いつか観る」つもりではあるものの、その「いつか」はいまだに訪れていないのです。
映像美や世界観の作り込みはすごいのだけれど、1話1時間はけっこう長いし、世界観がしっかりした物語は、それなりに覚悟と集中力を要します。
第1シーズンの8話をちゃんと観た人が4割弱と聞いて、「全盛期のイチローの打率くらいの人がちゃんと8話観届けたのか」と驚きました。
とはいえ、話題になっているからと数分観て、興味がわかず、すぐにやめたのではなく、『力の指輪』をとりあえず1話最後まで観たということは、ファンタジー世界に興味もそれなりの予備知識もあって、ある程度は「ついていけた」人だったはずで、これだけ選択肢がたくさんあると、「重厚な作品」はちょっときつい、という人は案外多いのかもしれません。

この『ダンジョンズ&ドラゴンズアウトローたちの誇り』、長年RPGを見て、遊んできた僕にとっては、「この内容で、『ダンジョン』とか『ドラゴン』とかタイトルに付けるの?」と言いたくはなるんですよ。
ドラゴン好きなら『ホビットの冒険」とか観た方がいいし、ダンジョンというより、遊園地の巨大迷路です。

いやほんと、これをフルプライス(2000円くらい)で映画館で観るのは、僕はそれなりに満足できたけれど、他人には「配信サービスに入ったら、で、良いと思うよ」って言わざるをえない。
でも、「よくできた『なろう小説』的」というか、観客を不快にさせない御都合主義を極めた、というか、肩の力を抜いて作ったように見えるけれど、観客が引っかかりそうな不快なシーンとかイデオロギーを丁寧に消した娯楽佳作で、僕はけっこう好きでした。

世の中がこんな映画ばっかりになったら、それはそれで物足りないけれど、こういう映画を観たいときって、あるよなあ、って。
春、季節や環境の変化で、心がすり減っているときの、2時間の現実逃避におすすめです。


fujipon.hatenablog.com

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