琥珀色の戯言

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【読書感想】PCエンジン&メガドライブ発売中止ゲーム図鑑 ☆☆☆


Kindle版もあります。

幻のゲーム 275本+α

雑誌や広告で発表されながら、発売に至らず消えていった作品を調査&発掘。PCエンジンでは79本、メガドライブでは139本もの「発売中止ゲーム」が見つかった。
さらに、正式スタート前に立ち消えた構想、各誌のネタ企画なども多数。

ファミコン発売中止ゲーム図鑑』『スーパーファミコン&ゲームボーイ発売中止ゲーム図鑑』につづく、「発売中止ゲーム図鑑」シリーズ第3弾。
 かなりマニア向けの本だなあ、と思っていたのですが、こうして3冊目まで出るということは、売れているということなのでしょう。
 「マニアック」とはいっても、テレビゲーム好きの母集団はかなり大きいし、昔のゲームやそれに関連した話題が好きな人はかなり多そうです。
 こういう「本棚に置いて、ときどき眺めてニヤニヤするための本」にお金を使えるくらいの年齢にもなってきています。


fujipon.hatenadiary.com
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 正直、『ファミコン発売中止』『スーパーファミコン発売中止』だと、「このゲームの広告や記事、ファミコン雑誌で見たことがある!」と思うものが少なからずあったのですが、PCエンジンメガドライブとなると、セガの手先などと言われていた『BEEP!』の愛読者であった僕でさえ、記憶にない未発売ゲームがほとんどでした。
 
 PCエンジンメガドライブには、CD-ROMやPC-FXメガCDスーパー32Xなど、、さまざまな周辺機器や派生ハードが出ていて、PCエンジンのCD-ROMは比較的メジャーだったものの(僕も『天外魔境2』を高校の短い夏休みをほとんど全部費やしてクリアした記憶があります)、PC-FXやスーパー32となると、ハードがほとんど普及しなかったため、発売(開発)中止になったゲームが多いようです。
 メガCDとか、けっこう良いゲームはあったんですけどね。メガドライブミニ2には、そんなメガCDのゲームがけっこう収録されていて感涙ものでした。
 メガドライブは、アメリカでは『ジェネシス』として『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』を看板にかなり売れており、アメリカでだけ発売されたものも多かったようです。
 『トージャム&アール』とか、アイスホッケーのゲームとか、日本ではやっぱり厳しそうだものなあ。

 メガドライブの未発売ゲームとして、最も世に知られているのは『テトリス』でしょう。
 僕も当時、突然の発売中止に「任天堂好き勝手やりやがって!」と憤りつつ、ゲームボーイ版はさんざん遊んだし、友達が見つけてきたメガドライブ版『テトリス』をデパートで購入しました(実家がなくなるときに、どこかへ行ってしまったのですが)。まあでも、遊んでみれば、「うん、やっぱり『テトリス』だな」という感じではあったのですが。

 メガドライブ版は、版権を巡って任天堂と争い敗れたテンゲンから許諾を受けており、いわば玄孫ライセンシーの立場。セガは発売を断念し、製造された30万本ほどは、ごく一部を除いて、倉庫で数年間眠った末に廃棄処分という悲劇の全消しとなった。
 1996年にザ・テトリス・カンパニーが設立され、任天堂の独占使用権は解除される。セガも正式にテトリスの許諾権を得られるようになった。プレステ2メガドライブミニでの復刻・商品化の際、ファンの盛り上がりとは対照的に、セガの公式発表は粛々としたものだったように思われる。その姿勢は、本作の記憶の苦さを物語っているのかもしれない。


 「大量に廃棄されたゲーム」としては、アタリの経営を傾かせた、『E.T.』(1982年発売)が知られています。

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 しかしながら、『E.T.』は映画の人気をあてこんで急ごしらえでつくられた「クソゲー」というのが世間の評価でした。
 メガドライブテトリスは、当時遊んだ僕も、こんなにデキがいいのに、もったいないな、と感じました。
 セガとしては、当時の「正規の手続き」を踏んだはずなのに、契約問題ではしごを外され、30万本を廃棄する羽目になってしまったのは、悔しかったでしょうね……1本5000円として、15億円か……もちろん、この金額の全部がセガの利益にはならないのですが、売上がゼロになった上に、開発費・カートリッジの製作費は、すべて赤字になってしまったのだから。


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 あと、メガドライブメガCD)で発売予定でった『アプロス 天空の章』というゲームの紹介のなかに、こんな話が出てきました。

 メーカーは、パソコンで『アークス』などを手掛け、後に『テイルズ・オブ・ファンタジア』を開発するウルフチーム

 僕の愛機シャープX1の『ファイナルゾーン』や『夢幻戦士ヴァリス』のすごいオープニング映像が印象深い、あのウルフチームはその後も生き延びていて、『テイルズ』シリーズを作っていたのか!知らなかった……
 あの頃は、「ウルフチームは、ゲームのオープニングムービーに全力投球してしまい、本編をつくるときにはすでに力尽きている」とゲーマー仲間でネタにしていたものです。
 『ファイナルゾーン』とか、オープニングはものすごくカッコいいのに、ゲームがはじまると、ちっちゃいキャラがちょこまか動くだけだものなあ。

g16.hatenablog.com


 万人におすすめはできませんが、子どもの頃、ファミコン雑誌の「新作情報」を楽しみにしていたオールドゲーマーには、「放っておけない本」だと思います。
 ゲーム雑誌で読む新作ゲームの話って、なんであんなに面白そうに感じたのだろうか。


fujipon.hatenablog.com

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