琥珀色の戯言

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四日間の奇蹟 ☆☆☆

四日間の奇蹟 [DVD]

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岩村真理子(石田ゆり子)が働く小さな島の療養センターに、如月敬輔(吉岡秀隆)が千織(尾高杏奈)を伴ってピアノの慰問コンサートにやって来る。5年前、発砲事件に巻き込まれた敬輔は、千織の命を救った代わりに左手を負傷し、ピアニストとしての将来を断念したが、孤児となった千織を引き取り、生まれつき脳に障害のあるその少女から天才的なピアノの演奏能力を引き出していた。普段は人見知りの激しい千織だったが、明るく優しい真理子にはすぐに懐くのだった。

ちょっと最近、自分でも観ている映画が偏ってきているような気がしてなりません。子供、難病、死、よみがえり、タイムスリップ、身体と心の入れ替わり……もう、そういうの禁止!と言いたくもなるのですが、結局、世間にはそういう「泣かせるためだけの映画」が蔓延しきっているのか、それとも、僕がそういうものばかり選んでしまっているのか?

この映画、かなり御都合主義だし、そんなわけないだろ!とツッコミを入れたくなるような場面満載ではあるのですけど、吉岡秀隆石田ゆり子尾高杏奈西田敏行という役者陣の好演で、かなりすくわれている印象です。しかし、石田さんと吉岡さんの組み合わせって「コトーを連れ戻しに来たのかよ!」って感じではありますが。
そして、この映画って、結局僕は「奇蹟のすばらしさ」よりも「なんてこの人は不幸なんだ!」という感じしかしなかったんですけどね。

以下ネタバレ感想。
 結局、「真理子さんだけがひたすら不幸な目にあって、他の人たちがちょっとずつ幸せになっておしまい」というようなのって、なんだかちょっとあんまりだと思います。それに、真理子と千織がけっこう映像的にコロコロ入れ替わるのですが、あれはたぶん、映像的に入れ替えておかないと、絵的にロリコンの人の話にしか見えないからなのでしょうね。いや、入れ替わっているからと言われても、自分の娘のような存在の女の子と抱き合ったりキスしたりできるのだろうか。それに、いくら初恋の人だといっても、あんなに久々に会ったのにあのヘビーなシチュエーションで「好きだ」と言われたら、如月はすごく辛そうだ……そもそも、1回結婚までしてたのに、いきなり「やっぱりあなたが好き!」って言われてもねえ……
 ただ、この映画を観て僕はこんなことも考えたのです。一生懸命「良い嫁」であろうとした(そして、夫とも仲がよかった)真理子さんは「子供ができないから」という理由で嫁ぎ先の旅館から追われるように離婚させられてしまいます。そういう文化そのものがセクハラだし理不尽極まりないものではあると思うけれど、もしこの真理子さんのような女性が「代理母出産」を希望したら、「それは人間として不自然だから」と全否定できるかな、と。子供さえいれば、すべてがうまくいっていたはず、そして、本人には何の落ち度もない真理子さん。もし本人が代理母出産を望み、代理母をやってもいい、という人があらわれたら、僕は「代理母なんて人倫に反する」と真理子さんの前で言うことはできないと思います。「人類」という「総体」を語るときは、「代理母出産は人間にとって不自然だ」と断言できても、実際にそれで悩んでいる「個人」を目の当たりにして、同じように否定するのは多くの人にとって、難しいことのはずです。代理母反対の人には、ぜひ一度観てもらいたい映画です。まあ、この映画の「本筋」とは全然違う話ではあるんですけど。

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