琥珀色の戯言

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世界でもっとも阿呆な旅 ☆☆☆☆


世界でもっとも阿呆な旅

世界でもっとも阿呆な旅

内容(「BOOK」データベースより)
前人未踏!!スケベニンゲン(オランダ)、エロマンガ(バヌアツ&オーストラリア)、アホ、オナラスカ(アメリカ合衆国)、マルデアホ(アルゼンチン)、シリフケ(トルコ)、向津具、土居中(日本)などの珍地名を13年間にわたって全制覇。

世界中の「珍地名」を制覇することにとりつかれた男の13年間にわたる「収穫」をまとめた本。
スケベニンゲン」とか「エロマンガ島」などを地理の「地図帳」で見つけてニヤニヤしていた記憶がある人は、きっとたくさんいるはずです。
しかしながら、「実際にはどんなところなんだろう?」と想像をめぐらせることはあっても、本当にそこに行く人はほとんどいないはず。
学生ならお金がないし、社会人になると時間がない。
年に一度行けるかどうかの海外旅行のとき、イタリアやオーストラリアやハワイを諦めて、「名前が面白いだけ」の「エロマンガ島」を選ぶ気には、なかなかなれませんよね。
ところが、この本の著者の安居良基さんは、「東芝」という大企業に勤めながらも(逆に、「大企業だから」可能なのかもしれませんが)、世界中の「珍地名」を13年間かけて巡ってきた人なのです。
大手企業の忙しそうなサラリーマンでも、「やる気」と「根気」さえあれば、こんなバカバカしくも魅力的な「偉業」を達成できるものなんだなあ、と僕はちょっと勇気づけられました。
時間が無いって嘆いてばかりだけど、時間って、つくるものなんだな、と。

かなり写真が豊富で、眺めているだけでけっこう楽しいですし、これだけ、「気にはなるけど、絶対に自分では行かないだろうし、観光ガイドに大きく採り上げられるはずもない場所」のことがわかる本というのも珍しい。
なにぶん数が多いので、ひとつひとつの土地はそんなに詳しく書かれているだけではないし、どうしても日本国内よりも海外ネタのほうに興味がわいてしまうのですけどね。

アメリカ合衆国の北西部・アイダホ州ナンパの項より。

 ナンパの街は、なんというかものすごく普通の街です。都市育成シミュレーション「シムシティ」で作ったような、徹底的に計画的に作られた街、という雰囲気でした。
 そして、当然ですが、地元の高校は「ナンパ・ハイスクール」です。なかなか立派な高校です。校内の渡り廊下には「NAMPA PRIDE」と描かれています。なかなか立派な校訓です。
 他にも「ナンパ・クリーニング」や「ナンパ郵便局」「ナンパ空港」など、記念撮影スポットは目白押しです。
 ちなみにナンパという名前の由来は、ネイティブ・アメリカンのショショーン族のリーダー、通称「ビックフット(Bigfoot)」を指すショショーン語「Nampuh」だそうです。

珍名の紹介って、あんまり下品すぎたり、バカにしまくったりしていると、「そこに住んでいる人だっているのに……」とイヤな感じがしてきたりもするのですが、安居さんのバランス感覚は絶妙で、「珍名を持つ土地」への愛情が伝わってきます。

この本の最大のすばらしさは、「自分が死ぬまで行かないであろう、『ほんの少しだけ気になる場所』に、これでもう行く必要ないや、と安心できる」ところにあるような気がします。
それにしても、「エロマンガ島」とか、本当に『ウルルン滞在記』みたいだったなあ。それでも「訪問難易度★★★(★5つが最も難易度が高い=行きにくい)」なんだから、著者の行動力はすごい!

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