- 出版社/メーカー: バップ
- 発売日: 2013/02/15
- メディア: DVD
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[ストーリー] ありふれた時間が校舎に流れる「金曜日」の放課後。
1つだけ昨日までと違ったのは、学校内の誰もが認める“スター"桐島の退部のニュースが校内を駆け巡ったこと。
彼女さえも連絡がとれずその理由を知らされぬまま、退部に大きな影響を受けるバレーボール部の部員たちはもちろんのこと、
桐島と同様に学校内ヒエラルキーの“上"に属する生徒たち、そして直接的には桐島と関係のない“下"に属する生徒まで、 あらゆる部活、クラスの人間関係が静かに変化していく。
校内の人間関係に緊張感が張りつめる中、桐島に一番遠い存在だった“下"に属する映画部前田が動きだし、物語は思わぬ方向へ展開していく。
DVDで鑑賞。
映画が公開されたときは、ネット上でもかなり評価が高かったのですが、「うーん、40男が観に行くような映画でもあるまい」と思って、スルーしてしまいました。
でも、DVDで観ても、十分面白かった。
この映画を観ていると、自分が中学生・高校生だった時のことを思い出さずにはいられませんでした。
僕自身は中学は共学で、高校は全寮制の男子校。
だから、『桐島』で描かれているような、「男女の駆け引き」というか「女の子に石ころぼうしをかぶっているかのように扱われる男子の役割」を体験することはありませんでした。
共学だったら、間違いなくそうなっていたんだと思うけど。
で、この映画を観ながら、そのことにちょっと感謝してしまいました。
「結局、できるやつとできないやつがいるだけなんだよ」
そう言った「できるやつ」が、「スクールカーストの下層」にいるはずの映画部のイケてない男子の「全力でイケてない姿」にひるんでしまう。
「仲良し4人組」のはずなのに、人生謳歌系の2人と真面目系の2人はちょっと距離があって、お互いに相手の出方をうかがっている。
この映画をみていると、「あの頃の自分の人との接しかた」を、いろいろと思い出さずにはいられませんでした。
「仲が良いグループ」のはずだったのに、そのなかでもアイツと2人きりになると、なんとなく気まずくて、話すことがなくて困ったんだよなあ、とか。
ちょっとしたことで、「体育会系の連中は文化部をバカにしている!」とか被害妄想的な憤りを感じたり。
この映画では、橋本愛さんのポジショニングに、「えっ、まさか……」と一瞬驚かされるのですが、結局「ああ、そうだよね、そんなもんだよね」と無念さと納得を抱えてみたり。
「桐島」って何なのだろう?
でもさ、この映画、多分、実在としての「桐島」が登場してきたら、どんなカッコいい人であっても、ガッカリしてしまうような気がするんですよね。
「ああ、でもこの桐島には、○○が足りない」って。
存在しないからこそ、完璧であることができる。
クライマックスの、どこかから聞こえてくるような吹奏楽の演奏のなか、違う世界を生きているはずの同じクラスの生徒たちが一瞬だけ交わるシーンは、最近観た映画のなかでも、出色の名場面だと思います。
中途半端にみえるからこそ、これは「高校時代の映画」であり、「完成された閉じた世界」なのではないだろうか。
まあ、僕はもっとダラダラ生きていただけのような気もするのだけれども。
ぜひ一度観てみてください。
100分あまりの短い時間に、いろんなものが詰まっている映画だから。