琥珀色の戯言

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【映画感想】名探偵コナン 黒鉄の魚影 ☆☆☆☆☆

あらすじ
世界中の警察が管理する防犯カメラをつなぐための海洋施設「パシフィック・ブイ」が、東京・八丈島の近海に建設される。そのころ、江戸川コナンも鈴木園子の招待で八丈島を訪れていた。ユーロポールの職員が黒ずくめの組織に殺害されたという情報がコナンにもたらされ、不穏に思ったコナンがパシフィック・ブイに向かうと、そこで黒ずくめの組織によるエンジニアの誘拐事件が発生する。

www.conan-movie.jp


2023年映画館での鑑賞7作目。
平日の夕方からの回を観ました。観客は50人くらい。1日10回くらい上映していて、ちょうど夕食どきでレイトショー割引の時間帯でもなかったのですが、やっぱり人気あるんだなあ、という感じです。
そんなに混みそうもない回を狙ったのに!
周りには上映前におしゃべりしまくりの若者がけっこういて心配していたのですが、上映中にはとくに問題なし。
というか、そういうみんなでワイワイ楽しむような人たちが映画館に戻ってきた、ということなのかもしれません。
本当に映画版『名探偵コナン』、もはや春の風物詩になりました。
大ヒットすることによって、ちゃんと手間とお金をかけて丁寧に作れる、という良い循環ができているんですよね『コナン』。
初期の頃の映画を最近少しずつ観ているのですが、年々「大作感」が強くなってきているのがわかります。

正直、マンガやテレビアニメはほとんどフォローしておらず、毎年映画だけは観ている勢としては、よくわからないところもたくさんあり、毎回映画を観終えると「来年までにマンガ全巻読んでおこう」と決心するものの、なかなか実現できていません。
それでも、映画を見ると、ほんと、毎回ムチャクチャな話なのに、なんでこんなに楽しいんだろうなあ。
子どもたちも大喜び。

僕はこの映画版のオープニング、いつものオープニングテーマから「真実はいつもひとつ!」までの流れが毎回楽しみで、『スター・ウォーズ』『007』とともに「オープニングだけで満腹になれる三大映画」だと個人的に思っています。

今回の『黒鉄の魚影(くろがねのサブマリン)』なのですが、ひとことで言うと「灰原哀さんのターン」です。
僕は灰原さん大好きなので(賢くてツンデレの人って、昔から好きなんですよね。現実の僕には合わないタイプではあるけれど)、この作品での活躍ぶり、そして、江戸川コナンくんとの信頼関係+αには、けっこうキュンキュンしていたのです。

冒頭のコナン君の「そうくると思った」には、「僕もそう思った!」と心の中で同意しつつ、「『名探偵コナン』のお約束に、登場キャラクターがツッコミを入れるというメタ的な展開」が成り立っていることに苦笑もしました。
「黒ずくめの組織」なんか色々凄すぎるだろ、そして杜撰すぎるだろ……江戸川コナンどこにでもフリーパスすぎるだろ……そして、映画しか観てない勢には、ちょっとよくわからないところもあるけれど、とりあえず人気キャラクターにはそれぞれ見せ場があるし、恒例の新作メカも上手く使われているなあ、と。

でもやっぱり、灰原さんですよ本当に。毎回、仲間の子どもたちをちょっとクールに眺めつつ、流れを変える鋭いひとことを発する灰原さんなのですが、今回は八面六臂の大活躍。半ば捨て鉢というか、「もうなるようにしかならない」みたいな雰囲気を漂わせてきた灰原さんの「変化」が伝わってくるのです。
あまりにフレンドリーな雰囲気になってしまっては、それはそれで魅力半減、なのかもしれませんが、これからの展開に期待してしまうのと同時に、かなり長いあいだ工藤新一と江戸川コナンという「二つの存在」を生き、それぞれの立場で周囲の人たちに接してきたコナン君は、この分裂状態が終わるといろんな選択をしなければならなくなりそうです。

最後までスキがない、というか、映画館が明るくなるまで楽しませてくれましたし、僕がこれまで観た『名探偵コナン』の映画のなかでも、いちばん好きかもしれません。いやもう「灰原回」ってだけで満足なんですが。

あまり予備知識なしで観に行ったので、「なんか今回のゲスト声優の直美・アルジェント役の人、やたらと上手くて全然浮いてないな。どこの芸能人だろう?」とか失礼なことも思いつつ、しっかり堪能させていただきました。そりゃ上手いわ。

いやほんと、来年の次回作を観るまでは、生きていたいものだなと思います。
でもまあ、続きが気になるのと同時に、工藤新一/江戸川コナンは「このまま」のほうが良いのでは、といち観客として考えてしまうところもあるのです。
映画も毎年これだけ大ヒットして、今回は作品の出来の良さもあってまた興行成績を更新しそうだし、「そう簡単には終われないし、メインストーリーも進められない」のではなかろうか。
とはいえ、僕も青山剛昌さんも高山みなみさんもどんどん歳を重ねていくわけで。
「完結」したほうがいいのか、しないほうがいいのか。

とりあえず、大人(おっさん)が観てもすごく楽しい、そして、キュンとする、という言葉を久々に使ってみたくなる映画でした。


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