- 作者: 田中泰延
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2019/06/13
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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Kindle版もあります。
- 作者: 田中泰延
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2019/06/13
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内容紹介
⬛︎⬛︎⬛︎発売5日で大増刷決定⬛︎⬛︎⬛︎「バズる記事を書きたい」
「ターゲットに刺さる文章を書きたい」
「自分の思いを読んでほしい」
そんな「技術」を学ぼうとする人は、
出発点から間違っている。
もっとシンプルに、
あなたが読みたいことを、
あなたに向けて書けばいいのだ。
事実の中に、あなただけの発見を見出し、
調べて、自分に向けて書く。
その結果、あなたは誰かとつながり、
人生が変わる。
電通コピーライターとして24年、
自分が読みたいものを書くために
退職して「青年失業家」へ。
Web記事500万PV超、
Twitterフォロワー46000人超。
多くの支持を得るwebライター初の著書。
書くことは、たった1人のベンチャー起業。
「自分が読みたいものを書く」ことで、
実際に「現実が変わる」のだ。
そんな話を始めたい。
全く新しい文章講義、開講です。
著者は「はじめに」で、こう書いています。
「問題解決」のための文章や「目的達成」のための文章は、たしかにある。それは試験の小論文に合格するためだったり、会社の仕事で取引先にものを買わせるためのものだったりする。そこにはテクニックが役に立つこともあるだろう。
しかし、小論文に合格したり、上期の予算を達成したからといって、あなたはいま、めちゃくちゃ幸せになっているだろうか。めちゃくちゃ幸せですよ、と言う人は、この本を最後まで読んでめちゃくちゃ反論してほしい。いずれにせよ購入することが大切だ。
本書では、「自分が読みやいことを書く」ことで「自分が楽しくなる」ということを伝えたい。いや、伝わらなくてもいい。すでにそれを書いて読む自分が楽しいのだから。
自分がおもしろくもない文章を、他人が読んでおもしろいわけがない。だから、自分が読みたいものを書く。
それが「読者としての文章術」だ。
この本を読み終えて、あらためて考えてみると、自分が文章を書く上で役に立つテクニックは、何一つ思い出せないのです。
しかしながら、この本は「面白い」んですよね。
「役に立つ」ことを求める人にはおすすめできないのですが、「書くこと」について、面白くて気軽に読める文章に触れたい人には、読んでみていただきたい本なのです。
ただし、著者は「自分が楽しくなる」というのは、気分の問題ではなくて、書くことによって実際に「現実が変わる」とも述べています。
それは、「人気ブログになって、アフィリエイトで大儲け」みたいな「変化」ではないのですが。
わたしが講師として登壇させてもらう授業には、「ネットでなにかを書いて、ひとに読んでもらいたい」という生徒が大勢集まる。いわゆる「ライターになりたい」人である。しかし、上記のように「では、あなたが書く分野はなんなのか?」という定義に無自覚な人が多い。
事象寄りのものを書くのならば、それは「ジャーナリスト」「研究者」であり、心象寄りのものを書くのであればそれは「小説家」「詩人」である。それらは、どちらもある種の専門職というべきものである。
そのどちらでもない「随筆」という分野で文章を綴り、読者の支持を得ることで生きていくのが、いま一般に言われる「ライター」なのである。
ネットで文章を書いている人には「ライター志望者」も少なからずいるはずです。
ところが、その多くが、自分が書いているのがどんなジャンルの文章なのか理解していない、と文章講座の講師としての経験も踏まえて、著者は述べています。
わたしが随筆を定義すると、こうなる。
「事象と心象が交わるところに生まれる文章」
ほとんどの生徒がこう言われると、びっくりした顔をする。つまり、自分が書きたくて、また読んでほしい分野の定義ができていないのだ。
事象とはすなわち、見聞きしたことや、知ったことだ。世の中のあらゆるモノ、コト、ヒトは「事象」である。そこに触れて心が動き、書きたくなる気持ちが生まれる、それが「心象」である。
その2つがそろってはじめて「随筆」が書かれる。人間は、事象を見聞きして、それに対して思ったこと考えたことを書きたいし、また読みたいのである。
そしてネット上で読まれている文章のほとんどはこの「随筆」にあたるものである。
ところが、ネット上に公開されている文章には、このバランスがとれていないものが多いのです。
「事実」についての基本的な認識が間違っていたり、単に「心象」しか書かれていなかったり。
有名人であれば、「うれしかった」「悲しかった」にも、多くの反応があるのでしょうけど、そこらへんにいるおっちゃん、おばちゃんの感情になど、誰も興味を持ってはくれません。
書くという行為において最も重要なのはファクトである。ライターの仕事はまず「調べる」ことから始める。そして調べた9割を棄て、残った1割を書いた中の1割にやっと「筆者はこう思う」と書く。
つまり、ライターの考えなど全体の1%以下でよいし、その1%以下を伝えるためにあとの99%以上が要る。「物書きは調べることが9割9分5厘6毛」なのである。
たとえば、テレビ番組で参考になるのは『NHKスペシャル』だ。あの番組では、徹底して調べた事実、そしていままで明らかになっていなかった新事実が提示され、作り手の主義主張を言葉にすることはない。ファクトを並べることで、番組を観た人が考える主体になれる。調べたことを並べれば、読む人が主役になれる。
調べもせずに「文章とは自分を表現する場だ」と思っている人は、ライターというフィールドでは仕事をすることができない。
いまからでも遅くはない。そういう「わたしの想いを届けたい!」人は、歩道橋で詩集を売ろう。
「気持ち」だけでは、読んでもらえる文章にはならない、ということなんですね。
少なくとも、書いている人自身が、よほどの人気者とか有名人でなければ。
この本を読んでいて痛感するのは、世の中には「面白い文章を書く才能がある人(あるいは「面白い人間」)というのが存在していて、努力やトレーニングでは越えられない壁が存在しているのではないか、ということなのです。
以前、作家の原田宗典さんのエッセイで、こんな言葉を読んだことがあります。
「小説家になるには、どうすればいいですか?という質問を受けることが多いのだけれど、本当に『なれる』人は、そんなことを尋ねる前に、まず自分で小説を書いてみて、その作品の感想を求めてくるものだ」
他人に教わってなんとかしよう、と考えている時点で、かなり出遅れているのです。
というか、「書かずにいられない」というくらいじゃないと、仕事としてやっていくには厳しい世界みたいです。
この本の内容は「著者の文章論」としては非常に面白いのだけれど、他人が真似するのは難しい。
ただ、いまのネットに溢れている「根拠なき自信の表明」や「どこかで見た話のコピー&ペースト」を考えると、「(ネット以外で)ちゃんと調べて書く」「感想を書こうという作品やコンテンツについて、ちゃんと観て、読んで書く」だけで、けっこう差別化できるのではないか、とも思うのです。
サラッと読めて、さて、これで本当に「バズる文章」が書けるようになったのだろうか?と考えてみると、たぶん、そんな即効性はありません。
でも、これを読むと、文章を書く基礎体力みたいなものが、底上げされるのではないか、という気はします。
とりあえず、まとまった文章を書くことはできるのだけれど、なんだか自分が書くものが面白くない。そんな人におすすめです。
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