琥珀色の戯言

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【映画感想】LOGAN/ローガン ☆☆☆☆

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近未来では、ミュータントが絶滅の危機に直面していた。治癒能力を失いつつあるローガン(ヒュー・ジャックマン)に、チャールズ・エグゼビア(パトリック・スチュワート)は最後のミッションを託す。その内容は、ミュータントが生き残るための唯一の希望となる少女、ローラ(ダフネ・キーン)を守り抜くことだった。武装組織の襲撃を避けながら、車で荒野を突き進むローガンたちだったが……。


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2017年の映画館での12作目。公開から1週間後の平日レイトショー。日本語吹き替え版。
観客は僕も含めて4人でした。


 正直、X-MENシリーズにはあまり詳しくないので、各キャラクターの繋がりみたいなものがあまり理解できていなかったんですよね。
 採りあげられていたアメリカの有名な映画『シェーン』も、タイトルとあらすじは知っているけれど、通して観たことはない、という有様で、たぶん、僕はこの映画を十全に楽しむには予備知識不足なのだろうな、とは思うのです。

 僕は『X-MEN』シリーズは、映画化されたものはひととおり観ている、という感じなのですが、コミックまでは手が回っていないんですよ。
 そもそも、『X-MEN』関連の映画は、けっこう当たり外れが激しいんだよねえ。
 いろんな時代を描いた作品があって、時系列もわかりにくいし。
 それでも、ある種の「B級っぽさ」も含めて、僕はけっこう『X-MENシリーズ』は気に入っています。
 しかし、MARVEL作品でも、比較的大事にされている『アベンジャーズ』や『アイアンマン』『キャプテン・アメリカ』に比べて、『スパイダーマン』とかは、いろんな事情があるんでしょうけど、主役の俳優はコロコロ変わるし、どんどん安っぽくなって、(新作の予告編では)アイアンマンの添え物みたいになっているのが悲しい。
 もう、サム・ライミ監督版だけにしておけばよかったのに……


 この『LOGAN/ローガン』、ヒュー・ジャックマン最後のウルヴァリンになるらしいです。
 最後だからといって、急にヒューマニズムあふれる作品になったり、感動的なシーンが連発されたりすることもなく、相変わらずの殺伐路線を貫いていたのは立派でした。
 これ、R-15なの?なんかそういう性的なシーンとかあるのかな……と考えていたとこに、生首ゴロン。
 追われるウルヴァリンたちは気の毒ですが、組織の命令で彼等をおいかけて、惨殺されまくる雑兵たちが、観ているとだんだんかわいそうになってきました。
 この人たちだって、家族や友人、恋部とだっているだろうに、組織の駒として襲撃しているだけなのに……
 でも、そういう「安っぽいヒューマニズム」を嘲笑するがごとく、ウルヴァリン一行はまかり通っていくのです。
 自分の命を賭けても、他者の命を奪ってでも、守らなければいけない「何か」がある。
 それが、アメリカの「国是」であり、国民が拠って立つ思想なのだろうなあ。
 
 とはいえ、物事の終わりというのは、なんだか寂しくはありますね。
 そもそも、ウルヴァリンは「不死」のはずだったのに。


 これを観ていると、ニューヨークやロサンゼルスではない、共和党支持者や福音派が多数派の「赤い州」の現実みたいなものを垣間みることができます。
 駐車場で車泥棒を止めようとしたら、いきなり泥棒たちに銃で撃たれ、水道会社の土地買い占めに反対して立ち退きを拒否したら、嫌がらせで水が出なくなる、というアメリカの日常的な暗部は、ミュータントよりよっぽど怖かった。
 もちろん、こんな物騒な場所ばかりじゃないとは思うのですが、『シェーン』の舞台となった西部のようなアメリカは、今でも存在しているのです。
 しかし、あれほど人類のために貢献したはずのミュータントたちの晩年というか末路がこんなふうに描かれていると、なんだか悲しくなってきますね。
 ネットでの感想のなかに、ヒーローの「下山の思想」だと書いていた人がいて、上手いことを言うなあ、と、この映画を観終えて感心してしまいました。
 そして、ウルヴァリンは、X-MENは、最後まで、ブレずに戦った。

 たぶん、このX-MENシリーズ自体は、またいろんな切り口で続けていくのでしょうけど、この『LOGAN/ローガン』は、「大変よくできたミュータント西部劇」だと思います。
 最後のシーンまで、「らしさ」に溢れているし。


 もちろん、『X-MEN』についての予備知識があれば言うことはないのですが、それが無くてもけっこう楽しめる映画ではあるでしょう。
 日本の時代劇好きには、伝わりやすい作品のような気がします。
 ただし、凄惨なシーンもけっこうあるので、苦手な方は御注意ください。


 あと、『ローガン』って聞くたびに、「僕は最近『老眼』ですけど……」と思うのをなんとかしたいのですが、それは無論、こちら側の事情、ということで。
 ウルヴァリンだけじゃなくて、僕も「下山」してるよね、間違いなく。


ウルヴァリン:オールドマン・ローガン (MARVEL)

ウルヴァリン:オールドマン・ローガン (MARVEL)

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