琥珀色の戯言

【読書感想】と【映画感想】のブログです。

将棋の人々

なんだかここ数年、僕の中では将棋というものが非常に興味深く思えてきて、その原因は「月下の棋士」だったり、大崎善生さんの「将棋の子」だったりするのですけど(大崎さんは、高橋和さんと結婚されていたのですね、びっくり!)、さらに最近、棋士(元棋士)の本をたてつづけに読んでいるのです。

女流棋士 (講談社文庫)

女流棋士 (講談社文庫)

 高橋和(たかはし・やまと)さんは、「美人棋士」としてけっこう話題になった人なのですが、この本は、なんというか、「人生のトラブルと才能を同時に持ってしまった女の人の生き方」というのが、ものすごく伝わってくる本だなあ、と思いました。なんというか、平凡であろうとすればするほど凄みが出てくる、とでも言えばいいのか。
 人より早く大人になってしまうというのは、ものすごく不幸なことなのかもしれないし、ものすごく幸せなのかもしれない。
 あの「ミリオンダラー・ベイビー」という映画を観て、僕が痛切に感じたのは、自分がいかに「普通の人間」であるかということで、「甲子園球児なんて、人生で注目されるのは、あの瞬間だけなんだからさ」なんてバカにしてみせていながら、実際の僕には、その「瞬間」すら無いってことなんですよね。「平凡」って全然悪いことじゃない。でも、平凡って淋しいなあ、としみじみ思うこともある。
 実際は「平凡」の形なんて人それぞれだし、平凡そうにみえて、生きるっていうのはそれなりにいろんな波風があるものなのだけれども、それでも、このまま朽ちていって、何もない人生を終えてしまうという想像は、とてもとても怖い。
 あっ、なんだか途中から高橋さんの話とかけ離れてしまったのだけれども、この本は非常に面白いし「人はなぜ棋士になるのか」みたいなことがよくわかります。
 そういえば、僕も昔は将棋大好きで、学校の将棋クラブとかに入っていて、「将棋入門」を読んで「奨励会」に憧れたりもしていたのですが、なんというか、そんな生易しい世界じゃないんだよね、これは。


決断力 (角川oneテーマ21)

決断力 (角川oneテーマ21)

羽生さんは、まさに「将棋の子」だと思うのですが、この本を読んでいると、プロ棋士というのが何を求めて将棋を指しているのか、というのをあらためて考えさせられます。頭がいい人たちだからといって、いきあたりばったりで勝負できる世界ではないのです。まあ、営業上の問題なのでしょうけど、なんでも「ビジネスに例えると」なんていう話になってしまうのは、僕としてはやや興ざめなんですけど。

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