琥珀色の戯言

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明日、自殺しませんか―男女七人ネット心中 ☆☆☆

明日、自殺しませんか―男女七人ネット心中 (幻冬舎文庫)

明日、自殺しませんか―男女七人ネット心中 (幻冬舎文庫)

 まあ、「読んでもらってナンボ」なのかもしれませんけど、このタイトル、ちょっとイヤな感じで「遊んでる」なあ、と思いつつ。
 世の中の「自殺しようとする人」には大きく分けて2つのタイプがあって、ひとつは「鬱病などの病気や大きなストレスなどで、死ななければならないという強迫観念に取りつかれてしまっている人」で、もうひとつは、「死ぬことを自分の『生存証明』にしようとしている人」ではないかと僕は考えています。前者に関しては、僕だって死を考えたことがないわけではないし、誰でもそうなってしまう可能性はあるので共感できますし、なにかできることはないのだろうか、という気持ちに駆られるのですが、後者に関しては、僕には正直全然わからないし、共感もわきません。「死にたい」という人を何度でも「助けなければならない」という現場にいると、本当に疲れ果ててきますしね。何度も子どもに自殺未遂を繰り返されている親を見ていると、なんだかもう、いたたまれない気持ちにもなってきます。
 僕たちは、そこまでして、他人の人生に責任を持たなければならないのだろうか?

 この本には後者の「死ぬことを自分の『生存証明』にしようとしている人」たちについてのルポが書かれているのです。でも、読み終えてもやっぱり僕にはよくわかりませんでした。こういう人たちに、いったい僕は何ができるのか?何かをしてあげるべきなのか? 僕は誰かが「ネット心中」をするのを肯定する気持ちにはなれないけれども、その一方で、ここに出てくる人たちを「生き続けられるようにサポートしていく」ことを決心できるほど僕は他人の人生には責任を持てないのです。自分が生きているだけで精一杯なんだからさ。
 ただ、ひとつだけ言えることは、「自殺サイト」のすべてが害悪なのではなくて、そういう場所で繋がっていられるからこそ死ななくてすむ命もあるのだろうな、ということです。逆に、「繋がってしまったからこそ失われてしまった命」というのもありそうなのですけど。
 

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