琥珀色の戯言

【読書感想】と【映画感想】のブログです。

鴨川ホルモー ☆☆☆☆

鴨川ホルモー

鴨川ホルモー

「ひとり本屋大賞」7冊目。しかし、読み始めてちょっと失敗したなと思ってしまいました。
6冊目が、

夜は短し歩けよ乙女

夜は短し歩けよ乙女

↑だったので、ちょっとかぶってしまったかな、と。
(『夜は短し歩けよ乙女』の感想は、http://d.hatena.ne.jp/fujipon/20070210#p1
両方とも京都が舞台で主人公が男子学生、ちょっと変わった学生生活が描かれている作品なので。

この本、最初の100ページくらいまでは、あんまり面白くないんですよね。でも、「ホルモー」の何たるかが判明してからは、すごく物語に引き込まれていきます。読み終えると、思わず「ホルモーーー!」と叫んでしまいそう。
ほんと、こんな競技(なのか?)よく思いついたよなあ、と作者の想像力に感服。
話としては、週刊少年ジャンプ的な「努力!友情!勝利!」ですし、主人公・安倍が絶対的に正しいわけでもないんだけれど、読んでいてついつい安倍の味方をしたくなってしまうんですよね。展開も本当にベタベタなんだけど、『銀河英雄伝説』にハマった「戦術フリーク」である僕は、「ホルモー」に血をたぎらせてしまったのです。
あんまり内容を書いてしまっては面白くなくなる本ですし、ある意味「お約束」の連発なのですが、それでも後半は一気に読みふけってしまったのは、この作品が素晴らしいエンターテインメントだからなのでしょう。
しかし、恐るべきボイルドエッグス。ここまで「テーマ」みたいなものを徹底的に排して娯楽に徹した作品を書ける新人を発掘してくるんだから。
ただ、僕は『夜は短し歩けよ乙女』と比較するとすれば、こちらのほうが「読みやすい」し「面白い」けど、作品としては『夜は短し』のほうが好きです。

それにしても、「本屋大賞」のノミネート作品って、どんどん「ライトノベル化」しているような気がしてなりません。ライトノベルが悪だとは思わないけれども、せっかく「本を売るプロ」たちが選ぶのだったら、もっと若い読者が敬遠しそうな「重いけど読みごたえのある本」が多いほうが良いのでは。賞が大きくなって裾野が広がってしまったために、かえって「ライトノベルしか読めない書店員」まで参加するようになってきたのだろうか……

「ひとり本屋大賞」あと3冊。『名も無き毒』『風が強く吹いている』『一瞬の風になれ』。
「京都モノ」が2つ続いて、残り3つのうち2つは「走りモノ」か……読む順番考えろよ、自分。

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