琥珀色の戯言

【読書感想】と【映画感想】のブログです。

柳美里さんの「虐待」の話


「糞野郎ッ!」 小説家・柳美里、息子を虐待しblogで泣き顔を晒す…ネット上で批難の声

 柳美里さんの作品は、エッセイを何作かと『命』を読んだことがあるくらいです。ちなみに『命』の感想は、「うえっ……気色悪い……」でした。
 僕がこの件が話題になっているのを知って最初に考えたことは、「ああ、この人ならやりかねないな」ということと、「でも、この人に関わるとロクなことがなさそうだからな」ということなんですよね。

『本気で小説を書きたい人のためのガイドブック』(メディアファクトリー)という本のなかに、福田和也さんのこんな話がありました。

(作家という「職業」について)

 やっぱり僕の考え方としては、作家とはプロフェッショナルであるというのが前提にある。文章だけで生活し続けるというのは、大雑把に言うと他のことができない人しか生き残れないということ。あんまり例を出すと怒られちゃうけど、江國香織さんなんか1回だけレジ打ちのバイトをやったことがあって、そしたらレジ打つのが楽しくなっちゃって、誰も買物してないのにガチャガチャ打ち続けたと聞きました。柳美里さんなんか電車乗れない人ですからね。お書きになっているけど、乗ると必ず喧嘩になったりトラブルが起きて無事電車を降りたことがない。モノを書く意外でお金を稼いだことがない人でしょう。しかも物書きは終わりがないですからね。死ぬまでやらなきゃいけない。正宗白鳥が83歳で死んだとき、最後に言った言葉が「結局、才能以上のものを書くことはできない」。この言葉に小林秀雄が動揺したんです。努力すればなんとかなると言う人もいるけど、それはプロだから当然の話で、意地悪なことを言うけど9割9分の人はダメだと思う。

 一応、「福田さんと柳さんはものすごく仲が悪いらしい」という伝聞を付記しておきますが、柳さんというのは、その「作家としての才能」を除けば、「現実世界で生きていくのはとても大変な人」なのでしょう。僕はいままで、「小説を書けない(もちろん、舞台にも上がらない)柳美里」みたいな人に何度か接してきましたが、「人格障害」というレベルになると、「話せばわかる」「説得が通じる」っていう話じゃないんですよね。仕事などでどうしても「なんとかしなくてはならない」という場合でなければ、「危うきに近寄らず」というのが一番なのではないかと。そもそも、「病人」を叩いたってねえ……いや、「人格障害」っていうのは、「病気」じゃないのか……だからこそ性質が悪いというか、どうしようもないというか……こういう事件があったからといって、すぐに子供を行政に「保護」してもらうのが幸せなのかというのも、疑問ではありますし。こういう親って、自分がやっていることをブログに公開しないだけで、世の中にはけっこうたくさんいるんじゃないかなあ……
 ただ、僕はこの『痛いニュース』のコメント欄で、「母親っていうものは……」「子育てっていうものは……」と上から目線で語っている人たちの言葉も、正直ちょっと「気持ち悪い」んですよ。僕に子育て経験がないからなのかもしれませんけど。

 本当は、こういう人に関わる勇気があるのなら、「近所の虐待されていそうな子供」のことを児童相談所に通報するほうが、よっぽど有意義なのではないかと思います。
 柳さんの場合は、「話題になるからこういうことをブログに載せたくなる」のか、「ブログで観ている人たちが歯止めになって、このくらいですんでいる」のか、僕には全然わからないんですけどね。

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