琥珀色の戯言

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男の隠れ家を持ってみた ☆☆☆


男の隠れ家を持ってみた (新潮文庫)

男の隠れ家を持ってみた (新潮文庫)

家庭に不満はない。仕事もまあ順調である。でも、このままでいいのだろうか。男性の多くが感じるだろう漠然とした不安をぼくも抱いていた。そうだ、知らない町で、自分を見つめなおしてみよう。ぼくは、馴染みのない駅で降り、あるアパートの一室を“男の隠れ家”として借りることにした。仕事場と自宅、そして隠れ家を行き来する生活が始まった。笑えてしみじみ、北尾トロの真骨頂。

 なんだか薄い文庫だなあ、と思いつつ、北尾トロさんが書かれたものだったので買って読んでみました。
 良く言えば「何も起こらない日常を素直に描いた稀有な作品」であり、悪く言えば「退屈」な本です。
 「男の隠れ家幻想」というのは僕にもあって、誰も知らないところでひとりで暮らしてみたいなあ、なんて思うこともあるのですが、実際にやってみたら、それはものすごく大変なことなのだということを痛感させられる本です。
 まあ、結局のところ、この企画のなかでは、北尾さんも「家ときどき隠れ家」という感じで、「隠れ家に行くのは仕事」なんですけどね。
 でも、この本を読んでみると、そういう「腰掛けの隠れ家」ではなくて、知らない街でひとりきりで生活するというのは、すごく寂しいものだし、ゼロからひとり知り合いをつくるというのは、学校に行っているわけでもなく、定職についているわけでもない人にとっては、とても難しいことなのだな、ということを思い知らされます。
 新興宗教がここまで日本に浸透してきたのには、それが「いちばん手っ取り早い孤独からの脱出法」だからではないのか、と考えさせられました。
 北尾トロさんのファン、あるいは、「男の隠れ家」に憧れている人は、読んでみてもいい本かもしれません。

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