- 作者: 内田恭子
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2008/06
- メディア: 単行本
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[日販MARCより] たくさんの共感と、ここちいい笑い。やさしい感動と、ときどき涙。あたたかなものに囲まれた、小さくて確かな幸せの日々。フリーになって2年余り。内田恭子が、これまでとこれからについて初めて綴ったエッセイ。
僕は「女子アナ」好きなんですよね。
……と書き始めて思い出してみると、僕が本当に「この人いいなあ」って思ったのって、中井美穂さん(中井さんがテレビに出はじめた時期、「絶対中山美穂より中井美穂のほうがいい!」と主張して、周囲から「お前の趣味はヘンだ」と言いまくられたのですが)と、この本の著者である内田恭子さんくらいです。「素朴さ」「イヤミにならない程度の不器用さ」が伝わってくる人は好きなのかもしれません。
まあ、そういう話は置いておくとして、この内田さんの初エッセイ集、はじめて書店で見つけたときには、「うーん、やっぱりこういう初エッセイ集をしっかり『おさえて』くるのは幻冬舎だな……」などという内容とは関係ない感慨を抱きました。
内容的には、「30代前半で、結婚していて、それなりに社会的に成功している女性がいかにも書きそうな癒し系のエッセイ」という感じで、正直言って、内田恭子という人に興味がない読者には、毒にも薬にもならない本だと思うんですよ。
文章はけっこう上手いし、妙に芸能人・セレブらしく振る舞うこともなく、さりとて、「私は普通の人アピール」をして媚びることもなく、まさに「自然体」のうっちーを感じられるのですけど、たぶん「内田恭子が嫌いな人は、そういうところが嫌い」なはずなので、「ファン向けの本」ではないかと。
このエッセイ集を読んでいると、僕がずっと感じていた「ほんわかとした内田恭子像」というのは、実際の内田さんとは、ちょっと違っているのだな、ということがよくわかります。
もともと私は喜怒哀楽が激しい。いつも笑顔でフワフワしているイメージに映るらしいけれど、本当に身近な人たちからは、
「テレビのイメージ、よすぎない?」
と責められる。思っていることはすぐ口にしなきゃ気がすまないし、気分だってコロコロ変わる(最近はちょっと抑えることも覚えたけれど)。お腹が空いたり、眠たくなったりすると、周りに関係なく、急に口数が少なくなるのも、小さい頃からちっとも変わらない。
一日のいろんな感情をそのまま家に持って帰ってくることもあった。だからそのたびに犠牲になるのは彼だった。嬉しいことも悲しいことも、辛いことも、そのまま電話の向こうの彼に向かって吐き出す。完全に心を許すまで、人に弱みを言わない私にとっては珍しいことだった。別に彼がそれに対して、なにかアドバイスを言ってくれるわけではない。けれども、彼と話すことによって、カリカリした気持ちが、すっと和らいでいく。そしていつの間にか、自分もやさしい口調に変わっている。彼には、そんなふうに自然と周りの空気を穏やかに変えてしまう力がある。人の荒れた気によって乱されない強い人。気がつけば、毎日毎日彼と話すようになっていた。
テレビで「観える」人間の姿っていうのは、あくまでもその人の一面でしかないんですよね。「悪役のほうが実際は『いい人』が多い」なんていう話はよく聞きます。別に内田さんが「キツイ人」って言っているわけではなくて、実生活では、テレビの中よりも率直な人だということなんですけど。
私は、自分の仕事にプライドを持っていて、愛情深い人が好き。だから彼と結婚をした。ちなみに彼が私と結婚を決めた理由は、言いたいことをすぐに言えるところが羨ましいからだそうだけれど……。教えてくれないけれど、まだ他にあるはず……と思いたい。
なんだか、すごく幸せそうな内田さん。なんとなく、幸せのおすそ分けをしてもらえるようなエッセイ集です。
とりあえず、ファンの人にはおすすめしておきます。巻頭の子どもの頃の写真がかわいい!