琥珀色の戯言

【読書感想】と【映画感想】のブログです。

少年メリケンサック ☆☆☆


参考リンク:『少年メリケンサック』公式サイト

あらすじ: レコード会社に勤めるかんな(宮崎あおい)は、動画サイトでイケメン4人組のパンクバンド“少年メリケンサック”のライブ映像を発見。彼らと契約すべく会ってみると、メンバーは50歳過ぎのオヤジで、彼女が見つけた映像は25年前のものだった。予想外の事態に困惑するかんなだったが、バンドの全国ライブツアーに同行するはめになり……。(シネマトゥデイ

火曜日の21時からのレイトショーで鑑賞。観客は7〜8人。僕以外は1グループで、上映中もずっとお喋りしているヤンキー。
まあ、「そういう観かたもアリ」な映画なのですが、そういうシチュエーションって、ちょっと僕には辛かった。

僕がこの映画を観ながら、ずっと考えていたこと。
「ああ、これなら『DMC』のほうが、ずっと面白いな……」
結局、その気持ちは、観終えるまで変わらず。
この映画も、最後は少し「あったまって」くるんですけどね。

少年メリケンサック』の最大の難点は、いろんな意味で中途半端なところだと思うんですよ。
もちろん、さんは、あえてそうしているのかもしれないけれど、この映画「ギャグとしては笑いきれず、人生を描いたドラマとしては薄すぎる」という印象がすごくありました。
パンクバンド「少年メリケンサック」は、ネットの動画サイトにライブが投稿されたことによって話題になるのだけれど、ライブであんなどうしようもない(技術的に「お金を取れるレベルにない」)パフォーマンスをやっていたら、それこそネットでその酷いライブの情報が広まって「炎上」し、返金騒ぎになっているんじゃないかなあ。
「キャンセル料が発生するから、ツアー続行」というのは、ありえないと思う。
それ以前に、誰か気づくだろ「25年前の映像」であることに!
だいたい、作品中での少年メリケンサックのライブそのものが酷い。あれを観ても人気になるとは思えない(もちろん「完全復活」後も)。
彼らの「葛藤」の原因も思わせぶりに描かれていながら、なんか中途半端なまま終わっちゃうし。
宮藤官九郎は、『バンド』というものをこんなふうに見ているのか……」というのがわかるのは面白いけど。

映画『デトロイト・メタル・シティ』の「クラウザー様」のビジュアル的な説得力に比べると、やっぱりちょっと「弱い」んだよなあこれ。
観客のノリもいまひとつに見えたし。
佐藤浩市さんのコメディでの演技も、『ザ・マジックアワー』で、三谷幸喜さんが先にやっちゃってますしね。

宮崎あおいさんは確かに「かわいい」のだけど、ただそれだけ。
僕は観ながら何度も、「さっさと親の回転寿司屋を手伝ってやれよ……」と言いたくなりました。
篤姫』の「お堅いイメージ」への反動としてこの映画を選んだのでしょうし、「がんばってるなあ」というのは伝わってきたのだけど、なんというか、「ああ、いつもの『演技上手な宮崎あおいさんの予想通りのハジけた演技』だなあ」としか言いようがない。
まあ、だからこそ「スター」なのかな、と思ったり、これでいいなら、『NANA2』を「もうああいう役はやりたくない」と断った意味があるのだろうか?などとも感じたり。

さんざん悪口ばかり書いてしまいましたが、けっして「つまらない映画」ではありません。
良質のコメディ(ちょっと笑いにくいシーンも多いけど)だと思います。
宮藤官九郎宮崎あおい、という組み合わせの豪華さで、僕がハードルを上げすぎていただけで、たぶん、宮藤さんは「下品で笑えて少しだけホロリとさせる、さえないけど往生際の悪い中年男たちの物語を描こう」としただけなのでしょう。
それは過不足なく実行されているのだけれど……

テレビ放映やレンタルDVDで観れば、「ちょっと得した感じ」になれる作品です。
映画館で観る作品としては……うーん、やっぱり『チェンジリング』にすればよかったかな……

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