琥珀色の戯言

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探偵はバーにいる ☆☆☆


探偵はバーにいる (ハヤカワ文庫JA)

探偵はバーにいる (ハヤカワ文庫JA)

内容(「BOOK」データベースより)
札幌の歓楽街ススキノで便利屋をなりわいにする「俺」は、いつものようにバーの扉をあけたが…今夜待っていたのは大学の後輩。同棲している彼女が戻ってこないという。どうせ大したことあるまいと思いながら引き受けた相談事は、いつのまにか怪しげな殺人事件に発展して…ヤクザに脅されても見栄をはり、女に騙されても愛想は忘れない。真相を求め「俺」は街を走り回る。面白さがクセになる新感覚ハードボイルド登場。


映画化もされた作品だし、ということで手にとってみたのですが、映画『探偵はBARにいる』の原作は、このシリーズの『バーにかかってきた電話』のほうなんですね。
それでもまあ、これがシリーズ1作目ということで、まずこちらと読んだのは間違いではないかと。

この作品、1992年に出版されたものだそうなのですが、読んでいて、「ああ、この作者はきっと、『ハードボイルド』が大好きで、それを地元・札幌を舞台に書きたいのだろうな」というのが伝わってきます。
主人公「俺」は、そんなにカッコいいわけではないけれど、ススキノの裏社会にちょっとした人脈があって、大人の酒の飲みかたも心得ている。そして、ケンカもけっこう強い。
きっと、『ロング・グッドバイ』みたいな作品にしたかったんだろうなあ……


いわゆる「ハードボイルド」が好きな人にとっては、この小説の世界観や、主人公の蘊蓄も微笑ましく感じられるのかもしれません。
でも、僕は物語、とくにミステリには「雰囲気よりもストーリー展開の面白さ」を求めているので、「長さのわりに何も起こらない小説」という印象が強かったです。
ただ淡々と情景描写が進んでいくだけで、驚かされるような場面もないし、謎解きもとくにない。
登場人物はチンピラみたいな人ばっかりで感情移入できないし……


主人公の蘊蓄が気に入るかどうかが、この小説を好きになれるかどうかの分かれ目だと思います。
「警察の組織を描くだけのミステリ」には食傷していたのだけれども、こういう「ハードボイルドなだけのハードボイルド」も、なんだかねえ……
僕は、もうこのシリーズは読まなくていいや。


ただ、「俺」のこんな蘊蓄だけは、すごく懐かしく感じました。

 ゲーム屋に行き、ゼビウスに百円玉を入れた。ついこの前まではドンキーコングに夢中だったが、あれは大体、先が見えるようにまで進歩した。修行の成果だ。そこへ新たに登場したのがこのゼビウスで、今は、ヒマがあるとこれをやっている。どうしても追撃してくる歯車円盤をよけられない。その先がどうなっているのか知りたいのだが、このままでは経験することなく死んでいくんだろう。なんとかしたいもんだ。

こういう「小道具の使い方」は、すごくうまいと思うんですけどね……

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