琥珀色の戯言

【読書感想】と【映画感想】のブログです。

【読書感想】謎のあの店2 ☆☆☆☆


謎のあの店2 (Nemuki+コミックス)

謎のあの店2 (Nemuki+コミックス)


Kindle版もあります。

謎のあの店 2

謎のあの店 2

内容紹介
勇気がなくてなかなか入ることができなかった怪しげなお店に潜入し、
独特な目線でレポートする大人気コミックエッセイの第2弾。
単なるお店紹介本にはとどまらない、
著者だけでなく他人の人生までも垣間見える(!?)新感覚エッセイ!

第1巻が出たのが、2012年8月。
2巻が出ると聞いたときには「まだ2巻、だったっけ?」という感じだったのですが、隔月刊誌での連載ということで、この刊行ペースになるのも致し方ないのかもしれません。
それでも、『孤独のグルメ』よりも、ハイペースだとは言えなくもないし。


僕は『愛の貧乏脱出大作戦』の前半部分に登場してくる「どうしようもない店」を観るのが好きで、後半の有名店での修行シーンなどは、惰性で眺めていただけだったのですが、この『謎のあの店』は、「どうしようもない店を公開処刑する」という内容ではありません。
街の片隅で、そんなに綺麗でも入りやすそうでもないのに、なぜか長年営業を続けている、そんな店に実際に入って、食べてみた、そして、続いている店には、それなりの「理由」とか「ドラマ」みたいなものがあった、そんな温和な世界が繰り広げられているのです。


もしかしたら、「誰がこの店に入るんだろう?と思っていたのだけれど、入ってみたらその理由がわかった!」という「成功談」の陰に「これはお客が来ない理由がわかるよ……」という死屍累々、なのかもしれませんけどね。
下世話な僕としては、その「死屍」のほうを、読んでみたい気がするんだけど、著者は本当に優しいんだよなあ。


「赤色ラーメン」「青色ラーメン」とか、もう、キワモノじゃないかと思うじゃないですか。
でも、エッセイのネタとしては「オイシイ」はず。
しかしながら、ここで著者は「チャーシュー麺」を注文してしまうのです。
ええっ、そこはもっと激しいヤツをオーダーしてほしいんだけど……
と思いつつ、「その気持ち、わかる!」と頷いてしまうのもまた事実。
著者は「面白いものを探そう」としているけれど、「自分を曲げてまで、面白いことにしてしまおう」とはしないのです。
で、このラーメン店が、近所の子どもの「たまり場」になっていて、「そうだよな、高級店とか、緊張感あふれる店だけじゃないんだよな、こういう店が、いまでもあるんだなあ」と、少し嬉しくなるのです。
僕も「青色ラーメン」は注文しないと思うけど。


この作品って、「キワモノの店を叩いて笑い者にする」のではないというか、そもそも「お店紹介マンガ」ですらないような気がします。
漫画家として、一人暮らしをしている女性が、身近なところに楽しみを見つけながら、シンプルに生活をしていく。
「面白いこと」は、案外、身の回りに転がっているのです。
そんなにお金もかからず、疲れないような。
何時間も行列に並ばなければならないような人気店に行かなくても、美味しいものは日常のなかにある。

そして、そんなふうに生活を重ねている人たちが、世の中には、案外たくさんいるのです。


「清貧のすすめ」みたいな肩に力の入った話じゃなくて、シンプルな暮らしも、案外悪くないのかな、と考えさせられる作品です。


……個人的には、やっぱり「ダークサイド」も読みたいんですけどね、ダメだな自分。



謎のあの店 1 (Nemuki+コミックス)

謎のあの店 1 (Nemuki+コミックス)

謎のあの店

謎のあの店



「ダークサイド好き」の皆様は、こちらをどうぞ。

アクセスカウンター