琥珀色の戯言

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【映画感想】ピクセル ☆☆☆☆


あらすじ
地球や人類の文化ついての情報を電波に乗せて、宇宙人との交流を図ろうとしていたプロジェクト。それを宇宙人が受信したものの、彼らは人類からの宣戦布告だと勘違いしてしまう。「パックマン」「ギャラガ」「ディグダグ」「ドンキーコング」「スペースインベーダー」と、送られた情報からテレビゲームについて知った宇宙人たちはそれらに出てくるキャラクターに姿を変えて地球を侵攻し始める。巨大なキャラクターが次々と現れ、都市をブロック化していく事態に世界はパニックに陥り……。

参考リンク(1):映画『ピクセル』公式サイト


 2015年24作目。
 シルバーウイークのなか、19時からの回を観賞。2D吹替え版。
 この『ピクセル』は、期待通りの「B級まっしぐら映画」でした。
 リアリティとかストーリーの整合性よりも、「昔ゲームセンターで輝いていて、いましょぼくれてしまったオッサンたちよ、この映画が上映されている2時間足らずのあいだだけは、お前らが世界の主役だ!」という開き直りが素晴らしい。
 出てくる「いまのお子様」が、「レトロゲームって、『コールオブデューティ』とか『ヘイロー』?」とか聞いてきやがるんですよ本当に。
 そんなの全然、古くないっ!
 主人公は、そのお子様に「ゲームは敵のパターンを読んで、それに合わせて攻略していくものなんだ」と説明します。
 「ゲームの登場人物になりきって、死なないように頑張るんじゃないの?」とお子様。
 うははははは、それじゃあ、『ゼビウス』で1000万点は出せんぞ!(註・僕も出せません)


 これまでの「テレビゲームを題材にした映画」は、「ゲームで設定されている世界を、スクリーンに投影しようとした」ものが多かったのですが、それを中途半端な予算でやると、伝説の『スーマーマリオブラザーズの映画』とか、『ストリートファイターの実写映画』とかの「学芸会映画」になってしまうのです。
 そういえば、「興行的に失敗した映画」の代名詞として映画史に名を遺した『ファイナルファンタジー』なんてのもありましたね……


 この『ピクセル』は、それなら、映画のスクリーンで、「テレビゲーム」をそのままやってしまえば良いんじゃない?という映画なのです。
 パックマンドンキーコングを知らない子供たちが観ても面白くもなんともない映画だろうけど、あの頃のゲームセンターの熱気を知る人たちにとっては、「よくぞここまでお金をかけて、オールドゲーマー殺しの世界をつくりあげたものだ」と嬉しくなってしまうはず。
 ギャラガの編隊飛行の美しさとか、3Dの『パックマン』とか。
 3Dなら、『パックマン』というより、『パックマニア』ではないか、とツッコミたくなるあなた、そう、あなたのような人こそ、この映画を大スクリーンで観ておくべきです。
 いくら柳沢慎吾さんの声の演技が酷くても。


 柳沢さんの「オタクでもなんでもない人が、オタクっぽい雰囲気を出そうとして、滑舌が悪いだけの人になってしまっている」という声優っぷりを目のあたりにすると、堀越二郎という人の声優に、声の演技の技術は無視して、天才肌で、自分の興味の実現のためは苦労や工夫も厭わない、という庵野秀明さん(声優初挑戦!)を迎えた宮崎駿さんはすごいな、と思うのです。
 演技を急に上手くすることは難しいけれど、「もともと近いキャラクターの人」をあてはめれば、なんとかなる。


 こういう「僕は大好きだけど、他の『ふつうの人』には、ちょっと薦めにくい映画」にお金をかけ、しかも、けっこうヒットさせてしまうところがハリウッド映画の裾野の広さ、なのでしょうね。
 『テッド2』といい、『ピクセル』といい、ちょっとマニアックで、他人に合わせるのが苦手な大人になってしまった人たちに「これは自分たちのための映画なのだ」と思わせるのが、本当に上手いよね。

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