- 作者: 益田ミリ
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2017/09/21
- メディア: 単行本
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内容紹介
一回きりの人生。行きたいところに行って、見たいものを見て、食べたいものを食べるのだ。ツアーに申し込めば、どこにだって出かけられる!
41歳 北欧でオーロラを見た
42歳 ドイツのクリスマスマーケット
44歳 世界遺産モンサンミッシェル
45歳 ブラジル・リオのカーニバル
48歳 台湾で平渓天燈祭に参加
旅じたくからお土産、
団体旅行での身の処し方まで。
40代の旅は自分仕様。
エッセイとイラストと写真で構成。
益田さんとほぼ同世代の僕は、そうか、ツアー旅行という手があったのか……と思いながら読みました。
それぞれの旅で、行った場所だけではなくて、かかった費用や同じツアーに参加した人たちの様子なども紹介されていて、旅行先の魅力よりも、「海外への団体ツアーにひとりで参加することのメリット、デメリット」を知ることができるんですよね。
そうか、その気にさえなれば、ひとりでオーロラを観に行けるし、リオのカーニバルを生で体験することもできるのか。
とはいえ、ひとり参加だと、周りの人に気を遣うことも多いというか、周りを気にせざるをえないというのも確かなようです。
ドイツのクリスマスマーケットへのツアーでの一幕。
ロマンチック街道とは、中世時代の面影を残した街道で、戦後、街おこしの一環として、観光客を呼ぶため道に名前をつけたんだとか。何枚か写真を撮る。バスの中の人々の大半はぐーすか眠っていた。
シュバンガウに到着後、昼食まで小一時間ほど自由時間があり、お土産を買ったり、湖のほとりを散策したり。お城の観光は昼食後である。
わたしは軽く緊張していた。
(昼食はジャーマンステーキをお召し上がりください)
と、旅行日程表に書いてあった。今回、初めて全員そろってのレストランでの食事である。
一体、どういう配置で座るんだろう?
長いテーブル席にずらっと座る場合は問題ない。しかし、テーブル席におのおの座るのだとしたら、誰かと相席になるわけである。 今回の36人のツアーの内訳は、年配の夫婦が2組。若夫婦が1組。大学生くらいの女の子たちのグループが1組。あとは、30~50代の女性ふたり組が中心。その中には、母と娘という組み合わせも何組かいた。ひとりで参加していたのは、わたしを入れて5人くらい。年配のひとり参加の人たち同士は、自然に仲良くなって一緒に行動しているようだった。
レストランで相席になる場合、ひとり参加者が集合するという手もあるが、すでに仲良くなっているところに入れてもらうというのも気をつかう。
うーん、誰と食べようか。
益田さんは、「知らない人たちばかりのなかで、輪の中に入れてもらうのが、それほど苦にならないタイプ」だとおっしゃっていますが、それでもやっぱり、食事のときどこに座るかだけで、けっこう悩んでしまうわけです。
僕は人の輪に入るのが苦手なので、これを読んでいるだけで、なんだか緊張してきたんですよね。
最初からひとり旅であれば、かえって開き直れることもあるのですが、周りはみんな和気あいあいとしている、という状況だと、かえって居場所のなさを実感させられそう。
そのほかにも、バスの席順問題とか、(女性の場合はとくに)トイレの確保の心配とか、団体行動に伴う束縛、みたいなものも率直に書かれています。
益田さんの場合、ひとり旅でも良いのでは……という感じがするのですが、旅の手続きのめんどくささやトラブルに対する不安なども考えると、「ツアーの約束事を守りつつ、なるべくひとりの時間や状況を大事にする」という折衷案も悪くないのかもしれませんね。
現地でのんびりする、とかではなくて、建造物や自然など、自力では行きづらいところにある「見たいものを見る」ためには、ツアー旅行というのは、たしかに便利です。
最高は期待できなくても、最低最悪に陥る可能性を下げることはできますし。
旅行代金って、同じ一週間の旅行でも、行き先や時期でこんなに違うものなのか、と驚かされます。
なかでも、ブラジルへリオのカーニバルを観に行くツアーの値段は「そんなにするの?」って二度見してしまいました。
それにしても、ブラジルの旅行代金は高額である。ひとり参加の追加料金を加算すると、約100万円……。リオのカーニバルの時期はホテル代も跳ね上がり、日本からのカーニバル観戦ツアーは、どれもこれくらいの価格だった。
パンフレットにひとつだけ安いツアーがあった(といっても50万円)のだが、なぜ、安くできるのかといえば、宿泊代が高いリオの街には泊まらず、リオから500キロ離れたサンパウロ空港に降り立ち、そこから長距離バスを利用してカーニバルを見るというもの。1泊5日。ようするに車中泊なのである。安くあげるためにこの弾丸ツアーにしようかと問い合わせもしていたのだが、すでに完売だった。
何もブラジルにまで行って、そんなハードなツアーに参加しなくても……それでも50万円もするのか……
リオのカーニバルは楽しそうではあるけれど、100万円払うか、と言われたら、僕はそんなには出せません。
日本人にも、カーニバル好きな人が、けっこういるんですね。
同じ1週間くらいのツアーで、北欧のオーロラを見に行くのなら32万円、フランスのモンサンミッシェルだと23万5000円。
もちろん、時期によって旅行代金は全然違うんですが、それにしても、リオのカーニバルは高いな……
あと、ドイツのクリスマスマーケットのツアーは、3泊5日で行けるんですね。個人的にはクリスマスマーケットにあまり興味はないのだけれど、行く気と少しまとまったお金さえあれば、世界のいろんなところに気軽に行ける時代を生きているのだよなあ。
ひとり参加であれば、「みんなの都合をつける」よりは、休みもつくりやすいだろうし。
ひとり旅のガイドブックというよりは、益田ミリさんの体験エッセイなんですよね、これ。
益田さんのファンなら楽しめるはず。
この旅エッセイを読むと、ひとり旅が好きな人は、いろんなところに行ってみたくなるだろうし、苦手な人は「こんな感じだったら、やっぱりやめとこう」って思うのではなかろうか。
あと「海外ツアーにひとりで参加する男性」って、この本にはひとりも出てこないんですよね。
不思議でもあり、自分に置き換えてみると、納得できるところもあり。
- 作者: 益田ミリ
- 出版社/メーカー: ミシマ社
- 発売日: 2017/04/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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