
- 作者: 知念実希人
- 出版社/メーカー: 実業之日本社
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- 作者: 知念実希人
- 出版社/メーカー: 実業之日本社
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内容紹介
広島から神奈川の病院に実習に来た研修医の碓氷は、脳腫瘍を患う女性・ユカリと出会う。外の世界に怯えるユカリと、過去に苛まれる碓氷。心に傷をもつふたりは次第に心を通わせていく。実習を終え広島に帰った碓氷に、ユカリの死の知らせが届く――。彼女はなぜ死んだのか? 幻だったのか?ユカリの足跡を追い、碓氷は横浜山手を彷徨う。そして、明かされる衝撃の真実!? どんでん返しの伝道師が描く、究極の恋愛×ミステリー!!
2018年『本屋大賞』ノミネート作品。
僕は「医療もの」というのが基本的に苦手なのです。
あまりにも理想化、美化されたものだと自分自身と比べて悲しくなったり、現実はそんなんじゃないんだよ、と呟きたくなったりするんですよね。
そして、恋愛小説も好きじゃない。
正直、この『崩れる脳を抱きしめて』は、あらすじを読んだ時点で、気乗りしない作品でした。作品のデキ以前に、僕にとっては地雷原みたいなテーマと切り取り方だったから。
甘すぎるケーキを無理に食べたときのように歯が浮きそうになりながら、がんばって最後まで読んだのですが、途中で解決される「小さな謎」があるのは「米村穂信さんの影響を受けているんだろうな」と思ったり、さすがにその研修病院は暇すぎるし、いくら自由な病院でも、患者の部屋で長時間「勉強」する医者なんていないだろ、いまや外来診察室だって、男性医師は女性と一対一で診ることは避けられている時代なのに、とか、細かくツッコミを入れたりしながら読みました。
そう思いつつも、著者が現役医師ということもあって、医者の仕事の日常的なディテールはよく書けているし、こういう作品に設定のリアリティ云々、なんて話をするのは、わざわざディズニーランドに行って、「こんな夢の国なんて、現実に存在するわけないだろ!」と声高に叫びまわるようなものですよね。曰く、「不粋」。
こういう「純愛」「難病」を読んで、「愛って大事だよね!」って思える人が読めばいいだけのこと。
僕はこういう作品を読むたびに「どんでん返し」を実現するための駒のように、作者の都合に合わせて配置されているキャラクターや舞台装置が、なんだかとても薄っぺらく思えるのです。
適当に歩き回っていたら、ちょうどいいタイミングで偶然ヒントが出てくるのは、1980年代のマイコンのアドベンチャーゲームみたいだ……
そして、ひたすら主人公のために動いてくれる周りの人の存在にも僕は引いてしまいました。
主人公の元彼女とか、あまりの「いい人」っぷりに、読んでいて気持ち悪かった。
いや、こういう人が僕の周りにもいてくれたらいいと思いますよ、都合のいい女、として。
そんなことを考えてしまう自分自身が、また気持ち悪くなるのですけど。
この作品はリアリズム小説でもプロレタリアート小説でもないし、恋に恋する人々のための純愛ファンタジーとして、「フィクションの中にだけでも、こんな話があっても良い」ですよね。
とりあえず、こういう締めにしておこう。

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