琥珀色の戯言

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【読書感想】新・人間関係のルール ☆☆☆


Kindle版もあります。

人間関係は人生の問題の多くを占めていて、ストレスの原因になったり、時には生きる活力の源泉になったりします。(中略)実感したのは、人間関係はその時の自分の状態を表す、ということです。(中略)この本の執筆中、世界を激変させるパンデミックが発生し、人間関係にも新しいルールが生まれつつあります。(「まえがき」より)「コミュ力不足」を自認する辛酸なめ子さんと一緒に、クスッと笑いましょう。なんとかなるさ!


 結局、人生の悩みほとんどは「お金と健康と人間関係」に尽きる、というのが50年近く生きてきた僕の実感です。
 なかでも「人間関係」というのは、相手があることだけに難しいし、よくわからない。
 新型コロナ禍で、自宅でのリモートワークやZOOMでの会議が一気に普及した一方で、「ZOOMでは、上司より先にオフラインにしてはいけない」みたいな「新ルール」がつくられている組織もあるのです。

 この本、「対人関係が苦手」と公言している辛酸なめ子さんが、「人間関係のルール」について連載をしていたら、途中で新型コロナ禍がやってきて、そこで起こった変化についても書かれることになりました。
 後世の人が読んだら、その変化に「こんな時代もあったのか」と思うようになるのだろうか。
 マスクなしで外出し、面と向かって話をする、というのが「ありえないこと」になってから、もう1年半になるのだよなあ。

 この本には、辛酸なめ子さん自身がメディアの世界に身を置いて体験した、あるいは、周りの人に聞いた、さまざまな「困った人間関係」も紹介されているのです。

 気難しい人をたくさん相手にしていそうなアート関係のBさんに
「どうやって、ヤバい人とは縁が切れますか?」
 と、相談すると
「縁は切らないで、うまく対応するしかありません」
 というお返事。どういうことでしょう?
「ヤバい人を断ち切ると、また次のヤバい人が出てきます。ロケットペンシルのようにあとにどんどん控えているんです。だから、今いるヤバい人は魔よけみたいなものだと思って、断ち切らず対処しましょう」

 ちょっと前に敏腕編集者の女性から聞いた恐ろしい話があります。
「これまでに何人も、マネージャー志望の女性に搾取された作家さんや漫画家さんを見てきました。忙しくて大変そうな人が狙われます。彼女たちは半分は親切心からかもしれませんが、その人のため、というフリをして近付いてきます。その作家や漫画家をコントロールすることで快感を得るようになっていくんです。例えば打ち合わせ後、あの編集者は信用できないとか言って、信頼関係を危うくさせます。そしてますます自分に執着させるんです」
 そこに同席していた有名イラストレーターの女性も、ちょうどそんなヤバい人にマネージメントされて大変だったそうでした。
「最初は腰が低かったんですが、だんだん自分の方が上、という態度になってきました。秋元康を今度紹介する、とか実体のない人間関係をアピールしてきたり、気付いたら脚を組んでタバコを吸うようになって態度が悪化し、それに気付いた周りの友人が睨んだりしていたようです」
 彼女は適当なデマを流したり、スピリチュアルを悪用して「あの人のオーラは良くない」と、イラストレーターさんの知人について忠告してきたりしたそうです。
「私的にはあの人はNGです」と、長年の編集者について言ってきて、疎遠にさせようとしたり、そして自分に多くの取り分がいく契約書を作ってきた頃から、どうもおかしいと思うようになり、仕事の関係を切るに至ったそうでした。本性に気付いて無事に縁が切れて良かったですが、多くの人は洗脳系女子に吸い取られてしまうそうです。
「勝手に印税契約がその中間の女性に何%か払われるようになっていたり、月100万振り込まされたケースも。彼女たちはお金がありそうなところを敏感に嗅ぎ分けますが、作家さんや漫画家さんが落ち目になると去っていくんです」
 相手に精神的に依存させられてから去っていかれるとは、かなり辛いものがあります。
 そうならないうちにヤバそうな人とは距離を置いておきたいです。


 これを読むと、いくつかの「実例」を思い浮かべずにはいられません。
 なんであんな人の言いなりになっているんだろう?
 ある人との付き合いで、「洗脳」されたように、急に人が変わってしまうのを目の当たりにすると、「あれだけ賢い(あるいは凄い)人が、なんであんなおかしな人に騙されるんだ?」って言いたくなりますよね。
 でも、「洗脳系女子」は、有名人やお金持ちの「心のスキマ」みたいなものに侵入するのが滅法うまくて、いつのまにか「なくてはならない存在」「この人しか信じられない」と自分を思い込ませてしまうのです。
 そういう「才能」がある人って、いるんですよ、たしかに。
 親切そうに近づいてきて、いつのまにか、その人に深く食い込み、周りから孤立させてしまって操る「洗脳系」。


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 こんな人もいますし、「人の見かけや第一印象を過信してはいけない」のです。
 (ヤバい人が)「ロケットペンシルのようにあとにどんどん控えている」というのは、僕もちょっと思い当たるところがあって、多くの人と接する仕事や立場というのは、人間不信になりやすいよなあ、と考え込まずにはいられません。
 まあ、僕自身も、誰かにとっての「ヤバい人」になっている可能性はあるんですけどね……
 こういう「洗脳系」って、自覚的に他人を利用しているのか、本人は「善意」のつもりなのか、外からはわかりにくいですし。


 「ZOOM飲み会」について。

 しかし、現実の飲み会と違って常に顔を晒している、というのが緊張感あります。リアルな場は、誰かと誰かが話が盛り上がっている間、自分はふと他のことを考えたり、スマホやテレビを観たり気を抜けますが、オンラインの会の場合はテレビのワイプ内の芸能人のように常に顔の表情が流されています。
 そんなに自分の顔を注視する人なんていないと思っても、画面の何分の一かを占めているので、常にリアクションしたり話に聞き入っている表情をキープしなければなりません。
「ZOOM映え」という言葉も生まれましたが、初心者なのでそこまで演出できず、蛍光灯の下、自分の疲れた表情を晒すのも気がかりです。
 オンライン飲み会は意外と疲れる、というのを実感。
 ただトークの内容としては、皆非常事態で大変なので、ストレスや悩みを打ち明けたり、いつもより親密になれた気がしました。ストレスがたまった時は、クッションを顔を周りに3枚当てて叫んでいる、とか良い解決法を聞けました。
 そして最大の利点としては、お店で宴を開催すると(お酒をあまり飲まない身として)「割り勘負け」が気になってしまいますが、リモートの会はそんなセコい心配とは無縁で、自分の家で好きな飲み物を用意すれば良い、ということでしょうか。だいたい、今のところハーブティーか白湯を飲んでいます。繁華街で飲み会して混んだ電車で帰らなくて良いのも気が楽です。
 ただ、リアル飲み会だと「電車があるのでそろそろ……」と切り出せますが、オンラインだと終わるきっかけが難しいです。この会では、参加している夫婦のお子さんが眠くなったので、という自然な流れでお開きになりました。


 僕自身はオンライン飲み会というものに参加したことがないのです。
 もともと飲み会があまり好きではない、とはいえ、「誘ってくれる人がいない」のも事実です。
 そもそも「終電が……」なんていうのは、電車移動がメインの都心の話ではありますよね。
 オンライン飲み会なんて、東京も地方も関係ない、ように思いがちだけれど、実際は、東京と地方の「新型コロナへの危機感やリモートワークの浸透度」は、かなり違うのではないでしょうか。

 辛酸なめ子さんは、人間関係に気疲れしがちな一方で、新型コロナウイルスで、ファッションやコスメ関係、新しい店のオープンなどの「パーティ」が開催されなくなって、想像以上に淋しい、とも仰っています。

 人間関係の難しさは、こちらも相手も、つながりたい、と、そっとしておいてほしい、というような相反する面を持っていて、そのときの状況や気分によって優先順位が変わってしまうところにもあるのです。


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