
- 作者: 松閣オルタ
- 出版社/メーカー: 洋泉社
- 発売日: 2018/08/23
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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内容紹介
膨大な資料の読み解きと独特の文体で異彩を放つ、
オカルト研究サイト「オカルト・クロニクル」がついに書籍化!
奇妙な事件、奇妙な出来事、奇妙な人物――洋の東西を問わず不可解な謎に迫る、
「超濃厚オカルト研究読本」!もくじ
はじめに
――信奉者はタフなロマンを! 信奉者の敵は懐疑論ではなく安易な否定論だ!ディアトロフ峠事件
――ロシア史上最も不可解な謎の事件青年は「虹」に何を見たのか
――地震予知に捧げた椋平廣吉の人生セイラム魔女裁判
――はたして、村に魔女は本当にいたのか……坪野鉱泉肝試し失踪事件
――ふたりの少女はどこへ消えたのか……「迷宮」
――平成の怪事件・井の頭バラバラ殺人事件「人間の足首」が次々と漂着する“怪"
――セイリッシュ海の未解決ミステリー事件「謎多き未解決事件」
――京都長岡ワラビ採り殺人事件ミイラ漂流船
――良栄丸の怪奇科学が襲ってくる――
フィラデルフィア実験の狂気岐阜県富加町「幽霊団地」
――住民を襲った「ポルターガイスト」の正体八丈島火葬場七体人骨事件
――未解決に終わった“密室のミステリー"獣人ヒバゴン
――昭和の闇に消えた幻の怪物ファティマに降りた聖母
――7万人の見た奇蹟
人はなぜ、「超常現象」にこんなにもひきつけられてしまうのか?
この本、オカルト研究のサイト『オカルト・クロニクル』の書籍化なのですが、この「内容」に並んでいるさまざまな「事件」のタイトルをみただけで、「気になって仕方が無い」人は、読んでみて損はしないと思います。
科学的な説明が可能なものから、本当に「得体がしれない」ものまで、さまざまな超常現象が紹介されているのですが、どの話も興味深く読むことができました。
最初に出てくる『ディアトロフ峠事件』に関しては、最近この本を読んでいたのです。
この本で著者がたどり着いた唯一の「正解に近そうな推論」についても、『オカルト・クロニクル』では、仮説のひとつとして紹介されている程度なんですよね。
捏造されたモノは別として、少なくとも実際に起こり、少なくない人が体験ないし被害に遭った不可解な事件群である。本書に収録された記事はこれらさまざまな事件にまつわる散らかった資料を集め、精査し、時には拙い現地取材をし、真相や裏側に少しでも迫らんとする試みであり、その内容は雑多——いわゆる「超常現象ケース」から「未解決事件」まで扱っている。
こと不思議な出来事や超常的なものに向き合うとき、大きく分けてふたつの立場が存在する。まず信じてかかる「信奉派」いわゆるビリーバーという立場、そして疑ってかかる「懐疑派」という立場で、このふたつの潮流はコトの真偽をめぐってたびたび衝突を見せる。そんな潮流を傍目に見ながら、関心はあるものの懐疑派になるのは知性・知識が足りず、信奉派になるには純粋さや信仰心が足りない、でもカヤの外は嫌だから仲間に入れて欲しい——というワガママな立場から、本書ではなるべく両方の意見・仮説を取り上げるようにしている。
僕は「人というのは、自分で調べた(読んだ)資料に影響されやすいものだよなあ」と考えずにはいられなかったのです。
ある物事について判断するには、いろんな人が書いた、さまざまな視点からのものを読んで、比べてみる必要がある。
その点では、この本は、ある説に過剰に肩入れすることなく、ときには著者自身が「現場」に脚を運んだりして、かなり慎重に書かれている印象を受けます。
「答え」を書くのではなく、なるべく信憑性が高そうな「真実に近づくための材料」が並べられているのです。
この本を読んでいると、「不可解な事件や事象」のことはもちろん気になるのですが、そういうものを目の当たりにしたときの人間の行動にも考えさせられるのです。
虹をみて地震予知をする、という青年に対して、そのプロセスが不自然であるにもかかわらず、「何かあるのかもしれない」と、ずっと援助を続けた東大の先生がいたり、『セイラム魔女裁判』では、「魔女であること」を認めれば死刑にならなくて済むのに、信仰を貫いて死刑になることを選んだ人たちがいたり。そういう人たちを目の当たりにしながら、群集は、「魔女裁判」をやめることができなかった。
今の日本では「オカルトは信じない」のが作法のようになっているけれど、オウム真理教事件の際に僕が感じたのは、「目に見えない、自分が体験したことがないものは信じない」という姿勢というのは、「自分が見たり、体験したりしたものは、素直に信じてしまう」危険をはらんでいるのだ、ということでした。
この本に出てくる『ファティマの奇跡』のように、7万人が同時に「体験」した、という事例になると、どう説明していいのか、と考え込むしかありません。
懐疑派で反宗教主義者だったアベリーノ・デ・アルメイダさんはこの「奇跡」の場にいて、こんな所感を残しています。
宇宙のあらゆる法則をやぶるこの事件は、当然、太陽がふるえ、動きだすことで始まった。
太陽は、農民の典型的な表現を借りるなら”踊っている”ようにも見え、現場の無数の人間は驚き、畏怖の念に打たれて見守るばかりだった。
今日ファティマで起こった出来事に、信心深い人たちは心から神を讃える大合唱を湧きあがらせた——事実わたしも、感銘を受けるに値する現象だと認めるにやぶさかではないし、教会の権威を無視する自由思想家も、宗教問題にはまったく興味のない人びともひとしく感銘を受けたことだろうが、この出来事を”太陽の死の舞踏”と呼ぶのがふさわしいかどうかの結論を出すのはさしひかえよう。
この現象を信じない者にとっては、二度とないめずらしい出来事にすぎないだろうし、じかに目撃しなかった者にとっては、まったく信じがたい現象だろう。一大群集がいっせいに雲の切れ間からのぞいた青空をふり仰ぎ、隣に立つ者が「奇跡だ、奇跡だ」と叫ぶのを聞く。そんな現象だったのだ。
そんな「奇怪な動きをする太陽」なんて現象が起こりうるのだろうか?
著者は、さまざまな資料にあたって、太陽の異常な動きを目撃したという事件が、歴史上、少なからず存在していることを紹介しています。
しかしながら、いずれも、現代のようにみんながスマートフォンで録画できる時代のことではなく、「目撃証言」が残されているだけなのです。
とはいえ、この「ファティマの奇跡」ほど多くの人が同時に、「集団催眠、あるいはヒステリー」のようなものに陥って、同じような現象を目撃してしまうというのも、あまり現実的ではないように思われます。
さまざまな仮説が紹介されているのですが、いずれも、決定的なものとは言い難い。
採りあげられている「超常現象」にもいろいろなものがあって、本当に「何がなんだか」という事例もあれば、丁寧に検証していけば、かなり信憑性の高い仮説が得られるものもあるのです。
2007年の夏、カナダはブリティッシュコロンビア州、ジュデディア島の海岸で、ひとりの少女が漂着物のなかに運動靴を見つけ、何気なく拾い上げた。それには”中身”も入っていた。
それから1週間ほどすると、今度は少女が見つけた場所から40キロメートルほど離れたバンクーバー沖ガブリオラ島で、また漂着した靴が見つかった。もちろん、中身も入っていた。
この時点では、「おそらく、海難事故か飛行機事故によって亡くなった者の足であろう」との見方が大勢を占めていたことが、カナダの国営放送局であるCBCが報じた記事から見て取れる。
だが、なんらかの事故であったとして、いつどこで起きた事故に由来するモノなのか。これを明確に指摘できる者はいなかった。
そうして、何が起きているのかわからないまま”中身入りの靴”は次々に漂着した。翌年になっても、翌々年になっても、足首の漂着は止まらず、結局2016年までに17足を数えるまでになった。
これらは、セイリッシュ海カナダ・BC州とアメリカ北西部ワシントン州に面する広大な水域で見つかった。
右足もあったし、左足もあった。男性のものもあったり、女性のものもあった。行儀良く靴下を履いていたもの、半ばミイラ化していたもの、アディダスであったもの、ナイキであったもの。
奇妙なことに漂着したのは足首だけで、胴体や頭部などほかの部位は現在においても発見されておらず、足首の身元について、一部を除いて現在もわかっていない。いったい冷たいカナダの海で何が起こっているのだろうか。
この怪事件の「理由」が気になる、という方は、この本の良い読者になれると思います。

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