琥珀色の戯言

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世界怪魚釣行記 ☆☆☆☆☆


世界怪魚釣行記

世界怪魚釣行記

釣り竿持った命知らずのバックパッカー、世界の秘境でサバイバル&モンスターフィッシング。

第1章 パプアニューギニア編―湿原の闘神バラマンディ(危険な香り漂う首都ポートモレスビー;秘境を流れる大河フライ川をさかのぼれ! ほか)
第2章 アフリカ編―砂漠の巨神兵ナイルパーチ(アフリカ大陸上陸!;エチオピア、陸路2000kmの辛い旅 ほか)
第3章 東南アジア編―濁川の大魔神プラークラベーン(濁川の大魔神巨大淡水エイ・プラークラベーン;釣り人がアンコールワットを素通りする理由 ほか)
第4章 モンゴル編―大地の裂け目の鬼タイメン(大草原の彼方へ自給自足の旅;遊牧民のおっさんとバイクで2人旅 ほか)
第5章 アマゾン編―釣り人の聖地へ(地球の裏側は遠かった。憧れのアマゾンに潜入!;アマゾンが僕に微笑む時 ほか)

本の雑誌』で紹介されていたのを読んで購入。
僕自身は「水族館でいろんな魚を観るのは好き」なのですが、釣りに関しては「子供のころにはときどき行っていたけれど、最後に行ったのはもう5〜6年前くらい」ですし、釣りそのものも、そんなに好きなわけでもないんです。たぶん、釣り糸を垂らしている間にニンテンドーDSをやっていて、魚がかかってもゲームに夢中で見逃してしまうのではないかと。
それでも、この『世界怪魚釣行記』は、すごく楽しめました。
この本、すごく写真が豊富で、しかも個々の写真(とくに「怪魚」の数々!)が、すごく魅力的なんですよ。
黄金のバラマンディ、白銀に輝くナイルパーチ、常軌を逸したデカさのプラークラベーン!さらに「外道の王様」ワニまで!
これらの魚を抱えて(まさに「抱えなければならない大きさ」なんです)みせる著者の歓喜の表情!サングラスをかけている写真がほとんどなので、目つきはわからないのですが、それでも、「とにかくこんな魚が釣れて幸せ!」というのが伝わってくるのです。
著者の武石さんは、この本によると、一年の半分を日本でバイト生活、残り半分を世界各地で珍魚・怪魚を求めての過ごす、という生活を送っておられるそうなのですが、なんだかすごく人生楽しそう。「こんな生活をしていて、老後はどうするんだ?」とか「魚を釣ることに、何か意味があるのか?」とか、最初は僕もそういう「常識」でみてしまっていたのですけど、読んでいくうちに、「でも、こうやって好きなことをやって、その日一日一日を過ごしていくのも、ひとつのすばらしい生き方なのかもしれないな、と思えてきました。
いきなりマラリアで受診されたときには、医者はものすごく驚いたでしょうけど。
語り口も、こういう「冒険家」によくある「自然を大事にしましょう!」的な説教調ではなく、「とにかくデカい魚、珍しい魚を、自分の力で釣るのが楽しくてしょうがない!そして、その体験を誰かに聞いてもらいたくてしょうがない!」という勢いにあふれています。

モンゴルでの著者の回想より。

例えばここがヘルメットを被らないだけで警察に捕まるような国だったら怖かっただろう。そんな国では結果ばかりを先に考えてしまうからだ。だがここは今を生きる人々が暮らす国だ。誰も転倒したときのことなど考えはしない。ただこの瞬間髪が風になびく快感を、夢見心地で草の海を突き抜ける爽快感だけを感じて生きているのだ。彼らは今が楽しければそれでいいのだ。こんな感覚いつ以来だろうと思った。
 どれぐらい馬鹿げた走行を続けただろうか? いつの間にか僕達はテルヒンツァガーン湖の岸辺を疾走していた。もうすぐエンビシのゲルが見えてくる頃だ。後ろを振り向くと燃えるように真っ赤な太陽が湖に沈もうとしていた。こんな旅をいつまで続けられるか分からない。ほんの一瞬であったにせよこいつと旅ができてよかった。今はあの沈みゆく夕日の美しさに似て、「一瞬」だ……。

著者はたぶん、釣りの途中に事故で命を落としても、人生を後悔しないんじゃないかと思います。
僕はなんだか、それがとても羨ましくて。

僕はこんなふうには生きられないけれども、この本を読むと、少し元気が湧いてきます。
釣り好き、冒険モノ好きの方はもちろん、なんか日常に疲れちゃったな、というインドア派(僕のことか…)にもオススメの一冊。

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