琥珀色の戯言

3000冊以上の【書評】と500作以上の【映画感想】を、ちゃんと読んで、観て書いてきたブログです。話題になったあの本や映画の感想が、たぶんあります。新書、ノンフィクション、インターネット関連本が多め。

あなたが「正しい」わけでも「悪い」わけでもなくて

http://d.hatena.ne.jp/satomies/20070622
↑でid:satomiesさんに言及していただいているのは、
この『僕がパニックに陥ってしまった理由』という記事だと思います。
この記事、精神科の医師の方々から「それは厳密には『パニック障害』じゃない」と言われたんですけど。

id:satomiesさんが取り上げられている記事
俺の何が正しくて、何が至らないのか、教えてください。/深海魚のカタルシス
↑を(プライベートモードにもかかわらず)僕も読ませていただけたので、これを読んで僕が思ったことをとりあえず書いておきます。
(ちょっと今あまり時間がないので、後で追記するかもしれません)

結局僕は医者を10年以上やっているわけですが、あそこまで追い詰められた気分になったのは、あの1回だけです。もっとも、「ちょっとこのままいったらダメかもしれない……」って感じたことは何度もあるのですけど。

これを読んでいて思うのは、id:Agguy0cさんというのは、僕と同じように「完璧主義的なところがある人」だということなんですよね。だから、どんな相手にも嫌われたくない、うまく対応しなければならない、周囲に迷惑をかけてはならない、と考えておられるのではないかと思うのです。
でも、世の中には「相性」ってやつもありますし、そういう困った人と対応するために「リーダー」というのはいるのです。

たぶん、最上の手段は「環境を変える」ことではないでしょうか。
僕も当時は「自分はなんてダメな人間なんだ。こんなに指導医とソリが合わないなんて……」と悩んだものですけど、実のところ、それ以降10年近く、彼女ほど僕を苦しめた医者には会ったことがありません。当時の僕は、「この程度のことも乗り越えられないようじゃ、この先とてもやっていけないはず……」と悩んでいたのですが、実は30余年の僕の人生においては、「この程度のこと」じゃなかったわけです。人生はRPGじゃないので、最初に遭うのはスライムばっかりで、後からどんどん強いボスが登場するわけじゃないんですよね。にもかかわらず、「レベル1でドラゴンに遭ってしまっているのに、勝てないことに悩んでいる」っていうことは、けっして少なくない。もちろん、戦ってみるのも「経験」かもしれませんが、どうしても難しそうなら、そこで同じことを繰り返して煮詰まるより、「にげる」を選んだほうがいいんじゃないかと思うのです。
あとは、どうせ「にげる」「環境を変える」のなら、その前に上司に「もうダメです!」と丸投げしてみることです。おそらく、偉そうなことを言っているそのリーダーも「自分がアイツの対応をするのは嫌だ」と考えているはずなんですよね。だから、いざとなったら辞めるのも覚悟で「リーダーがあのお客に対応してください」とお願いしてみるべきなのではないかなあ、と。

以下はフィクションです。
以前僕の知り合いの劇画原作者が勤めていた病院でちょっとしたトラブルがありまして、いわゆるチンピラみたいな人に因縁をつけられて彼は非常に困っていたのです。で、病院の偉い人たちは「お前が主治医なんだからなんとかしろ」という態度。なんとかしろって、医療ミスでもなんでもなくて、単たる言いがかりに対して、一個人でどう対応しろと言うのか……

そのとき、彼はどうしたか?
ゴネたんですよ、結局のところ。医局会で院長に向かって、「この病院は、『お前が主治医なんだから』ということで個々の医者を見殺しにするのか?だからチンピラたちになめられて、末端の人間ばかり犠牲になるんだ!どうしても全部俺の責任にするって言うのなら、大学に相談するし、俺はこんな病院は辞めてやる!」って。

最終的には、そのチンピラは院長が自分で診ることになり、彼はなんとかもちこたえることができたそうです。チンピラは「院長が直接診てくれるから」ということで喜んで、それなりに通院しているらしいですよ。

僕はまず、「そのお客さんのことをリーダーにきちんと相談して、責任ある態度を求める」のが良いのではないかと思います。リーダーが聞く耳持たないのであれば、さらにその上司に。そのとき大事なのは「自分にはもう、どんなに頑張ってもムリだ」というのを明言しておくことです。そこで「自分でがんばればどうにかなるかも……」なんて、うまく丸めこまれたらいけません。いや、リーダーだって、もっと上の人に話を持ち込まれたら「自分の管理責任」になりますから、放ってはおけないはずですし。
あと、もうひとつ大事なことは、同僚たちにもちゃんと話をして、味方になってもらう、ということです。そういう職場環境であれば、同じ悩みを抱いているのはあなただけではないだろうし、いざというときに周囲が「そうだそうだ!」と言ってくれるかどうかというのは非常に大きいんです。
僕の知り合いの劇画原作者が上司に談判したときも、周囲がその場で応援してくれたからこそうまくいったみたいですし。
完璧主義系の人って、そもそも「人に弱みを見せる」ことが大の苦手なのですが、さらけ出さない人は、なかなかサポートしてもらえないんですよ。それは「恥」なんかじゃない。

一つだけ付け加えておくべきことがあるとすれば、上司や偉い人に「相談」するときは、感情的になって相手を責めるのではなくて、「今自分はこういう状態なので、助けてほしい」と、なるべく冷静に状況説明をすべきだ、ということです。誰かが悪いわけではなくても、どうしようもないことって、世の中にはけっこうたくさんありますしね。それで満足できる解決法が提示されず「丸投げ」されるようなら、辞めちゃってもいいんじゃないかなあ。

ごめん、最後にもう一つ。
あなたは全然悪くない。ただ、水が合ってないだけですよ。だから、自分を責めないで。

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