琥珀色の戯言

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猛スピードで母は ☆☆☆

猛スピードで母は (文春文庫)

猛スピードで母は (文春文庫)

内容(「BOOK」データベースより)
「私、結婚するかもしれないから」「すごいね」。小六の慎は結婚をほのめかす母を冷静に見つめ、恋人らしき男とも適度にうまくやっていく。現実に立ち向う母を子供の皮膚感覚で描いた芥川賞受賞作と、大胆でかっこいい父の愛人・洋子さんとの共同生活を爽やかに綴った文学界新人賞受賞作「サイドカーに犬」を収録。

非常に素直に読める中篇が2本。いかにも「正統派の純文学っぽいなあ」と感じさせてくれる本です。
実際に長嶋有さんは『猛スピードで母は』で、芥川賞を受賞されているわけですし。
僕にとっては、「こういう作品が芥川賞を獲るんだなあ」というくらいの印象で、まわりくどい表現を極力排しつつも心の動きが伝わってくる良い作品だと思うけれど、愛人にとって正妻の娘ってこんなにのどかなものなのだろうか?とか考え込んでしまったのも事実です(『サイドカーに犬』の話)。
しかし、ドラマ化、映画化の影響って、やっぱり大きいですね。『サイドカーに犬』の洋子さんは、僕の中ではすっかり竹内結子さんになってました。確かにハマリ役だと思います。

「良作」なんだけど、1ヵ所くらい「えっ?」って驚かされるところが欲しい、そんな感じの作品です。

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