- 作者: このミステリーがすごい!編集部
- 出版社/メーカー: 宝島社
- 発売日: 2007/12/05
- メディア: 単行本
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「この1年間に出たミステリーのガイドブック」としては、相変わらず大きな価値を持っている本だと思います。
『ファミ通』のクロスレビューみたいなもので、「ここでの評価そのものにはいろいろと問題もあるのだろうけれども、ここで紹介されないと存在そのものすら知らなかった本」もたくさんありますし。
しかし、今年度版は、正直あんまり面白くなかったんですよね。ランクインしている作品のバリエーションが乏しかったのか、あるいは、それぞれの本を紹介している人の筆力の問題なのか。
「国内編」のベスト20のうち、僕が読んでみようと思ったのって、『赤朽葉家の伝説』(もうすでに持っているのですけど、あの2段組の迫力に負けて放置中。たぶん『本屋大賞』にもノミネートされそうな気がします)と『インシテミル』だけでしたしね。
なんでこんなに今年度版の作品には興味が持てなかったのだろうなあ、と考えていたのですけど、「国内編」の西上心太さんの解説のこの部分を読んで納得できました。
さて数年前からミステリーというジャンルの拡散が言われ、総括しにくいランキングが続いていたのだが、今期ははっきりとした2つの軸があることがおわかりになるだろう。警察小説と本格ミステリーだ。
ああ、僕は「警察小説」も「本格ミステリー」も苦手なんだよなあ……
これが「2つの軸」では、ランク入りしている作品にも興味がわかないはずだ……
要するに、僕はど真ん中の「ミステリ読み」ではなくて、「拡散してしまった端っこのほうのミステリっぽい作品が好き」なのだと思いますし、そういう人間にとっては、今年のランキングはちょっと辛かったです。
来年は、「拡散組」にもっと頑張ってもらいたいなあ。
500円という価格は嬉しいですし、ちょっと中途半端な作品(ミステリーと啓蒙記事のあいだ、という感じ)ではあるものの、海堂尊先生の「田口・白鳥シリーズ」の短編も収録されているので、「本好きなら買って損はしない」と思うのですが、僕は『このミス』での作家ロングインタビューとか、「バカミスを罵倒する対談」とかがけっこう好きだったので、そういう「遊び」の記事がほとんどない今年度版は、「読み物」としては少し残念です。いつも思うのだけど、「アンケートに答えてくれた各人の回答掲載」って、答えてくれた人たちへの謝辞以上の意味って、あんまり無いような気がします。
あと、第6回『このミス』大賞受賞作の「禁断のパンダ」は、抄録を載せないほうが良かったのでは……これを読んで、続きを読みたくなる人がそんなにたくさんいるの?
「売り」であるはずの料理描写も、ここに収録されているものを読んだかぎりでは、そんなに絶賛されるようなものとは思えなかったし……
- 作者: 桜庭一樹
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2006/12/28
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- 作者: 米澤穂信
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2007/08
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