琥珀色の戯言

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少林少女 ☆☆


あらすじ: 祖父の道場を継ぐため中国の少林拳武術学校に修行に行った凛(柴咲コウ)が3000日の厳しい修行に耐え帰国すると、道場は潰れ兄弟子たちは少林拳を辞めてしまっていた。単独で少林拳を広めようと決意した凛は、ひょんなことから大学のラクロス部の助っ人になる。チームは勝ち進み、道場再建に向け着々と準備は進んでいくが……。(シネマトゥデイ

2008年有数の「やっちまった映画」として知られる、この『少林少女』をついにDVDで鑑賞。
この映画、何がすごいかというと、「何がストーリーの軸なのかサッパリ分からない」「なぜそうなるのか、という因果関係が不明な展開」に尽きると思います。
キャストはけっして悪くないんですよ、とくに柴咲コウさんは。「それなりに観られるアクションシーン」を観ながら、「ああ、柴咲さん頑張ったんだな……」と感慨にひたることはできます。柴咲さんは、1年間トレーニングをしてこの映画の収録に臨んだらしいですし。
しかしながら、その「頑張ってるな」のあとに心に浮かんでくるのは、「こんな壊滅的な脚本の映画でそんなに頑張っても……不運すぎる……」という感情。

この映画、凛がその身体能力を買われてラクロス部にスカウトされ、「ああ、『少林ラクロス』なんだな」と観客は思うわけです。
ところが、「パワー」はあるもののテクニックが全くなく、仲間にパスをせずに打ちまくったシュートは明後日の方向にばかり飛んで行く凛。その「ひとりずもう」に、チームメイトは凛を責めます。
でもねえ、これ、問題は「チームワーク」じゃなくて、凛の技術の問題だよね。あのシュートなら、コントロールさえよければチームプレイも何も関係なく、「翼くんのセンターサークルからのドライブシュート」みたいにどんどん打てば圧勝できるはず。
その後、うちひしがれた凛が子供に混じってサッカーをやっているだけで、なぜか凛のもとに嬉々としてどんどん集まってくる仲間たち!
ええーっ、ああいうわだかまりって、そんなことですぐに解決するの?
子供とサッカーやっているだけで「チームワーク」なんて身につかんだろ!
僕が子供の頃のサッカーなんて、みんなボールの周りでワラワラしてただけだったぞ。
「イヤなヤツだけど、戦力として評価して我慢する」というのならアリだと思うけど、なんかあまりに都合よすぎないか?

それで、『少林ラクロス』がようやく本格化するかと思いきや、なぜか意味不明の敵が出現してファミコンの『スパルタンX』みたいなアクションが始まります。なぜこの人たちはこんなところでこんなことを命がけでやっているのか全くわからない敵たち。放火・傷害だけで懲役何年になると思う?ボスの物好きな理由であんな恐ろしい犯罪行為を連発するなんてあんまりだろ。

結局、わかわかんないアクション映画として話は大団円をむかえ、『少林ラクロス』は、エンドロールで流れるだけです。

これ、ラクロスをやりたかったの? それとも、少林拳のアクション映画を撮りたかったの?
柴咲さんはけっこうカッコいいので、柴咲さんを観ているだけで幸せ、という人には、それなりにオススメできるかもしれません。
あと、「ツッコミを入れられるトンデモ映画愛好家」の皆様にも。
映画館で観るのはちょっとコストパフォーマンスが悪いのですが、DVD借りて「なんじゃこりゃ!」って苦笑しながら観るのには、けっこう向いている作品です。


『少林少女』(破壊屋 2008/4/28)
↑この感想がすごく面白かったです。

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