琥珀色の戯言

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現実入門―ほんとにみんなこんなことを? ☆☆☆☆


現実入門―ほんとにみんなこんなことを? (光文社文庫)

現実入門―ほんとにみんなこんなことを? (光文社文庫)

内容(「BOOK」データベースより)
結婚も離婚もしたことがなく、独り暮らしをしたこともない。キャバクラにも海外旅行にも行ったことがない。そんな「極端に臆病で怠惰で好奇心がない性格」のほむらさん・四十二歳が、必死の思いで数々の「現実」に立ち向かう。献血、モデルルーム見学、占い、合コン、はとバスツアー…。「虚虚実実」痛快エッセイ。

僕は正直、穂村弘さんって、あんまり好きじゃなかったんですよね。『ダ・ヴィンチ』に連載されているエッセイを読んでいると、なんだか「ひたすら女性のほうだけを向いて、愛とか恋とかを書いている人」というイメージしか持てなくて。
要するに「もともと恋愛モノが苦手」というのと、「なんかこの人平然と『愛とは……』なんてことを女の子に真顔で語りそうで、そのうえモテそうだから嫌い」というのがミックスされて、僕にとっては、「もっとも友達になれそうもない男」って感じがするんですよ。

でも、このエッセイ集は、穂村さんと同じように「人生の経験値」が低いことを自覚せざるをえない僕にとっては非常に興味深く思えたので読んでみました。
ああ、献血ルームの「不特定な異性との接触」の「不特定」って、たしかにすごく曖昧な表現だなあ、とか、「占い」の技術って、内容の精度じゃなくて、いかに相談者を「納得」させるかなんだなあ、というような、新しい発見もありましたし、最後の「どんでん返し」には驚きました。
ええっ、そんなのあり?ズルイよ穂村さん……って。

ところが、その「どんでん返し」も含めて、まさに「虚虚実実」なこのエッセイ。
こういう話が素直に読めるのも、著者が穂村さんだから、なのだろうけど。
読み終えたら、必ず誰もが「穂村弘 ●●」という言葉をGoogleに打ち込んで検索せずにはいられなくなるはず!

予想外に面白かったです。
「おいおい、この話、どこまで……」という読後の「落ち着かなさ」も含めて、魅力的な作品でした。

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