琥珀色の戯言

【読書感想】と【映画感想】のブログです。

バーン・アフター・リーディング ☆☆


『バーン・アフター・リーディング』公式サイト

ストーリー:CIAの機密情報が書き込まれた1枚のCD-ROMを、勤務先のフィットネスセンターで拾ったチャド(ブラッド・ピット)とリンダ(フランシス・マクドーマンド)。そのころ、元CIA諜報員のオズボーン(ジョン・マルコヴィッチ)は、機密情報の紛失にうろたえていた。一方、オズボーンの妻ケイティ(ティルダ・スウィントン)は、財務省連邦保安官ハリー(ジョージ・クルーニー)と不倫中で……。

「えっ、これでもう終わり?」
金曜日の23時45分からの遅い時間のレイトショーとはいえ、公開初日にもかかわらず客が僕も含めて6人しかいない場内に響いた若い女性の声。
観ながら3度くらい寝落ちした僕は、「ああ、やっと終わった……でも、内容がよくわかんないのは、大事なところを寝てて見逃したのか?」などと悩みましたが(とはいえ、たぶんウトウトしていた時間って、合計1分もなかったはず)、エンドロールで流れていた『CIAのうた』を聴いて、ようやく「要するにアメリカ人がどんどん偶像化しているCIA妄想みたいなものを笑い飛ばすための映画なんだな」ということがわかりました。『CASSHERN』じゃあるまいし……

それにしても、この映画ヒドイよね。
劇場での予告編やテレビCMを観た人の大部分は、この映画を「お気軽に観られるクライム・コメディ」だと思ったはずです。もちろん僕もそうでした。
それが、人間関係は入り組んでいるし、役者たちのオーバーアクトは笑うというより引いてしまうレベルだし、ストーリーも意外性がなく、すっきりできる結論もないという中途半端さ。
筋道を追っていくだけでも、けっこう疲れるんですよね。あまりにありがちな話すぎて、「伏線」を探してさらにぐったりしてしまうくらいです。
「なんか隠された意味があるのだろうか?」「すごいどんでん返しが起こるのでは……」と予想して観ると、冒頭の女性のような感想になるのはしょうがない。

実は今日は『スラムドッグ$ミリオネア』を観るためにちょっと遠くの映画館まで車を運転していったのですが、上映開始に5分遅刻するという最悪の展開で、先週観たばかりの『レッドクリフ PART2』をもう一度という気分にはさすがにならないし、『おっぱいバレー』はやっぱりチケット売り場のお姉さんにこんな時間、中年男が口にするのが恥ずかしい。『ドロップ』『クローズ』などの「ヤンキーもの」は、生理的に受けつけない、となると、時間的に唯一観られそうだったのが、この「予告編を観た時点では、絶対に劇場で観ることはないと思っていた(だって、つまらなそうだったんだもの。ジョージ・クルーニーが他の有名スター大勢と出ている映画って、みんなつまらなかったという記憶しかない)『バーン・アフター・リーディング』だったんですよね。
近場だったら、「出直すか……」という状況だったのですが、今回は、「せっかくこんな遠くの映画館まで来たし」という「もったいない感」が大きすぎたんだよなあ。

コーエン兄弟のファンにとっては、いろいろと「読める」映画なのかもしれませんが、『ノーカントリー』しか観たことがない僕にとっては、「何がやりたいのか、よくわからなかった(というかこんな豪華キャストでこんな眠い映画をつくるのもそれはそれですごいな)」としか感じられませんでした。「アメリカ人のCIA妄想」を実感としては理解できない日本人にとって、もともと敷居が高い映画だということは配給する会社はわかっていたはずなのに。

僕が住んでいる県では、『スラムドッグ$ミリオネア』は1スクリーンも上映されてないんです。
この『バーン・アフター・リーディング』は、県内の3つの映画館で鳴り物入りで公開されているのに……
有名スターが出ているだけで、前提条件が日本人には理解不能の『バーン・アフター・リーディング』よりも、「クイズ・ミリオネア」という「共通項」を持つ『スラムドック$ミリオネア』のほうが、はるかに「普通の日本人」にとっては「伝わる」映画なのではないかなあ。

ブラッド・ピットが、ジョージ・クルーニーが出ているから、ということで、ゴールデンウイークにこの映画を観ようとお考えの家族連れやカップルの皆様は、悪いことは言わないから、「1」を予習して『レッドクリフ2』か、(僕はまだ観てないけど)『スラムドック$ミリオネア』か『グラン・トリノ』(イーストウッドに外れなし!……たぶん)のほうをオススメします。

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