琥珀色の戯言

【読書感想】と【映画感想】のブログです。

「琥珀色の戯言」が選ぶ、2009年の映画ベスト5


もう今年もあと3日ということで、まずは今年僕が観た映画のベスト5から(明日は本、明後日はサイトの2009年について振り返る予定です)。
今年は30本観たのですが、けっこう忙しかったわりにはたくさん観たな、という感じです。
前半に比べて、忙しかった後半は少なめになってしまいましたが。

では、さっそくランキングの発表です。


第5位 スラムドッグ$ミリオネア

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この映画の僕の感想はこちらです。

「もっと真剣に現実の悲劇を描くべきなんじゃないか?」という疑問はわかりますが、この作品が「エンターテインメントとして面白い」からこそ、多くの「あまり問題意識がない人々」にも観られている、というのも事実です。

あまりに「教育的」な作品って、やっぱり「知りたくない人には届かない」のですよ。

第4位 グラン・トリノ

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この映画の僕の感想はこちらです。

僕はこれ、「ランボー」になっちゃうのかな、と思っていたんですよ。

ところが、イーストウッドは、「多くの観客がそれを望んでいること」を知っていながら、あえてそうしなかった。

チェンジリング』もそうなのだけれど、イーストウッド監督は、「わからないことをわからないままの姿で描くことができる」数少ない監督です。


第3位 マイケル・ジャクソン THIS IS IT

この映画の僕の感想はこちらです。

マイケルの大ファンというわけではない僕にとっても、この作品は、本当に、観てよかったと思える映画でした。

逆に、ファンの人は、「未完成なパフォーマンスを、本人の意思を確認しないで映画として公開すること」に対して、複雑な感情もあるのではないか、という気がしなくもありません。

ただ、冒頭に出てきた「マイケル・ジャクソンと仕事をするのが夢だったスタッフやダンサー、ミュージシャンたち」にとっては、実際に観客の前で一緒にステージに立つことができなかっただけに、この映画が公開されたことで、少しだけでも「夢をかなえることができた」のではないかと思います。

それだけでも、この映画には「存在意義」があるのではないかなあ。

第2位 チェンジリング

チェンジリング [DVD]

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この映画の僕の感想はこちらです。

この映画、観た後に幸福感に浸れるような作品ではありません。

僕は観終えて、思わず家に電話して息子の無事を確かめてしまいました。

クリント・イーストウッド監督のすごいところは、この映画で、「不条理なものを不条理なまま観客にさらけ出していること」だと思うんですよ。

この映画を最後まで観ても、観客はどこへも行けません。

それでも、人はいろんなものを信じたり疑ったりしながら、生きていくしかない。

第1位 ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破

この映画の僕の感想はこちらです。

「目の前の誰かが大事なら、世界に対して何をしてもいいのか?」

エヴァ』は、そこで考え込んでしまい、「大義」と「個人的な欲望」の間でがんじがらめになってしまう人々の物語、だったはずなのに。

新劇場版は、まぎれもない「大傑作」です。

しかしながら、この物語を味わうには、前作の記憶が不可欠です。

そして、観客は、この14年間、自分が生きてきたことによる自分自身の変化を向き合うことにもなるはずです。

14年前の僕は、こんな前向きな『エヴァンゲリオン』には納得できなかったと思う。

でも、いまは、「それでも泥だらけ、血まみれになって、生きていくしかないんだ」という「決意」を感じずにはいられない。


1位は、『ヱヴァ・破』と『チェンジリング』のどちらにしようかとかなり悩んだのですが、結局、観ているときのワクワク感と観終えたあとの「感想を語る楽しみ」を考えて、『ヱヴァ』を1位にしました。でも、今年はあらためて、クリント・イーストウッドの「底力」を見せつけられたような気がしています。『チェンジリング』も『グラン・トリノ』も素晴らしかった!

あと、記憶に残った映画として、『ヴィヨンの妻』『南極料理人』『サマーウォーズ』『ディア・ドクター』『ベンジャミン・バトン〜数奇な人生』『ヤッターマン』などをオススメしておきます。『レッドクリフ PART?』も、三国志好きとしては、けっこう楽しかったなあ。
今年は、とにかく映画に関しては「豊作」だったと思います。
来年も、素晴らしい映画にたくさん出会えますように。

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