琥珀色の戯言

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キケン ☆☆☆


キケン

キケン

内容紹介
既にサークルの域は出た。活動内容もそうだが、集う人間の危険度が、だ。ヤバイ奴らが巻き起こす熱血青春ドタバタ劇。理系男子って皆こんなに危ないの?


内容(「BOOK」データベースより)
成南電気工科大学機械制御研究部略称「機研」。彼らの巻き起こす、およそ人間の所行とは思えない数々の事件から、周りからは畏怖と慄きをもって、キケン=危険、と呼び恐れられていた。これは、その伝説的黄金時代を描いた物語である。


「ひとり本屋大賞」9冊目。
今回、ただひとり2作ノミネートされている有川浩さん。
『ストーリー・セラー』のほうは、「なんでこの作品がノミネートされたの?」と聞きたくなったのですが、この『キケン』のほうは、エンターテインメント色が強く、楽しんで書かれているのが伝わってくる佳作です。
でもまあ、率直なところ、この『キケン』も、「つまんなくはないんだけど、コメディにしては爆発力に欠け、『青春小説』としてはリアリティに欠け…という印象だったんですけどね。
これマンガにしたほうが面白いんじゃないかなあ、という気はするし、要するに、最後のアレをやりたくて書かれているんだろうなあ、と考えてしまったのも事実。

この『キケン』を読んでいて気になったのは、「卒業した主人公が、妻に対して語っている大学時代のエピソード」として語られているところでした。
有川さんとしては、「女子からみた、男ばかりの世界の魅力」みたいなのを書きたくて、その媒介として主人公の妻を登場させたのでしょうけど、僕はなんかちょっとしっくりきませんでした。
あくまでも「女子目線での男の世界」っていうのが、この「演出」によって、あまりに過剰になりすぎてしまっていたし、結局のところ、この物語は、大きな破綻はしないだろうな、という予定調和感を際立たせることにもなっていますし。
まあ、急に「革命編」になるような話じゃないっていうのもよくわかるのだけれども。

有川さんの「プロの技」が堪能できる、面白い小説だとは思います。
でも、僕にとっては、「文庫で出張の移動時間にでも読んだら、ちょっとトクした気分になれる、そのくらいの作品」でした。

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