琥珀色の戯言

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【読書感想】虚像の道化師 ☆☆☆


虚像の道化師 ガリレオ 7

虚像の道化師 ガリレオ 7

内容(「BOOK」データベースより)
指一本触れずに転落死させる術、他人には聴こえない囁き、女優が仕組んだ罠…刑事はさらに不可解な謎を抱え、あの研究室のドアを叩く。

ガリレオ』シリーズ7冊目。
これを読もうとして、前作の『真夏の方程式』を読んでいないことに気がつきました。
まあ、結局そのままこれを読んでしまったんですけどね。
それでとくに意味がわからなくて困るようなこともなかったし。


相変わらずの『ガリレオ』シリーズなのですが、テレビドラマ化された影響なのか、湯川先生の「福山雅治化」にはなかなか歯止めがきかないようです。
人間ドラマとして厚みが出たような気がする一方で、以前のような「素っ気ない湯川」が懐かしいなあ、と思うところもあり。


今回収録されている4作品、僕は『偽装う』がいちばん好きだったのですが、これはどちらかというと「科学的なトリック」というよりは「人情系」に属する作品です。
その他にも『演技る』は、「別にこれ湯川が出てくる必要ないのでは……」というものですし、『心聴る』は、『ガリレオ』の「科学トリック」としてはいかがなものか……と言いたくなります。
いかにも『ガリレオ』らしいのは『幻惑す』だけかもしれません。
もっとも、第1作から読んでいる僕としては、「昔の湯川のほうが個性的だった」とは思うけど、作品としては、『容疑者Xの献身』以降の「人情味を増してしまった湯川」のほうが面白いと感じているんですけどね。

「マンガを読む余裕があるということは、心配する必要はなさそうだな」病室に入ってくるなり湯川はいった。
「おまえ、どうしてここに?」草薙は訊いた。
 だが湯川はこの質問には答えず、提げていた白いビニール袋からマスクメロンを取り出し、きょろきょろした。
「一応、見舞いの品も持参したんだが。どこに置けばいい?」
「むき出しかよ」草薙は目を見開いた。「ふつう、箱とか籠に入れないか」
「箱や籠が欲しいのか」
「そういうわけじゃないが……。まあいい。ありがとう」この点について議論をしても無駄だ。

「箱や籠が欲しいのか」かあ……
「科学トリック」はもちろんなのですが、こういうやりとりこそ、『ガリレオ』シリーズの魅力なんですよね。
 とりあえず、「安心して読める、東野圭吾ブランド」であることは間違いありません。
 それにしても東野さんの執筆ペースの早さには驚くばかり。
(10月には『ガリレオ』シリーズの8冊目が出るらしいですよ)

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