あらすじ
宇宙移住計画を遂行するため、コールドスリープ中の男女2,000人を乗せた宇宙船コヴェナント号は、植民地の惑星に向かって宇宙を航行する。最新型アンドロイドのウォルター(マイケル・ファスベンダー)が船の管理を任されていたが、途中で事故が発生。乗組員たちは必死で修復作業に取り組み……。
2017年の映画館での26作目。レイトショーで、観客は僕も含めて5人でした。
公開初日からけっこう経っているし、評判も良いとはいえないので、まあ、こんなものか。
僕も「どうしようかな……他の映画にしようかな……」と悩みつつも、(控え目に言って)けっして面白くはない『プロメテウス』をせっかく予習したので、その続きも観ないともったいないかな、と思ったんですよね。
いやみんな『エイリアン』のこと、わかってないんだから……って、「わかってない」のは僕のほうでした……というような愚痴ばかり、最近書いているような気がする。
結論から言うと、人生も株と同じで「損切り」が大事というか、つまらないものを観た時間がもったいないからと、この微妙な続編映画まで観てしまうというのは、二重遭難みたいなものだな、ということなんですけど。
壮大な前フリと重厚な世界観にもかかわらず、登場人物がどうしようもなく無能、そして、観終えても不快な気分だけが残るという映画なんですよ、これ。
監督か脚本家かわかりませんが「創造すること」の美しさと恐ろしさを描こうとしているのだとしても、登場人物があまりにも無能な人ばっかりで唖然としてしまうのです。
いやほんと、宇宙飛行士選抜試験のドキュメンタリーとか『宇宙兄弟』のあとにこの映画を観ると「宇宙船の乗組員の資格審査って、どうなってるんだ?」と言いたくなるよ。ましてや、移民が2000人も冷凍されて乗ってる船なのに!
事故の結果、船長になった男は、アクシデントのあと、本来移住予定だった星まではまだ時間がかかるという状況で、「近くに突然、ものすごく住みやすそうな星が見つかりました!」という、あまりにもタイミングが良すぎる報告を受け、クルーに「こっちのほうが条件が良さそうだし、もう一回コールドスリープするのはイヤだから、こっちを探検してみよう」と強引に指示するのです。
乗組員たちも、みんな黙ってそれに従ってしまう。
唯一、主人公だけが「本来の目的の星を探すのに長い時間をかけ、入念に下準備もしてきたのだから、予定通りのスケジュールでいくべきではないのか。こんな突然あらわれたオイシイ話に飛びつくのではなくて」と、正論を述べるのですが、まったく聞き入れられず。
しかも、その未知の惑星探索には、母船(コヴェナント)に3人だけを残して、ほとんどの乗組員と、おそらくはいざというときに、コヴェナントをひとりで運用できるであろうアンドロイドも一緒に探検に出かけるのです。
なんかあったらどうするんだよ!
……って、当然、「なんかある」のですけどね。
宇宙服も着ずに外に出て、タバコはふかすは、そこらへんにあるものをベタベタ触りまくるは、危険な感染症が疑われるのに、検疫や消毒もせずに、「まわりに触らないようにして!」と言うだけで船内に入れてしまうはで、観ていて、「こんな杜撰な連中を宇宙に出すなよ……」とぼやきたくなるシーンのオンパレード。
そもそも、これ、「宇宙移民計画」で、この乗組員たちは、、移民2000人の命を預っているんですよね、いちおう。
にもかかわらず、謎の星に勝手に着陸して探検し、変な病気はもらうは、乗組員は死にまくるは……
仲間を救出するためといっても、乗組員が全滅したら、後には宇宙空間に2000人が冷凍されたままの船が残されちゃうわけですよ。
「何かあったときのバックアップ体制」とかを何一つ考えてない!
いかにも怪しい人に「安全は保障します」とか言われて、信じるなよ……というか、あからさまに怪しすぎるだろ、そいつもその場所も……
頭になんかわいてるんじゃないか?(お腹にわいてました)
こんな移民船、乗りたくない……
大事な計画のはずなのに、なんでこんな無能集団に船を預けてしまったのか。
そりゃエイリアンは怖いだろうけどさ、あんなパニックになって自分たちの船を撃ちまくるようなヤツしかいなかったのか?
主人公も、気づくの遅すぎ!というか、あのタイミングまで気づかないのはおかしいよ。
観客はみんな、「ベタすぎるだろこの展開」って思いながら観ていたのではなかろうか。
いやーひどいなこれ。
眠い、グロい、バカバカしい、の3拍子揃った映画で、リドリー・スコットさん、どうしちゃったんだろう、というか、そこはもう、スタンリー・キューブリック監督が、半世紀くらい前に登頂してしまった山なんですけど……
ただ、ここまでツッコミどころ満載だと、かえって「これはこれで、感想を書くにはオイシイ映画だな」とか思ってしまう自分が悲しくなります。
『プロメテウス』を観ていないと、たぶんワケがわからないだろうし、その『プロメテウス』もかなり観るのが苦痛なんだよね……
感動するわけでも、考えさせられるわけでもないので、「とにかくエイリアンが出てくれば何でも見る!」という人向け、かな。
あとは、いつか宇宙船の乗務員試験が行われるようになったら、免許更新の際に「こんなことはやってはいけません」という再現ビデオとして使われる可能性もありそうです。
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