琥珀色の戯言

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【読書感想】ビブリア古書堂の事件手帖 ~扉子と不思議な客人たち~ ☆☆☆☆


Kindle版もあります。

内容紹介
驚異のミリオンセラー『ビブリア古書堂の事件手帖』シリーズ最新刊

ある夫婦が営む古書店がある。鎌倉の片隅にひっそりと佇む「ビブリア古書堂」。その店主は古本屋のイメージに合わない、きれいな女性だ。そしてその傍らには、女店主にそっくりな少女の姿があった--。
女店主は少女へ、静かに語り聞かせる。一冊の古書から紐解かれる不思議な客人たちの話を。古い本に詰まっている、絆と秘密の物語を。
人から人へと受け継がれる本の記憶。その扉が今再び開かれる。


 黒木華さんが栞子さん役の実写映画が公開されるのに合わせたかのように、『ビブリア古書堂』新シリーズ開幕、みたいです。
 前作で、けっこういい感じに大団円を迎えたので、扉子さんって、別の舞台での似たような話になるのかな、と思ったのですが、扉子さんは、栞子さんの娘なんですね。

 この『扉子と不思議な客人たち』なのですが、全シリーズより少し時間が経って、栞子さんは結婚して娘もいるのですが、それを除くと、現時点では、「内容的には、前とほとんど変わらない」のです。
 前作で、「これで完結」みたいな感じだったのに、結局、続編書くのかよ、と言いたいところではありますが、もともと古書に関するネタ+謎解き要素を題材にした短編集に、栞子さんと大輔さんの恋愛要素が箸休め的に加えられたシリーズだったので、続編、というよりは、『シャーロック・ホームズ』とかのシリーズ作品がひとつ増えたようなものですし、世界観を損なってはいない、と思います。
 たぶん、これまでのシリーズのファンにとっては、これで良いのではなかろうか。
 栞子さんが他の本好きの男に惹かれ、ドロドロの三角関係が描かれる、とか、某国のスパイであることが判明して、アクション小説になるとかを望んでいる人もいないでしょうし。


 ただ、このシリーズって、その「栞子さんと大輔さんの、もどかしい恋愛要素」がないと、なんだかすごくサラっと読めすぎてしまうような気もしたんですよ。
 「もう結果はわかってるんだから、そのラブコメ要らん!」と僕はけっこう思っていたのですが、無いとなんだか寂しいものですね。
 6歳の扉子さんは、まだ探偵役ができる年齢でもないでしょうし。

 
 でもまあ、子どもが加わったことで、絵本や児童書といったジャンルへも言及しやすくなりそうです。
 今回は、最初の話は、正直なところ、「その解釈は、あまりにも強引だろう」というか、「瓜田に靴を入れず、だろうよ」とか、「いくらなんでも、そこはフォローしてあげるのではないか」と、登場人物の行動への納得感が乏しくて、「もうネタ切れなのか?」と思ったのですが、次にゲーム雑誌や攻略本について採りあげられた話があって、「ああ、これまでに扱ってきた『古書』の枠組みから踏み出そうと、いろんなアプローチをしているのだな」と感じました。

 でも、ゲーム関連の古書の相場は多少わかります。うちの店では扱いませんけれど、市場に持っていけば高く売れるものもあります」
 琴子さんが説明を続ける。
「どういうのが高く売れるんですか?」
「ゲーム関連の古書で分かりやすいのは攻略本でしょうか。それにゲーム雑誌ですね。ファミ通などの有名な雑誌の創刊号などは高値がつきます。後はマイナーなゲームハードの専門誌も貴重ですね。集めているマニアが多いみたいです」
「攻略本にも古書値がつくんですか?」
「今はネットからでもゲームの攻略情報は得られますが、古いマイナーなゲームになると、攻略本の方により詳しい情報が載っていることがあるそうです。関係者のインタビューや、本編では未公開だったキャラクターのイラストが収録されることもありますし。ゲームの設定資料館もそういう理由で高値のつくことが……大輔くん、どうしました?」
 淀みのない説明に唖然としていた俺は、やっとそこで口を開いた。
「ほとんどゲームやったことないのに、さっきからものすごく詳しいなと思って」

 
 これが成功しているかどうかは微妙なところなのですが、ゲーム好き、ゲーム雑誌好きとしては、嬉しくもあったのです。
 

 「前とあまり変わらないな」と思いながら読みました。
 栞子さんが育児疲れでイライラすることもないし、大輔さんが変わらない日常に飽きることもない。

 でも、これまでのシリーズの読者は、多少の倦怠感を覚えつつも、「だが、それがいい」と納得するのではないかと。


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