琥珀色の戯言

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ソフトバンクの新CM

http://guideline.livedoor.biz/archives/50780913.html

id:zawさんも、http://d.hatena.ne.jp/zaw/20061217#p1で取り上げられていましたが、僕もこのCMを観て、「なんじゃこの下品なCMは?」と思いました。キミちゃんかわいそう、というか、お前らはタダのところにしか電話をかける気がないのか、と。電話をかけたらお金取られるのが当たり前じゃないのか、と。いや、なんだかいろんな割引サービスがあるけどさ、実際のところ、あれを本当に使いきっている人なんて、ごくわずかだと思うよ。僕はドコモなので、「パケホーダイ」だけは元を取っている自信がありますけど。

本当に不愉快なCMなのですが、現実問題としては、あのCMのような事態が起こる可能性はかなり珍しいのです。
http://www.losttechnology.jp/k-tai/(携帯電話シェアの推移)
↑によると、ソフトバンクの11月の時点での国内のシェアが16%、ということは、4人のうち3人がソフトバンク、というシチュエーションは、0.16×0.16×0.16×0.84×4で、答えは0.0138、パーセントに直すと、約1.4%になります。要するに、70組に1組の割合、なんですよね。うーん、これってかなり低頻度……
ちなみに、NTTドコモで同じように「4人のうち3人がドコモで他の1人が他社」というシチュエーションになる確率は、0.55×0.55×0.55×0.45×4=0.299、約30%。「4人いて、3人だけがドコモ」というような状況は、3組に1組くらいで起こりえることになります。確率的にはソフトバンクの20倍以上なので、ソフトバンクさんは、むしろ自分たちのほうがスポイルされる危険性を考えるべきでしょう。
ただし、この計算は「純粋にシェアからみた確率」なので、若年層の利用者が多いと思われるソフトバンクやauは、あのCMのような若者が集まるというシチュエーションでは、もうちょっとシェアが高そうですが。

ところで、僕は最初にあのCMを観たときにはものすごく不愉快だったのですけど(そのくらいで電話してこないようなやつは友達じゃねえ!」みたいな感じで)、あらためて考えてみると、ああいう「多くの人が不快になりそうなCM」をゴールデンタイムにガンガン流しているというソフトバンクは、かなり窮地に立たされているのではないか、とも想像してしまうのです。コカコーラに対するペプシコーラとか、プレステに対するドリームキャストとか、最近ではWindowsに対するMacとか(でも、あのMacのCMで、Windowsが「1週間も仕事できないなんて…」って言っているのもダメだなあ、と思います。正直、現状では、ごく一部のクリエーターなどを除けば、遊ぶのだってWindowsのほうが便利だということは、みんなわかっているはずなのだから。むしろ、Macのほうが、趣味で持つか、「仕事にしか使えないマシン」と化してきているのでは?)、ああいう「比較広告」に打って出るのは、常に「弱者」のほうなのです。そして、少なくとも日本では、それが劇的な効果をあげた例はありません。もっとも、「(それが悪い印象であっても)ソフトバンクという名前を視聴者に刷り込む」という目的であれば、ドコモのような「観たときの好感度は高いけれども、あまり印象に残らないCM」よりは、「今のソフトバンクにとっては有益」ではあるのででしょう。「名前も知られていない」のでは、選択肢にすら入れてもらえませんし。でも、そういう「劇薬」って話題になるわりには、実際の効果には乏しいんですよね。むしろ、「あそこまでやるなんて、ソフトバンク苦しいんだな……」という「末期感」を煽ってしまっているだけなのかも。
ソフトバンクという会社には、「無節操な拡大主義」の印象があって、僕は好きじゃありません。ヤフーBBのときも、あれだけたくさんの販売員に駅で配らせたり、有名電器店に係員を常駐させていたりしてシェアはある程度確保したようですが、あれが投資に見合っただけの効果があったかどうかは非常に疑問だし、プロ野球の世界でも「第二の読売化」してしまっていますし。僕はネット大好き人間なので(写真とか音楽はどうでもいいから、普通にインターネットが使える携帯端末がほしいと常々思っています)、ヤフーが使いやすくなっていたり、非携帯サイトも閲覧しやすくなっている機種が多いソフトバンクの端末には惹かれるところはあるのですけど、この会社、膨張の果てに近いうちにパンクしちゃんじゃないか?と、つい考えてしまうのです。やたらと事業を拡大していって新規出店を繰り返し、最終的には資金繰りが困難になって倒産なんていうのは、まさに「ベンチャービジネスの破綻の王道」ですし。
ただ、ソフトバンクは嫌いなのだけれど、1ユーザーとしては、ソフトバンクには潰れない程度に頑張ってもらいたいと思います。
携帯電話業界に競争がなくなってしまうと、勝った会社は一挙に「資金回収モード」に入りそうな気がするから。

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