琥珀色の戯言

3000冊以上の【書評】と500作以上の【映画感想】を、ちゃんと読んで、観て書いてきたブログです。話題になったあの本や映画の感想が、たぶんあります。新書、ノンフィクション、インターネット関連本が多め。

犬神家の一族 ☆☆☆

犬神家の一族 通常版 [DVD]

犬神家の一族 通常版 [DVD]

信州が産んだ製薬王・犬神佐兵衛が莫大な遺産を残して亡くなった。佐兵衛には母親の違う3人の娘、松子・竹子・梅子がいたが、なぜか遺言状には全財産を佐兵衛の恩人の孫娘・野々宮珠世に譲渡すると書かれていた。しかも珠世が財産を受け継ぐことができるのは、松子ら3人の娘たちのそれぞれの息子のいずれかと結婚することが条件だった。早速、珠世を巡って息子たちは争奪戦をくり広げ、ついには殺人事件が巻き起こる。遺言状を預かる法律事務所の依頼を受け、名探偵の金田一耕助は捜査に乗り出すのだが…。
76年に角川映画の第1弾として製作された『犬神家の一族』を市川崑が自らリメイク。

 犬神佐兵衛のモデルって、ひょっとして星一(作家・星新一さんのお父さん)なの?
 などというようなことを考えてしまったのですが、このリメイク版、なんと「プロデューサーの指示で、構図からカット割りに至るまで76年版をまんま踏襲」しているのだとか。そして、プロデューサーは、この映画を撮る上で市川昆監督に「珠世役には松嶋菜々子」と指名し、市川監督はプロデューサーに「金田一耕助石坂浩二じゃないと撮らない」と宣言したのだそうです。
 結果的に、名作として名高い1976年版の『犬神家の一族』と比較されたり、「今はいつでもDVDで旧作を観られるのだから、わざわざこんなそっくりそのままリメイクしなくても……」と批判されたしているのですが、考えてみれば、1976年度版が「名作」だと言われているのを知っている僕も「でも、30年前の映画だしなあ……」と今まで未見だったわけですから、こうしてリメイクされることによって新しい観客を獲得できるのならば、全く意味がないわけではないのでしょう。こうして「話題」になれば、やっぱり、観てもらえる機会も増そうです。

 まあ、率直な印象としては「古いなあ……」というものなのですけど(そのわりには珠世と佐代子が着ている服はかなり現代的)、旧作が公開された1976年でさえ、この作品の時代背景は「レトロな感じ」だったそうですから、そこを批判するのは的外れなのでしょう。むしろ「そういう時代背景まで含めて」古典として観るべき作品ではないかと。

 この作品の原作は、日本の「探偵小説」の金字塔のひとつなので、後世の僕はそのトリックやアイディアの「亜流」をすでにたくさん経験しており、そういう意味では「新鮮な作品」だとは言いがたいです。「どこかで見たようなトリック」ばかり。もちろんそれはこの作品の責任ではないし、「スケキヨ」なんていうおどろおどろしくも目が離せないキャラクターはすごく魅力的でした。しかし、登場人物、とくに松嶋菜々子の「珠世という人物が何を考えているのか全然伝わってこない演技」と奥菜恵さんの「単なるオーバーアクション」にはやや興ざめでしたが。

 あと、僕は石坂浩二さんの金田一がいちばん好きなので、今回の「復活」は嬉しかったです。
 そして、テーマ曲はどこかで聴いたことがある曲だな、と思っていたら、大野雄二さんだったのですね。

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