琥珀色の戯言

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インターネットの一番の問題点(再掲+付記)

鴻上尚史さんの『孤独と不安のレッスン』という本のなかに、こんな記述がありました。

「インターネットの一番の問題点は何だか、鴻上さんは知っていますか?」と、僕の芝居に来たお客さんが見終わった後、アンケートに書いてくれたことがありました。
「熱中して学校に行かなくなるとか、仕事がおろそかになるとか、夫婦関係が崩壊するとかじゃないんです。そんなことは、二次的なことです。一番の問題点は、『簡単になぐさめられること』なんです」

僕も何度も「簡単になぐさめられてもらった経験」がありますので、この「問題点」、とてもよくわかるような気がします。「簡単」であるがゆえに、それに依存してしまい、「現実に立ち向かう困難」を放棄してしまいがちになるのです。逆に、インターネットって、なぐさめる側もけっこう簡単になぐさめてしまう面がありますしね。

ただ、最近は「簡単になぐさめられること」以上に、「簡単に傷つけられてしまうこと」や「簡単に傷つけてしまうこと」が大きな「問題点」になってしまっているように思うんですよね。ネット上での発言というのは、言っている側にとっては「テレビ局にかかってくる何千本もの抗議電話の1本」のようなつもりでも、言われる側にとっては、「面罵されている」ように感じることが多いのです。
そして、「傷つけられること」は嫌だし怖いけれども、「自分では軽い気持ちで言ったことで誰かを大きく傷つけてしまうこと」というのは、「傷つけた側」にとっても大きなダメージを残すことがあるのです。
ちょっとからかっただけのつもりなのに相手がそれを苦にして自殺してしまったら、あなたは傷つきませんか?

僕はdankogaiさんってすごいなあ、といつも思っているんですよね。
あれだけみんなに「お前に傷つけられた!」って指差されながら、それでも平然とあの場に立っていられるというのは、「常人」にはできないことですから。あれだけの「覚悟」がある人は、そうそういないですよ。

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