ついにオンラインで「ドラゴンクエストX」始動 2012年発売予定(G-Renda)
火曜日に『ドラゴンクエスト10』がオンラインに!というニュースを聞いたときには、僕もがっかりしました。
他にオンラインゲームはたくさんあるのだから、わざわざ『ドラゴンクエスト』のナンバリングタイトルをオンラインにする必要ないのに……と。
「外伝」として、オンラインの『ドラゴンクエスト』が出るのなら、別にどうこう言うつもりはないけれど。
Wiiは、もともと「RPGが売れない」(というか、ニンテンドーのマリオと体感系以外のゲームは、ほとんど売れない)ハードですし、「据え置き機で長時間ゲームをすること」そのものが、すでに「時代遅れ」になってきているようにも思われるのです。
それにしても、いまさら『ドラゴンクエスト』のオンラインとは……
僕は以前、オンラインゲームに挑戦してみたことがあるのです。
でも、すぐに挫折してしまいました。
その主な理由は、とにかく「見ず知らずの人には、ゲームの中でも、声をかけづらかった」ということと、「時間に制約がある自分が参入しても、『搾取されるだけ』だ」と感じたこと。
「ネトゲという別世界で、別の自分を演じたくなる気持ち」はわかるのです。
しかしながら、いまの「オンラインゲームの世界」っていうのは、ネットのなかに、「もうひとつの現実」をつくっているだけ。
そこでは、時間をかけてレベル上げをしたり、単純作業でアイテムをたくさん集めたり、みんなとうまくコミュニケーションしていかないと、楽しく生きていくことができない。
そんなに「現実と同じこと」をやりたいのなら、現実でやればいいんじゃないかと思うのです。まあ、現実はそう簡単に努力が報われないし、リセットボタンもないけどさ。
オンラインゲームで、「この世界から逃れること」を望んだはずの人々が、ゲームのなかに「現実世界と同じようなシステムをつくってしまう」というのは、すごく皮肉なことのように思われます。
こんなふうに、発表当初はネガティブなことばかり考えてしまっていたのですが、時間が経つにつて、僕はちょっと楽しみにもなってきたんですよね。
僕が考えているような「プレイヤーを奴隷化するオンラインゲーム」のこと、堀井さんは百も承知で、この『ドラクエオンライン』を開発しているはずです。
以前、『ゲームセンターCX』という番組で、堀井雄二さんの特集がありました。
参考リンク:堀井雄二さんが「至高のゲームデザイナー」であり続ける理由(琥珀色の戯言)
そのなかで、堀井さんは、『ドラクエ9』のすれちがい通信について、こんなふうに仰っておられます。
軽く人と関わりたいという時代の空気から「すれちがい通信」を発案しました。
堀井さんは、『ドラゴンクエスト9』の時点で、「わかっていた」のです。
『ウルティマオンライン』や『エバークエスト』のような「実生活を捧げることを求められるRPG」を求めている人は、少数派であることに。
そして、堀井さんが「ゲームづくりでいちばん大切にしていること」。
とにかく、「わかりやすさ」を大切にしています。
みんな、マニュアルとか読まないでしょ。
わかりやすくて、なんとなくやってみたくなるように。出だしはとくに。
Wiiにはキーボードもハードディスクもありませんが、だからこそ、「シンプルで、わかりやすいゲーム」にならざるをえないはずですし。
『ドラゴンクエスト』シリーズも、大傑作ばかりではありません。
『6』や『7』については、僕も「まあ、『ドラゴンクエスト』としての最低限のクオリティは維持しているとは思うけど……」という印象です。
でも、「ものすごくつまらない作品」は、ナンバリングタイトルにはありません。
たぶん、今回の『10』も、堀井さんなりの「勝算」があるんだと思うんですよ。
おそらくそれは、僕が危惧しているような「『ファイナルファンタジー11』的に、現実とは違う、ひとつの世界をつくってしまうオンラインRPGを『ドラゴンクエスト』でやること」にはならないはずです。
むしろ、「アクションゲームの腕が要求されないような『モンスターハンター』、あるいは、ひとりひとりのプレイヤーが、自分のやりたいことをやりたい時間にやって、文字や感情の交錯は最低限にするような『どうぶつの森』のようなオンラインゲームになるのではないか、と予想しているのです。
考えてみると、『どうぶつの森』っていうのは、「ゆるやかなコミュニケーションを楽しむためのオンラインゲームのひとつの完成形」ではありますよね。
もちろん、大失敗する可能性もありますが、おそらく、「新しい切り口のオンラインRPG」が生まれることになるでしょう。
それは、「ハードの機能の向上」と「『ドラゴンクエストらしさ』のあいだでがんじがらめになっていた『ドラゴンクエスト』の制作スタッフにとっても、やりがいのある挑戦だと思います。
もう、スタンドアローンのドラゴンクエスト」の正統的な進化だけでは、みんな満足してくれないはず。
僕は今回の「挑戦」について、堀井雄二、鳥山明、すぎやまこういちの「ドラゴンクエスト3人衆」の年齢を思い出さずにはいられません。
堀井さんは現在57歳、すぎやまこういち先生は80歳、鳥山明先生は56歳(なんで堀井さんだけ「先生」じゃないのか?という感じではありますが、この3人は、この敬称が一般的なので、それにならっています)です。
この3人のうち、誰かが欠ければ、それはもう『ドラゴンクエスト』ではありません。
5年くらい前、すぎやま先生の『ドラゴンクエストコンサート』に行ったことがありますが、その際も先生は自らステージに立ち、指揮をしておられたものの、合間合間に「ちょっと座りますね」と休憩をとられていました。
あんなにお元気なすぎやま先生だけれども、年齢による体力的な衰えはあるでしょう。
あれから5年、やっぱり、「これから残された時間で、何ができるだろうか?」って考えると思うんですよ。
堀井さんや鳥山先生でさえも、ゲームデザイナーや漫画家という職業の旬からすると、そろそろ「お役御免」になってもおかしくない年齢です。
だからこそ、これまでの作品の流れに乗って進化したものではなく、「もう一度、一から挑戦してみたい、新しい『ドラゴンクエスト』を後世に遺したい」、と考えられたのではないでしょうか。
それが、オンラインゲームの『ドラゴンクエスト10』。
失望は、完成したゲームがつまらなければ、いくらでも言葉にできるのですから、いまは、静かに、そして、楽しみに「『ドラゴンクエスト』3人衆」の新たな冒険の旅を見守りたいと思います。
面白すぎて、『ドラクエ廃人』がたくさん出てくるようなゲームだと、それはそれで困ったものになりそうですけど。

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