琥珀色の戯言

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アメイジング・スパイダーマン2 ☆☆☆


あらすじ: スパイダーマンとしてニューヨークの平和を守り、グウェン(エマ・ストーン)との関係も好調なピーター(アンドリュー・ガーフィールド)。だが、旧友のハリー・オズボーン(デイン・デハーン)がニューヨークに戻ってきたのを機に、充足していた生活が微妙に変化していく。そんな折、サイ型パワードスーツを装着したライノ(ポール・ジアマッティ)、人間発電機エレクトロ(ジェイミー・フォックス)という敵が出現。苦闘を強いられる中、追い打ちをかけるように怪人グリーン・ゴブリンとなったハリーが襲い掛かってくる。

参考リンク:映画『アメイジング・スパイダーマン2』公式サイト


 2014年18本目の劇場での鑑賞作品。
 金曜日のレイトショーで鑑賞。2D字幕版。
 本当は3D版を観たかったのですが、上映時間の都合もあり、やむなく2Dに。
 まあ、目が疲れなくて良い面もあるのですけどね。
 観客は僕も含めて6人でした。


 この作品も、『アナと雪の女王』や『テルマエ・ロマエ』に押されて、ちょっと存在感が薄くなってしまった印象があります。ちょっと公開時期が悪かったかな……同時期のアメコミ映画『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』がなかなかの傑作で、観客を奪い合った面もありそうです。
 内容的には、「普通によくできている、アメコミアクション映画」という感じでした。


 途中、ピーターとグウェンがくっついたり離れたりしているシーンが多くて、「なんでお前らがイチャイチャしているのをずっと観なきゃいけないんだ!」と、苦笑してしまったのだが、まあ、そういう「素直な青春っぽさ」も、サム・ライミ版との違いになっていますし、『アメイジング』シリーズの良さではありますね。
 グウェンは、サム・ライミ版のヒロインMJに比べたら、はるかに「良い子」で「優等生」で、面白みには乏しいけれど好感は持てます。ノーブラじゃないし!
 しかし、ピーターとグウェンの「お前ら別れる、別れないってずっと言い続けているけど、結局別れないんだろ、ほんとこのリア充トレンディカップルめ!」っぷりには、マックスならずとも「こんちくしょう!」とか言いたくなりますよね。
 ちなみに、ピーター役のアンドリュー・ガーフィールドさんとグウェン役のエマ・ストーンさんは、プライベートでも付き合っているらしいです。だからなのか、この2人が別れ話をしていても画面から溢れている「イチャイチャ感」は!
 この『2』は、まさに「リア充ヒーロー」対、「コミュ障ぼっちクリーチャーズ」の対決となっており、正直、「この敵は、悪いヤツっていうよりは、生きづらい人たちだよなあ」なんて、ちょっとしんみりもしました。
 僕はどっちかというと、ピーターよりマックス寄りなんじゃないか、とかね。
ダークナイト』で、「善悪の観念が欠落してしまった男」=ジョーカーの存在には大きなインパクトがあったのですが、この『アメイジングスパイダーマン2』でエレクトロと化してしまうマックスという人物は、「いまの時代の犯罪者像」のように見えます。
 もともと邪悪な人物ではないのだけれど、認められたいという執着心と、社会や周囲の自分への無関心への怒りがまじりあって、「世界に自分の存在を認識させるための犯罪」に走ってしまう。
 彼が、当初は「自分を特別な存在だと認めてくれたスパイダーマンの大ファン」だったというのは、象徴的にみえます。
 それが「みんなのもの」であるスパイダーマンが、自分を軽んじたと思い込んだとたんに「スパイダーマンは不倶戴天の敵」になってしまう。
 ああ、こういう人、いるよなあ。
 そして、こういう悪役像が、この「一般の映画ファン向けの大作」の敵として登場してくることに、僕はちょっと驚きました。
 アメリカにもこういう人がいて、当人が悩んでいたり、周囲もどう接していいのか困っていたりしているのでしょうね。


 クモの糸を使ったアクションは、相変わらず爽快です。
 とはいえ、サム・ライミ版を3作、『アメイジング』も2作目ですから、こちらも、ちょっとやそっとでは「すごい!」という気分にはなりません。
 3Dで観たら、けっこう違うのかもしれませんけど。
 スパイダーマン自身は飛び道具を持っているわけでもなく、攻撃のバリエーションも乏しいので、戦闘シーンのオリジナリティを出すのも大変そう。


 ラストまで、本当にうまく伏線を張って回収している映画だなあ、とは思ったのですが、逆に、「こうすれば感動するんだろ」、というツボをピンポイントで突こうとしているのが見えるような気もして、やや興醒めなところもありました。
 いや、それはちょっと、かわいそうなんじゃないか?というか、急に場面が変わったので「夢オチ」「幻覚」なのかと思いましたよ。
 映写ミスで、場面が飛んでしまったのではないか、とか。
 帰っていろいろ調べてみると、どうもこれが「原作通り」なのだそうです。
 うーむ、ベタではあるけれども、なんかけっこう幸せそうなスパイダーマンで、気分転換にはこういうのも良いかもね、なんて思っていたのですけど、やられた、って感じです。どよどよどよ〜ん。


 しかしこれ、『2』で終わってもよさそうなつくりではありますよね。
 はたして、『3』は作られるのだろうか……
(個人的には『3』が楽しみ、とは全く思えず、むしろ『1.8くらいのところで終わっていて欲しかった……)

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